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【防衛情報】F-35戦闘機最新情報,チェコJAS-39後継とポーランドF-35配備日程,韓国F-35増強と射出座席問題

2022-10-08 20:22:55 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回は自衛隊でも配備進むF-35戦闘機に関する最新の話題を定期的に紹介する10月初旬版です。

 チェコ政府は7月20日、次期戦闘機にF-35戦闘機を導入する方針としてアメリカと交渉を開始しました。チェコ空軍は2004年にスウェーデンよりJAS-39戦闘機を運用しています、これは2004年に7億5000万ドルで10年間のリース契約を結び2014年に更にリース延長契約を結んでいますが、2027年にリース契約が完了するため後継機を選定中でした。

 F-35戦闘機は24機の導入を構想しています、JAS-39戦闘機のリースは14機であり、これよりも増勢される事となりますが、もともとチェコ空軍はMiG-21戦闘機後継にJAS-39戦闘機24機を13億5000万ドルで取得する計画であった一方、2002年中欧大洪水による復興予算捻出の為、取得をリースに切り替え機数も大幅縮小したという背景がありました。

 チェコ国防省によればF-35戦闘機24機の調達費用は交渉中であり大まかな金額は開示できないとの事です、この為、機体取得費用と共にロッキードマーティン社による兵站支援包括契約や教育訓練契約が含まれるかについても発表ありません。チェコ空軍は24機を2個飛行隊に配備する計画であり、実現すれば中欧諸国として最初のF-35採用国となります。
■ポーランド2024年配備開始
 ロシア軍ウクライナ侵攻を受け国運を掛けての防衛力強化を進めるポーランドの話題です。

 ポーランド空軍が導入するF-35戦闘機は2024年にも引き渡しが開始されるとのこと。これはイギリスで行われたファンボロー国際航空展において明らかとなった事ですが、同時に2024年納入は従来示されていた導入計画でもあり、ロシアのウクライナ戦争を受け同国が運用するMiG-29後継機の導入加速には至っていない事も示した事例といえました。

 MiG-29戦闘機とSu-22攻撃機の後継機を模索していたポーランド、ポーランド政府は第五世代戦闘機であるF-35導入をアメリカに打診し2019年9月10日に国務省が認可、2020年1月にF-35戦闘機32機を46億ドルにて取得する契約をすでに結んでおり、この契約にはロッキードマーティン社による兵站支援包括契約や教育訓練契約が含まれています。

 F-35戦闘機の導入は2019年にポーランドのドゥダ大統領がアメリカを訪問し当時のトランプ大統領と首脳会談に臨んだ際、ホワイトハウス上空を2機のF-35戦闘機がデモフライトを実施し、これを機に交渉が進められていました。2024年の納入が予定通りという事は同時にウクライナへNATOが供与したMiG-29は同国のものではない事も示しています。
■韓国-F-35を20機追加へ
 KF-21戦闘機の初飛行に沸く韓国はF-35とKF-21のハイローミックスを進めます。

 韓国空軍はF-35A戦闘機を20機追加調達する方針を発表しました、これは7月15日に李国防相が発表したもので、20機を3兆9000億ウォン、30億ドルにより追加、追加されるF-35は来年2023年から2028年にかけて導入するとのこと。韓国はもともとF-35増強を計画していたのですが前の政権である文大統領時代にはF-35Bを模索していました。

 文前大統領時代には韓国政府は全通飛行甲板型揚陸艦に搭載するべく垂直離着陸能力を持つF-35B戦闘機を模索していた、また韓国型空母としてF-35Bを搭載する中型空母の建造も見込んでいたが、今回提示されたものはF-35A,空軍型となっています。なお、韓国はこれまでにF-35A戦闘機40機を導入しており、今回の追加で60機体制となる計算です。

 尹大統領就任後の新政権において、F-35Bの調達がF-35A調達に転換した背景は発表されていませんが、韓国空軍には初期のF-16戦闘機や日本でさえ引退したF-4戦闘機に旧式のF-5戦闘機等が残っており、F-35Bよりも先ず既存の旧式機置換えが優先されたのでしょう。また韓国は国産第4.9世代機KF-21を初飛行、ハイローミックスの可能性もあります。
■マーチンベイカー問題
 七月に世界を騒がせた射出座席問題のその後の顛末です。

 アメリカ空軍は8月16日までにF-35A射出座席問題の349機を点検完了したと発表しました。これはF-35戦闘機の射出座席について、マーチンベイカー社製射出座席の推進薬点火カートリッジ不良により、カートリッジ内の粉末マグネシウムが流失払底してしまい、万一の脱出の際に推進薬に点火しない、つまり射出できない可能性がある問題でした。

 F-35戦闘機の射出座席問題が発表されたのは7月19日で、空軍は射出座席欠陥問題を長らく精査し、特定のロットで製造されたマーチンベイカー社製射出座席の固有部品に問題があると発表しています。ただ、349機のF-35Aを点検した結果、欠陥疑いのあるカートリッジは4機分から回収された一方、精査したところ変形は有っても作動したとのこと。

 射出座席問題は今年4月にユタ州のヒル空軍基地において定期検査を行った際にカートリッジからのマグネシウム粉末流失を発見、これを受けマーチンベイカー社も製造している射出座席に不良部品二つを発見したとしています。なお、点検の結果で問題が発見されなかったF-35は順次任務に復帰しており、点検は短期間で完了した事は重要でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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