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「反日だった」朴槿恵前大統領を、なぜ韓国国民はブタ箱に放り込んだのか?

2017-06-15 18:09:44 | 日記
マネーボイス

「反日だった」朴槿恵前大統領を、なぜ韓国国民はブタ箱に放り込んだのか?

2017年4月4日

ついに逮捕された朴槿恵前大統領。敗因は反日の封印であり、ストレスのはけ口を失った韓国国民が経済状況の酷さに気づいたことだ。

この政権の4年間を振り返って解説する。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)

※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2017年4月2日号の抜粋です。

反日でギリギリ保っていた?朴槿恵前韓国大統領の4年間を振り返る

「日本を千年恨む」就任早々に宣言をしたワケ

今回はついに逮捕されてしまった韓国の朴槿恵前大統領を特集する。

当メルマガは2011年に配信を開始し、ほぼ週1ペースで5年半ほど配信を続けてきた。

メルマガを始めた当初は明博政権だったが、それから1年後に朴槿恵政権がスタート。

その当時から今までに取り上げた内容を見ながら、朴槿恵前大統領の4年間を振り返って解説する。


朴大統領は2月25日の就任後、麻生太郎副総理との会談などで、日本に歴史問題への対応を求めているが、演説で日韓関係についてメッセージを発するのは初めて。

竹島、慰安婦問題など具体的懸案には触れなかったが、未来に向かうためにまず過去の問題を解決すべきだという内容で、安倍政権に厳しい注文を突き付けた形だ。

大統領は「歴史に対する正直な省察がなされるとき、共同繁栄の未来も共に開ける。加害者と被害者という歴史的立場は千年の歴史が流れても変わらない」と言明。

これは私が第81回(2013年3月3日配信日)のメルマガで取り上げた時事通信の記事である。本当に就任早々、「日本を千年恨む」と宣言したのだ。

なぜ、最初から朴槿恵前大統領が反日全開だったのか。その理由は、支持率の低さにある。

朴槿恵前大統領は、次の韓国大統領候補で最も人気がある文在寅(ムン・ジェイン)氏との選挙戦にわずかな票差で勝って大統領に就任した。

当然、ギリギリの勝利では政権基盤が弱いことになる。

【関連】親日か反日か?次の韓国大統領になる男「文在寅」(ムン・ジェイン)の狙い

そこで朴槿恵前大統領は、反日政策を邁進することで地盤を固めようとした。

その効果はてきめんだった。

すぐさま支持率は爆上げとなり、日本が批判する「告げ口外交」と「慰安婦ガー」という、聞かれてもいない「反日」を世界中で触れ回ったことで、朴槿恵前大統領は「外交の天才」と評価された。

