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横浜港厳戒!新型肺炎COVID-19,中国は感染者4万4653名-4000名回復退院-死者1113名

2020-02-12 20:10:32 | 国際・政治
■国内感染拡大阻止の課題
 横浜ではクルーズ船ダイヤモンドプリンセス検疫留の最中での感染拡大に改めて驚かされる新型肺炎です。

 日本国内の新型肺炎検査体制を強化する必要はないか、例えばトラベルポッドを搭載した自衛隊機を用いてでも日本全国の検査機関、病院や研究機関は勿論、大学施設や民間研究機関へ輸送し検査体制を強化、一日での限られた検査能力による、感染者の検査未徹底による静かな感染拡大を阻止する為の、有事体制、非常措置法の立法措置は必要でしょう。

 COVID-19,今回の2019-nCoV新型コロナウィルス肺炎についてWHO世界保健機関はこの疾病をCOVID-19“コビッド19”と命名しました。中国国家衛生健康委員会は11日の発表で、新型肺炎COVID-19の感染者数は新たに2015名増加し4万4653名に増加したとともに湖北省を中心に死者は97名増大し、死者は全体で大台の1113名にも上っています。

 203名、日本国内の感染者は先月から順次チャーター機により封鎖された武漢より帰国した邦人を中心に感染が拡大し、14日間のホテルや政府宿泊施設等での隔離措置とともにCOVID-19陽性反応が確認されており、203名に上っています。また横浜で検疫留中のクルーズ船ダイヤモンドプリンセスでも感染者が多数確認、検疫官の感染も確認されました。

 新型コロナウィルス肺炎について。今回は致死率というより回復率の低さという視点、外務省の邦人一時帰国呼び掛けという新しい難題への視点、また日本国内での感染拡大の脅威という視点から考えてみましょう。WHOが公衆衛生上の非常事態PHEICを発令している通り、視点を改めてみますと脅威度は高く、日本国内での拡大も懸念すべきものです。

 五人に一人は病院を生きて出られないのか、中国政府は武漢等一部都市で致死率5%、概ね全体の致死率は3%未満という数字を示しており、同時にアメリカ国内での季節性インフルエンザ死者数が増大している事から、一見、克服へ端緒を見い出せそうに思えますが、実は感染者数以上に退院した数の方が、このCOVID-19脅威度を示してはいないでしょうか。

 4000名が回復し退院した。湖北省を中心に中国国内では医療関係者や人民解放軍衛生部隊とボランティアの尽力もあり、感染者で収容された患者の内、11日までに4000名が退院できた事を発表しましたが、要するに現在病院を出た人数は5113名で、この内1113名が生きて病院を出られなかった、という事となり、懸念すべき状況には変わりがありません。

 武漢封鎖始め現在、5000万名の人々が封鎖都市として感染拡大防止の目的から封鎖された地域に居住していますが、唯一の光明はここ数日間で感染者数が3000名の大台から久々に2000名台まで縮小した事で、遮二無二ともいえる感染拡大防止措置の成果が具現化し始めたともいえるのかもしれません。しかし、10日に延長を重ねた春節休暇が終了しました。

 中国は世界第二位の経済大国、また同時に世界の工場として全地球規模での部品供給網に要諦の一端を担う地位を有しており、春節休暇を延々継続し人やモノの移動を制限する事で感染拡大を防止させる手段は、部品供給網を全地球規模で停滞させる事となります。このままでは2011年東日本大震災以上の世界経済への悪影響となり得、再開したのでしょう。

 至急検討。湖北省に続いて浙江省では感染者が一万名を越え、その十万人当たりの感染者数も湖北省に次いで多い事から、浙江省でも武漢はじめ都市閉鎖措置が取られる可能性が出てきました。この現状から外務省が中国各地での新型肺炎拡大を受け中国からの一時帰国を“至急検討”するよう呼びかけると共に中国全土への渡航延期勧告を継続しています。

