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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

八月八日は“八八艦隊の日” 専守防衛!集団的自衛権に依存しない独自防衛力を考える

2015-08-08 22:48:04 | 北大路機関特別企画
■八七艦隊建造案!
本日八月八日は“八八艦隊の日”、そこで本日は海上防衛を主軸に集団的自衛権に依存しない独自防衛力を考えることとしましょう。

海上防衛力に関する個別的自衛権に依拠したシーレーン防衛は、1980年代頃の政策提言を行う立場のシーレーン防衛に関する研究会が、必要な防衛力として、機動運用部隊に7個護衛隊群56隻、群直轄艦にインヴィンシブル級軽空母とシーハリアーの導入が必要、と提言した事例がありまして、インヴィンシブル級を護衛艦ひゅうが型や護衛艦いずも型に、シーハリアーをF-35Bに置き換えれば今日的にも成り立つでしょう。これまで提案していますような、ヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦に汎用護衛艦2隻を配置する2個護衛隊基幹の部隊、個人的には反対ですが、この編成で護衛隊群7個を独力で整備し維持すれば、シーレーンは独力でも防衛し得ることでしょう。

護衛艦隊7個護衛隊群の数的根拠は、我が国周辺海域と中東からの長大なシーレーンに各1個護衛隊群の2個護衛隊群を即応体制に置くというものでした、シーハリアーを1個航空隊10機と想定して運用する部内研究を参考としまして、教育航空群を加え稼動機75機、在場予備機と損失予備機を加え100機程度、ですか。同時期にホーカー社が盛んにハリアーを我が国へ売り込んでいまして、誤報でしたが110機導入検討という話題が流れました、同時期に米空軍が余剰B-52を機雷敷設用と対潜哨戒用に我が国へ打診という怪情報が流れた時代でもあり、参考ともならないのですが、自民党部内での研究がそのまま不明瞭な形を採って流れたことが遠因であるのかもしれません。

集団的自衛権を敢えて否定し、個別的自衛権に依拠した必要な海上防衛力ですが、この7個護衛隊群を独力でシーレーン防衛するための数値との事ですからそのまま参考に、各護衛隊群を2個護衛隊として現行のまま編成した場合で、必要な護衛艦はヘリコプター搭載護衛艦7隻、イージス艦14隻、大型汎用護衛艦35隻、と。現在の護衛艦隊はDDH中心の対潜掃討護衛隊とDDG中心のMD対応護衛隊に区分されていますが、護衛艦隊所要だけで56隻、中曽根内閣時代には地方配備の護衛艦がここに各地方隊へ2個護衛隊6隻を必要としまして、同時期に沿岸用護衛艦の代替を進めていましたので56隻に30隻を加え必要な護衛艦は86隻となります 。

独力でのシーレーン防衛、これは特に我が国のシーレーンが非常に長い為ではありますが、必要な護衛艦数が86隻、当時は護衛艦隊直轄艦1隻を有していましたので87隻となりますか、実は中曽根内閣以降、PKO協力法を始め集団安全保障の枠内に入りつつ集団的自衛権への解釈が内閣法制局により転換してゆく事となるのですが、上記装備数の実現困難を反映してのものとも見えてきます。潜水艦定数は現在の防衛計画の大綱が22隻、これは16隻の定数が増強されたものなのですが、16隻の必要積算根拠がソ連太平洋艦隊警戒へ宗谷海峡・津軽海峡・対馬海峡警戒監視へ、というもので22隻への拡大根拠が南西諸島での中国艦隊太平洋進出への警戒監視へ6隻の増強が必要とされたと推測されるところ。

個別的自衛権にのみ依拠しての海洋進出対処任務を考えますと、更にバシー海峡での警戒監視任務を行わなければならず、必要潜水艦数は28隻、ただバシー海峡は潜水艦基地である呉基地から距離が大きすぎるため、沖縄の勝連基地を拡大するか、回航する潜水艦を増勢する必要があるため、潜水艦定数は30~32隻程度必要とする必要があるでしょう。前述の7個護衛隊群及び地方隊所要の護衛艦87隻という数字は少々非現実的ですが、潜水艦30隻、という見積もりも少々非現実的です、が、南西諸島警戒監視任務へ6隻の増勢が行われた訳ですので、加えてバシー海峡を警戒する運用を念頭とすればこの規模の潜水艦隊が必要となり決して誇張ではありません。

護衛艦約90隻(87隻:全通飛行甲板型護衛艦7隻・イージス艦14隻など)、潜水艦約30隻(32隻)、作戦用航空機300機(哨戒機100機、固定翼艦載機100機、回転翼艦載機100機)、ここに掃海艇や掃海用航空機と救難航空機を加えた装備体系、まさに”ぼくのかんがえたさいきょうの”的な印象の装備となりました。個人的には八八艦隊構想として各護衛隊群をヘリコプター搭載護衛艦1とイージス艦1に汎用護衛艦2から成る護衛隊を2個編成する案を提示していますので、7個護衛隊群構想を示す場合には、全通飛行甲板型護衛艦14隻、イージス艦14隻、汎用護衛艦28隻、F-35B7個航空隊、と示したいのですが、流石にこれは。

八八艦隊といいますか、護衛艦隊と地方隊の計算をしますと期せずして87隻の護衛艦が必要、と八七艦隊構想というような言葉遊びの様になってしまいましたが。この他、個別的自衛権にのみ限定し国土を防空しようとする場合、例えば航空防衛力も、米空軍が有事の際に展開できる航空部隊規模、嘉手納基地だけで戦闘機を350機収容できるといいますので、機動運用可能な戦闘機として航空自衛隊は350機の運用、全体で450機程度の戦闘機が必要となってしまうでしょう。