当時、私はこんな言葉を残している。


最低の支持率の結果、すぐさま反日に行動を移した韓国の朴槿恵大統領。

文章を読んで驚いたと思うが、現時点で盧武鉉前大統領、明博大統領なんて遙かに超える逸材である。

就任して舵を取っても、韓国経済が苦境に立たされる未来は決定している。

つまり、これは始まりであってゴールではない。明博大統領なんかとは比べものにならないぐらい、日本批判を展開してくることだろう。

最後に私の朴槿恵大統領に対する経済評価は、明博前大統領以下なのは言うまでもないが、はっきりいって「無能」である。

今年、韓国は日本に貿易赤字を255億ドル出している。

そして、日本批判するということは、経済的な視点からしてもマイナスだ。

つまり、4年前に私はいずれはこうなることを予言していた。

そして案の定、朴槿恵前大統領の経済政策は無能そのものであった。

もっとも、当時は弾劾罷免されるとまでは思っていなかったが。

結果的に、韓国経済は衰退化が顕著となった。

今の株価や通貨ウォンは、サムスン電子のおかげで当時よりも高水準を保っているが、それもいつまで持つかはわからない。

あまりにも韓国以外の外部的な要因が複雑過ぎるのだ。

暴落するのは、韓国が米国によって「為替操作国」として認定される時か、韓国の次の大統領がTHAAD配備の中止を宣言する時か、はたまた赤化に進んだときか。

朝鮮戦争の再開といったことも十分に考えられる。

引き続き、朴槿恵前大統領の4年間を振り返っていこう。

「オバマの逆鱗」に触れて幕引きに

オバマ政権が韓国に甘く、日本に対して「もっと韓国と仲良くしろ」と迫る中で、韓国は増長していく。

朴槿恵前大統領は「アジアのバランサー」と褒め称えられてコウモリ外交を行い、中国依存をさらに高めていった。明博政権でもそれなりに中国依存はあったわけだが、朴槿恵前大統領の時代はそれをさらに加速させていく。そして、中国も韓国を快く受け入れ、蜜月関係が始まった。AIIBへの参加と副総裁の地位、500億ドル規模の韓中通貨スワップ、中国の軍事パレードへの参加など、誰が見ても赤化するんじゃないかと思うほどだった。

しかし、2016年の12月末には、激怒したアメリカに脅迫されたのか、朴槿恵前大統領は急に日韓慰安婦合意を締結。さらに北朝鮮が水爆実験を行った際、中国に頼ろうとホットラインを使って連絡するも不通だったことがあり、突然の方向転換を行った。反日を止め、THAAD配備を検討するなど、いきなり赤化から逆戻りを始めたのだ。

これに関しては、アメリカが本当に激怒したのではないかと思っている。

今まで韓国が中国にべったりだったことについて、オバマ前大統領はなんとか我慢してきたが、もう限界だったのだろう。

THAAD配備という踏み絵をちらつかせて、従うか、そのまま中国の元へ走るかの2択を迫られたのではないか。

これが朴槿恵前大統領の外交の幕引きだったと記憶している。

韓国国民から漏れ始めた「不満の声」、一気に政権崩壊へ

そして、反日がすっかりなりを潜めたことで、韓国の国民から不平が漏れ始めていく。反日でストレスを解消していた韓国だが、造船や海運、原油価格の急落などのよる海外建設不振などといった、経済状況の酷さに気づき始めたのだ。

そんな中、2016年8月31日、韓進海運の破綻から起きた物流大混乱事件での政府対応のお粗末さに続き、サムスン電子のギャラクシーノート7の爆発事故によって韓国に抑えられない不満が高まりつつあった。

支持率もすっかり低迷しており、与党のセヌリ党からも批判されていく。

今思えば、朴槿恵前大統領の弾劾罷免までの下準備はもうこの頃にはできていたのだろう。

そして、2016年10月24日に朴槿恵前大統領のスピーチ原稿に

チェ容疑者の関与を示す文書が見つかった。

そこから朴槿恵前大統領は占い師に操作されていたという根も葉もない噂が韓国中に拡大して支持率は4%となり、100万人を超える抗議デモが毎週ソウルで開催されていく。

最後は弾劾されて数ヶ月後、それが憲法裁判所の裁判官によって罷免されて、2017年3月31日に逮捕された。

大統領という最高の地位にまで上りつめた4年間の最後は囚人生活という。

最高から最低までを朴槿恵前大統領は経験することとなった。

しかも、この先は魔女裁判にかけられて処刑される未来すらあるという。

朴槿恵前大統領がこうなった最大の理由は、「反日の封印」である。

政府への不満を反日で抑え込んでいたからこそ、3年も持ったのだ。つまり、韓国では反日でなければ1年すら大統領が務まらないことになる。

結局、朴槿恵前大統領が残したものは、日本の鳩山元総理と同じようなものである。日本と米国との関係の悪化、中韓関係の悪化、北朝鮮関係の悪化、告げ口外交による韓国の権威喪失という、考えうる限り最悪の外交情勢を作りだした。

