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“徴用工”で巨額賠償を請求なのに… それでも日系企業が大人気という韓国就職最前線

2019-02-10 17:10:36 | 日記
徴用工の賠償問題
韓国の話題

“徴用工”で巨額賠償を請求なのに… それでも日系企業が大人気という韓国就職最前線

2019年2月10日 8時1分

デイリー新潮


韓国の若者たちはなぜか日系企業に熱い視線を送っていた


それでも日系企業が大人気という韓国就職最前線

韓国では「百薬無効」と呼ぶそうだ。もはや打つ手なしという意味で、まさに彼の国の現状を言い当てている。

横紙破りに前言撤回、果ては友好国にロックオンする始末。だが、両国の関係が冷え込む一方で、韓国の若者たちはなぜか日系企業に熱い視線を送っていた。

 ***

昨年11月7日、会場となったホテルのロビーは、リクルートスーツに身を包んだ学生たちで溢れかえっていた。

特設の展示場には日産や楽天、ハウステンボスといった有名企業112社のブースが所せましと立ち並び、緊張した面持ちの若者たちが鈴なりに――。

実はこれ、幕張メッセや京セラドームではなく、韓国・ソウル市のロッテホテルワールドで開催された「2018日本就職博覧会」の模様である。

韓国の学生を対象とした日本の企業による合同説明会で、6千件を超える事前申し込みのうち書類選考に受かった約2千が参加したという。

このイベントを取材した大手メディアの特派員によれば、

「会場には韓国全土から就職を希望する学生が集まりました。

彼らは一様に真剣な表情で私語は皆無。

なかには、教授が数十人の学生を貸し切りバスで引率した大学もあった。

この大学では“日本就職サークル”を立ち上げ、日本の企業から内定をもらった学生には50万ウォン(約5万円)の奨励金を渡しているとか。

卒業生が日本の企業に就職したという実績が大学のPRに繋がるわけです」

韓国の若者たちはなぜか日系企業に熱い視線を送っていた会場には学生だけでなく「就職浪人」の姿も目立った。

昨春、ソウルの私大を卒業した男性は、日本語だけでなく英語や中国語も堪能。

環境工学を専攻し、IT関連の資格を持つハイスペックな人材だが、韓国企業には採用されなかった。

「彼は“今日の面接官はみな親切で、韓国企業のような圧迫面接はなかった。ぜひ日本で就職したい”と意気込んでいました」

徴用工判決から1週間後の光景

彼のように日本で働くことを熱望する若者が大挙して押し寄せた、このイベントの主催者は韓国政府の外郭団体「KOTRA(大韓貿易投資振興公社)」である。

つまりは国を挙げての就職斡旋事業ということになろう。

だが、思い出してもらいたい。この就活イベントから遡ること1週間前の10月30日、韓国の大法院(最高裁)が重大な決断を下したことを。

そう、新日鉄住金に賠償金の支払いを命じた「徴用工判決」である。


徴用工問題は、1965年に締結された日韓基本条約および日韓請求権協定によって歴代の日韓両政府が「解決済み」としてきた。

だが、大法院は日韓関係の基盤をなす取り決めを真っ向から否定し、さらに文在寅大統領も、

「司法府の判断を尊重しなければならない」「日本は判決に不満があったとしてもやむを得ないとの認識を持つべきだ」と、事実上、日本側に判決の受け入れを迫った。

つまり、一方で日本企業に不当に巨額の賠償金を求めながら、もう一方では日本の企業に学生を送り込もうと画策しているわけである。

さらに、文政権の暴挙は「徴用工判決」だけに留まらない。

朴槿恵前大統領との間で「最終的かつ不可逆的に解決」した慰安婦問題を蒸し返し、子どものような嘘を吐き続けるレーダー照射事件も未だ燻り続けている。

また、アメリカとも在韓米軍の駐留費を巡って交渉が難航。日米韓の同盟にも亀裂が入りかねない。

では、日韓関係が「史上最悪」レベルで冷え切るなか、なぜ韓国の若者は日本の企業を目指すのか。

そして、なぜそれを国が支援するのか――。

最大の理由は、文政権の経済政策がことごとく失敗し、韓国経済が危機に陥っていることにある。

若者の失業率は約15%


韓国国内でとりわけ批判を浴びているのは、財閥依存からの脱却を掲げる文大統領が推し進めた「最低賃金の引き上げ」だ。

元「週刊東洋経済」編集長で経済評論家の勝又壽良氏によれば、

「文政権は最低賃金を昨年だけで16・4%、今年から10・9%引き上げています。

賃金が3割近く上昇した結果、たとえばコンビニでは従業員の給与がオーナーを上回る異様な状況が起きています。

また、賃金アップに応じないと罰則が科されるため、経営に窮した企業は従業員を解雇せざるを得ません。

中小企業のみならず大企業への打撃も甚大。従業員の平均年収が約1千万円とされる現代自動車も、数百億円規模の人件費増に見舞われると指摘されている。

“人件費倒産”に至る危険性も高まっています」

加えて、住宅ローンやクレジットカードの代金、奨学金の支払いなどを含む「家計債務」も昨年150兆円を突破。

1世帯当たり約800万円の借金を背負っている計算だ。

「年金が充実していない韓国では高齢者が借金で生活費を賄うことも珍しくない。就職できない若者も同様です。

当然ながら、多額の借金を抱えれば個人消費も伸びません」

 元駐韓大使の武藤正敏氏が言葉を継ぐには、

「財閥を目の敵にして最低賃金や法人税の引き上げに踏み切ったことがそもそもの間違いでした。

財閥が苦しめば、下請けの中小企業も立ち行かなくなる。

結果、多くの企業が雇用を躊躇して失業率が高まる悪循環に陥った。

なかでも、若者の失業率は10%近くに達しています。

就職を諦めた学生を含めれば15%ほどに上るのではないか」

労組と市民団体に支えられ、弱者に寄り添う「庶民派大統領」の政策が企業を窮地に追いやり、リストラの嵐を呼ぶとは大いなる皮肉である。

文政権の失策は韓国で「雇用惨事」と揶揄され、就活中の若者たちは、そのしわ寄せで「超氷河期」に苦しんでいる――。



「週刊新潮」2019年2月7日号 掲載