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陸上防衛作戦部隊論(第四二回):装甲機動旅団編制案の概要 後方支援部隊と連隊段列

2015-12-27 20:20:44 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団支援部隊編制
装甲機動旅団編制案の概要、後方支援部隊と連隊段列及び部隊編制について。

広域師団は装甲機動旅団と航空機動旅団の二個旅団を基幹として編成する、そして新防衛大綱に明示された戦車定数削減を受け、自衛隊の基幹部隊を戦車を持つ装甲機動旅団と方面隊のヘリコプターを運用に含む航空機動旅団へ改編し、緊急展開と機動打撃の二分化を明確とする、この視点について論述し、ここまで近接戦闘部隊と遠距離火力部隊に情報収集部隊と戦闘支援部隊を掲載し、そして後方支援に関する提示を掲載してきました。

装甲機動旅団の基幹部隊は普通科連隊であり、普通科連隊は戦車を確実に支援可能な装甲戦闘車中隊を二個と軽装甲機動車中隊に重迫撃砲と対戦車ミサイルを装備する火力中隊を基幹とし、集中配備を受ける装甲機動旅団は隷下に三個戦車中隊を有し、各連隊へ一個戦車中隊を派遣、連隊戦闘団編成時には装甲戦闘車中隊二個とともに機械化大隊を編成する、そして旅団策源地と連隊戦闘団は連隊戦闘団が段列地域を置き補給拠点とします。

段列地域での補給ですが、普通科連隊本部管理中隊には補給小隊と輸送小隊が置かれています。補給能力を集約し、物資集積地と燃料集積地を構成する必要があり、一方相手の視点からは脆弱性が高い割には部隊稼動を支える高付加価値目標にほかなりません、ただ、分散させすぎますと一カ所あたりの補給力に限界が生じますので、戦闘団編成時には一時補給小隊と輸送小隊を二つに再編し、臨時編成として二つの直接支援中隊に補給小隊を付与するべきです。すると、前方段列と主段列に分かれることとすべきでしょう。

行動地域は対砲兵戦が戦われる最前線の一角ですので後方段列とは呼称しません。すると、後方支援部隊は後方支援隊か後方支援連隊か、との視点について、平時編制にあっても後方支援部隊は2個中隊基幹の部隊が後方支援部隊隷下で待機することとなりますから、実質大隊規模の部隊が連隊数と同じ数を持つこととなります、実際、連隊戦闘団編成時は各部隊の補給小隊と輸送小隊を集約しますので、増強二個中隊を基幹とすることになり、これは戦闘支援大隊、と誇称して差し支えないでしょう。

結果、旅団の後方支援は、全般支援大隊、3個戦闘支援大隊、輸送隊、衛生隊、という編成になりますので、後方支援部隊はその規模から隊編成ではなく連隊、とすべきです。もちろん、縮小編制の大隊の寄せ集めではありますが、連隊長は旅団第四科長として後方支援全般の幕僚勤務に当たる訳ですから妥当性はあります。一方、今後掲載する航空機動旅団については部隊指揮と部隊単位がその運用必要性に応じ変化するため、その部分については比較できるようになります。

輸送支援による整備間隔について。接敵行軍の際には不期遭遇戦の懸念から管理輸送にあたる輸送車の支援は受けることができませんし、対空警戒時にも路外へ戦車は離脱し散開が可能ですが、輸送車に搭載しますと、どうにもなりません。しかし、集結地域まで、この集結地域までの機動も攻撃側には高付加価値目標にあたりますので、競合地域での管理輸送にも限界があり、どこまで輸送支援を受けるのかという避けて通れない命題が浮上します。

ただ、こうした問題はあるものの、しかし駐屯地から戦闘正面まで戦車や装甲戦闘車がすべて自走するという選択肢はあり得ません。すると、装軌車整備班の総数と戦車輸送車、装甲戦闘車の場合はたとえば89式装甲戦闘車で26tですから大型セミトレーラでの輸送が可能ですが、輸送隊の輸送力、その比率が変わってきます。輸送についてはPLS輸送車が全般的に必要となります、HEMTT、として米軍にも採用されている方式です。

PLS輸送車はコンテナ方式の輸送に特化した車両で、重装輪回収車の車体を応用した10t型の国産型がすでに東急車両により製造され自衛隊に納入されはじめていますが、PLS輸送車であれば、牽引車として戦車輸送にトレーラを装備し運用するとともに、接敵行動時には戦車を即座に展開させ、その戦車降車後にはコンテナ輸送車へ切り替え、輸送支援に加入します、PLSは卸下の迅速化が図られていますので、段列輸送の脆弱性を低減可能であるとともに、戦車を管理輸送する能力を高めることで整備負担の軽減に寄与するでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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