しかし、日本との関係だけは、朴槿恵前大統領のせいだけではない。朴槿恵前大統領は日韓慰安婦合意によって、日本との通貨スワップ協定の交渉を再開し、なんとか韓国を経済危機から救おうとした。しかし、それは韓国国民には届かなかったのだ。それは当たり前のことで、今まで散々「日本側にメリットがある」と吹聴してきた通貨スワップ協定である。韓国側だけが必要だとは、認められるわけがないのだ。

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)

2017-06-15 17:27:20 | 日記
fujipon

2015年07月19日 00:00

【読書感想】「ドイツ帝国」が世界を破滅させる (fujipon)

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)

作者: エマニュエル・トッド,堀茂樹
出版社/メーカー: 文藝春秋
発売日: 2015/05/20

フランスの歴史人口学者・家族人類学者、エマニュエル・トッドさんが、現在のヨーロッパ、とくにドイツを中心とするEUの問題について語ったインタビュー集です。

 僕自身、こういう海外情勢に関する話って、「日本人が外国を語ったもの」か、「外国人が日本について述べたもの」のいずれかを読むことがほとんどなので、フランス人であるトッドさんが、ドイツやEUについて語るという「外国人が他の外国について考察したもの」というのは、こんな感じなのだな、と興味深く読みました。

 トッドさんは「国・地域ごとの家族システムの違いや人口動態に着目する方法論」で、ソ連の崩壊やアメリカの金融危機を「予言」した人なのだそうです。

 ここに掲載されているインタビューを読んだかぎりでは、自分の国であるフランスについては、かなり悲観的で、ドイツについてはちょっと「陰謀論的」なのではないか、という気がしたのですが、ヨーロッパの中では、ドイツ脅威論、というのはけっこう強いのかもしれませんね。

 ギリシャ問題でも、「ドイツのユーロ圏での『一人勝ち』っぷり」が、採りあげられることが多いですし。

 まあでも、このタイトルは、ちょっと「釣り」っぽいとは思います。

 この本を読んでいて面白かったのは「歴史人口学」という観点でした。


――あなたは人口学的指標を通じて、さまざまな人間社会とその未来を理解しようとする学者ですね。

ロシアは40年前から、あなたが好んで扱うフィールドの一つです。

奇しくも今日、ロシアがふたたびヨーロッパを震撼させています。この現状をどう捉えているか、教えてください。

 1976年に、私はソ連で乳児死亡率が再上昇しつつあることを発見しました。

 その減少はソ連の当局者たちを相当面食らわせたらしく、当時彼らは最新の統計を発表するのをやめました。

というのも、乳児死亡率(1歳未満での死亡率)の再上昇は社会システムの一般的劣化の証拠なのです。

私はそこから、ソビエト体制の崩壊が間近だという結論を引き出したのです(『最後の転落』)。

 ところが今日、数か月前から私が観察し、注目しているのは、プーチン支配下のロシアでかつてとは逆に、乳児死亡率が目覚ましく低下しつつあるという現象なのです。

並行して、それ以外の人口学的指標も有意の事態改善を示しています。

男性の平均余命、自殺と殺人の発生率、また何よりも重要な出生率などの指標です。

 2009年以来、ロシアの人口は増加に転じて、すべてのコメンテーターや専門家を驚かせています。

 これは、ロシア社会が、ソビエトシステム崩壊による激しい動揺と、1990年代のエリツィン統治を経て、今、再生の真っ最中だということを示しています。

 ロシアのこの状況は、数多くの点で、中央ヨーロッパの国々や、底知れない実存的危機に沈んだウクライナに比べればいうまでもないですが、西欧の多くの国々と比べても、より良好な状況だといえます。