 邦人救出として武漢に孤立した邦人帰国は全日空チャーター機の第五便により、武漢市内と周辺に居住していました770名規模の脱出が完了しますが、問題は中国全土の居住邦人です。過去の中国国内でのパンデミー、流行禍の時代と比べ中国の世界経済に占める役割は大きく、安易に“大陸封鎖”という措置は採れません。そして在留者数も多い、という。

 中国在留邦人は外務省によれば12万0076名、武漢在留邦人よりも桁が幾つも違うのです。また、中国全土でのCOVID-19感染拡大が進む中、帰国する邦人の罹患懸念は当然無視できませんが、帰国まで時間を延ばせばその分だけ罹患の懸念があり、感染封じ込めはまだ端緒である留意が必要です。帰国者へ、相応の検査体制を急ぎ構築する必要は、特に高い。

 ダイヤモンドプリンセス。三菱重工が建造した巨大クルーズ船、横浜港にて検疫留となっています現状でも懸念すべき状況が続いています、総トン数11万5900tの客船には乗員乗客3700名が乗船していますが、一時乗船した香港籍乗客感染者より感染拡大が疑われ、厚生労働省によれば本日12日までに乗員乗客174名が感染、内10名が重篤状態にあります。

 ダイヤモンドプリンセスが如何に大型かといいますと、日本では豪華客船の代名詞として1990年に建造された飛鳥が乗員乗客896名となっていまして、要するにこの三十年間で客船は高価な運賃による丁寧なサービスよりは大型化する事で薄利多売を実現し、リゾートホテルと同程度の安価なクルージングを実現しているのですね。その分、旅客数も多い。

 はくおう、政府傭船を病院船として転用する方式や大規模災害に備え医務室設備を充実させた輸送艦や補給艦に収容する等、幾つか対策は考えられますが、はくおう、は新日本海フェリーのカーフェリーであり個室数は110名、医療機能自衛隊最大の補給艦ましゅう隔離寝台は7床で病床数は全体で46床、いずも型で35床、ひゅうが型で8床、とのこと。

 病院船は予算さえ確保するならば、中古客船やタンカーを転用する事で建造は必ずしも難しくはありません、しかし問題は医療従事者です、医師や医療技師と看護師を数百人単位で集められるほど、日本の医学部は医師を大量養成していませんし、全国の病院でも患者数に対し潤沢な医療関係者を確保出来、人員に余裕のある事例、現実は多くはありません。

 最悪の場合はどうするか。中国国内での感染拡大がこのまま終息せず制御不能となり、さらに大規模な都市封鎖などが実施されると仮定した場合、驚異的な感染力を持つCOVID-19蔓延は回避せねばならないが、邦人救出の必要はある、この場合には、しかしダイヤモンドプリンセスでの検疫隔離という手法は、厳しいようですが成功しているのではないか。

 中国在留邦人緊急退避が必要となった場合、大量の無症状感染者が国内へ流入する懸念を払拭するには、例えば東京五輪へホテルシップとして傭船している巨大客船を緊急徴用し、検疫隔離する事が、予算措置は難しいですし、日本は海運を重視しつつも客船を軽視してきましたので日本船籍ではない故の傭船の難しさがありますが、選択肢ではないか、と。

 コスタベチア号総トン数135500tで旅客定員5260名、サン-プリンセス号総トン数77441tで旅客定員2000名、エクスプローラードリーム号総トン数75338tで旅客定員1856名、等が予定されています。実のところ、人員輸送を考えた場合はイギリスのP&O社やキュナード社にあたる有事の際に輸送支援を要請できる会社をもう少し維持しておくべきでした。

 郵船クルーズが飛鳥Ⅱを運行していますが、日本の旅客船は巨大クルーズ船というよりはカーフェリー主体で、余裕があまりないのですね。しかし、検疫隔離を旅客機で実施するには限度があり、こうなりますと東京五輪に併せて傭船している民間船の活用を行う、若しくは埠頭や演習場等、臨時検疫隔離施設を数万名分、緊急準備を検討すべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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