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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

オーストラリア海軍次期潜水艦選定、日独仏各社へ入札参加要請

2015-02-22 23:40:03 | 防衛・安全保障
◆豪州新潜水艦へ総額500億豪ドル
 報道などによればオーストラリア政府は新潜水艦選定へ入札参加要請を行いました。

 オーストラリア政府は新潜水艦選定へ、日本、ドイツ、フランスへ要請した旨を20日アンドリュース国防大臣が発表、これにより昨今識者より多くの注目を集めた我が国からの潜水艦輸出はいよいよ現実味を帯びてきました。一方でアボット首相は新潜水艦選定に現在のコリンズ級潜水艦を設計したスウェーデンを今回の次期潜水艦選定の対象外とする声明を出しています。

 新潜水艦選定は総額500億豪ドルで邦貨換算では4兆6400億円に達する巨大契約であり、現時点ではオーストラリア海軍は広大な太平洋とオーストラリア周辺海域の哨戒任務を想定していることから、4000t級の潜水艦を求める声があり、個々から選択肢が限られてくるところ。

 オーストラリアと同じように広大な海域の警戒任務に当たり静粛性の高さが環太平洋合同演習などで知られる海上自衛隊そうりゅう型潜水艦に優位があり、ドイツは現在生産中の212型潜水艦を二倍へ拡大する216型潜水艦、フランスもスコルペヌ級潜水艦を倍程度に拡大する新型を提示するもよう。

 オーストラリア政府はノックダウン生産に近い形で自国内潜水艦建造基盤の必要な部分、具体的には造船業に関する雇用維持を行った上で最新鋭の潜水艦導入を希望しており、日本の提示すると考えられる潜水艦そうりゅう型はすでに実績があり、一方遠くない時期に新型潜水艦の設計が始まるため、供与できる部分は多いと言えるかもしれません

 一方で技術流出を心配する声も多いのですが戦争システムなどについては豪州海軍は海外製をそのまま取得することは考えにくく自国仕様に合わせたものを搭載しますので漏えいの心配はありませんし、設計技術を流失させる懸念ですが潜水艦の建造の専門性を考えれば有り得ません、実際にオーストラリアはコリンズ級の建造を通じても建造技術を得られていません。

 フランスとドイツは新設計でありフランスは原子力潜水艦ではこの規模の潜水艦の設計経験がありますが通常動力潜水艦では1930年代の試験的な潜水艦程度しか実績が無く、ドイツは通常動力を含め3000t級や4000t級の潜水艦建造実績はありません、この為此処に優位性を見出す事も出来るでしょう、が、その分リスクを豪州と共有し挑戦する可能性はある。

 実現すれば我が国防衛産業が国内上の身に依存したことで防衛費に防衛産業の維持、国産技術と高い稼働率に依存するという形でNATOのような共通運用基盤など集団安全保障に軍事力を依存しない方式を構築してきた我が国が、その基盤を防衛費の上限と防衛任務の拡大に伴う費用負担の難しさから限界が見えてきたところへ、一つの解決策と成り得るものでして、今後の進展を見守りたいところです。
 
北大路機関:はるな
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