 トッドさんによると、「人口学的なデータはきわめて捏造しにくいので、最高度の信頼がある」のだそうです。

 そうか、乳児死亡率とか出生率で、ある国の「情勢」みたいなものがわかるんですね。

 それだけでわかるのか?とちょっと思ったのだけれど、乳児死亡率は公衆衛生や医療のレベルを反映しているし、結局最後には「人口」がモノをいう、という面はあるわけで。

 トッドさんは、いまのドイツの隆盛の理由を、このように説明しています。


 最近のドイツのパワーは、かつて共産主義だった国々の住民を資本主義の中の労働力とすることによって形成された。

これはおそらくドイツ人自身も十分に自覚していないことで、その点に、もしかすると彼らの真の脆さがあるのかもしれない。

 つまり、ドイツ経済のダイナミズムは単にドイツのものではないということだ。

ライン川の向こうの我らが隣人たちの成功は、部分的に、かつての共産圏諸国がたいへん教育熱心だったという事実に由来している。

共産圏諸国が崩壊後に残したのは、時代遅れになった産業システムだけではなく、教育レベルの高い住民たちでもあったのだ。


 ドイツはグローバリゼーションに対して特殊なやり方で適応しました。

部品製造を部分的にユーロ圏の外の東ヨーロッパへ移転して、非常に安い労働力を利用したのです。

 ベルリンの壁が崩壊し、ドイツは東西が統合されたのですが、当初は、旧東ドイツの経済的な遅れが、統合ドイツにとっての大きな負担になっていました。

 しかしながら、ドイツは、結果的に「旧共産圏の安くてそれなりに教育を受けている良質の労働者」を使ってつくった商品を、ユーロ圏の国々に売ることによって、経済的に潤っていったのです。

 中国製の安い商品が、日本の国内産業に大きなダメージを与えていったように、ドイツで安い労働力を使ってつくられた製品は、ユーロ圏の各国の製品との競争に勝っていきました。

 ドイツは、EUという共同体と、その外側にある旧共産圏の「均一性と格差」を利用して、いいとこ取りをし、「うまくやってきた国」なのです。

 この本を読んでいると、ギリシャ問題などで、EU各国がドイツに「なんとかしろ」と丸投げしようとするのも、わかるような気がするんですよね。

 結局、ドイツが「ひとり勝ち」の状況なのだから(実質国内総生産(GDP)でも、ドイツがヨーロッパ諸国のなかでも抜きん出ています)。

 まあしかし、トッドさんはフランス人だからなのか、とにかくドイツに対しては危機感を煽っているようにもみえます。

 その一方で、母国フランスの指導者たちには、呆れ返っているのです。

 この本のなかで、トッドさんは、こう言っています。


 最後に、人類学者からの助言を一つ付け加えます。

自分たちの道徳観を地球全体に押し付けようとするアグレッシブな西洋人は、自分たちのほうがどうしようもなく少数派であり、量的に見れば父系制文

化のほうが支配的だということを知ったほうがよろしい。

 私は個人的には、われわれの生活様式が気に入っているし、フランスで同性婚が認められたことをとても喜ばしいと思っています。

しかしそうしたことを文明と外交の領域で主要なリファレンスにするのは、千年戦争をおっぱじめることであり、その戦争はわれわれにとって勝ち目のない戦争なのです。

 日本に住んでいても、つい、アメリカやヨーロッパが、「世界基準」なのだと思いこんでしまいがちなのだけれど、少なくともその文化に属する人の数でいえば、「父系制文化のほうが支配的」なのです。

 今後、人口や経済の面で、西欧以外の、アジアや南アメリカなどの力が増していくと、彼らがいまの西欧の道徳観に近づいていくのか、それとも、伝統的な父系制文化が復権していることになるのか。

 いまのヨーロッパの状況というのは、ドイツが覇権主義に陥っているというよりは、ドイツは自分の役を鬱陶しそうにこなしているだけ、のようにも見えるのですが、今後、どうなっていくのやら。

 ヨーロッパの情勢についてはもちろんなのですが、「歴史人口学」というモノの見方には、興味深いものがありました。