陸上防衛力は、陸上自衛隊はかなりの防衛力を整備していますので、戦車定数を400両程度確保できれば、あとは適宜通信能力強化と無人機や普通科部隊の装甲化促進で対応できるとは考えます、が、空中機動能力だけは米海兵隊の増援に匹敵する程度増強しなければ島嶼部を含め機動防衛が不可能となりますので増強しなければなりません、が、AH-1W/Z攻撃ヘリコプター12機、UH-1N/Y汎用ヘリコプター 12機、CH-46中輸送ヘリコプター/MV-22可動翼機48機、CH-53E重輸送ヘリコプター32機、AV-8B攻撃機40機、F/A-18戦闘攻撃機24機、EA-6B電子戦機4機、KC-130空中給油機6機、海兵航空団の規模は戦闘序列はこの程度、これを自衛隊が別枠で整備し、投入できる体制を整備しなければなりません。

さて、集団的自衛権を否定し個別的自衛権を行使する範囲内にて、必要な防衛力を整備し我が国のみでの大陸からの軍事圧力へ対処する、という方策、実際現在の野党民主党などは防衛力整備こそが重要としまして、政権時代には削減していた防衛力強化を提唱し、領域警備法などを示しています、更に個別的自衛権に依拠した周辺事態法により、政府が提唱する集団的自衛権行使への対処の代案ともなるとの考え。

日米同盟があり、集団的自衛権は2000年代の解釈で既に行使できないが保持している、との判断が統治行為論に基づき憲法判断を最高裁判所より授権した内閣法制局により為されているのですが、ここを面子だけで個別的自衛権に基づく防衛力整備により達成する場合には、これだけの装備と人員拡充が必要となるわけです。ただ、7個護衛隊群にインヴィンシブル級軽空母を配備しシーハリアーを運用するという構想は過大なのではないの、科との視点があるやもしれませんので若干捕捉を。当時必要とされたシーハリアーは、ソ連海軍航空隊のバックファイア超音速爆撃機からの超音速対艦ミサイル攻撃へ外洋上でイージス艦と共に対処するためのものでした。

そこで、与党部内での意見として仄聞した限りでは、インヴィンシブル級軽空母ではなく、当時計画中であった4万tクラスのシャルルドゴール級原子力空母を通常動力化し、F/A-18C戦闘機を搭載し中距離空対空ミサイルにより視程外戦闘を展開しなければ対応する事は難しいのではないか、という意見があった程、とのこと。中国海軍航空隊は旧式ですが新型巡航ミサイルを投射する長距離爆撃機を運用しているほか、この後継機に関する研究は既に2010年頃より開始されていると伝えられ、アメリカの空母航空団を含む海上航空打撃力を想定せず個別的自衛権により対処しようとするならば、上記の必要防衛力は決して過大ではないといえるやもしれません。

結論から述べますと、日本国家が最大限の資源を国土防衛に投入し、一国だけで永世中立国に近いほどの覚悟を以て防衛力を整備すれば、日米安保条約に基づく集団的自衛権行使に依拠せずとも、我が国は独伊の防衛力で国土の防衛は不可能ではありませんが、これには非常に大きな負担が掛かるものです。しかし、その負担は非常に大きく、当方個人的な私見を述べればやるべきではありません。実際、世界の永世中立国はスイスやオーストリアが代表例として未だに徴兵制を以て陸上国境防衛に多大な負担を国民に強いていますし、諸外国からの介入を自力で排除し専守防衛一国平和を守り抜くことへの国民負担を耐え抜くのか、世界の平和に世界の一員として参画するか、という判断は主権者が選ぶ次元の問題ではあると考える次第です。

北大路機関:はるな くらま
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強襲揚陸打撃機動艦隊案 (一案提起人)
2015-08-09 01:40:43
私の個人的な提案といたしまして、アメリカ級強襲揚陸艦2番艦(トリポリ号)が就役した暁には、旧式化かつ余剰となるワスプ級初期艦を中古FMS制度利用で購入し、そこにMV-22は標準装備ですからもちろんの事、8機程のF-35Bと予備機2機で10機、さらにCH-53E及びAH×5機、そして水陸車両とLCACなどの揚陸装備整備・改修を、含めたオーバーホールを兼ねたドック入りの後に、受領する案です。

つまり現在のヘリ空母4隻+おおすみ級3隻(AAV7+LCACセット及びMV-22)に加えて、常時機動的強襲揚陸艦隊としまして、前述ワスプ級近代化改修一艦とその一個打撃団をセットで購入し、迫りくる脅威に対して効果的かつ冷徹な外交交渉の基礎となるべき、機雷による宮古海峡封鎖も含めた圧力重視配置を可能とすべきという構想ですが、はるな様が想定する場合は、どのような強襲揚陸打撃軍となるのかお聞きしたいです。私は強襲揚陸艦に関してはフランス政府が先日、正式に露国への売却キャンセルを正式発表したミストラル級の導入も価格次第ですが進めるべきかと思う次第です、その場合海兵隊にも言える事ですが、MV-22早期警戒機専任機か既に存在する早期警戒ヘリの搭載が不可欠となるでしょうが、海兵隊すら興味を示しているとされる国産水陸両用車にも期待しております。やはりAAV7でとりあえず水陸両用軍を整備した後はもう少し海上での機動性向上が必要かと存じます。MV-22については米国試験場にて、前方への無誘導ロケット発射試験は既に成功していますので、ミニガンのみではない飛行時前方への火力投射を可能となる事も重要ではないかと思います。

そして色々ありましたが、ようやく決定した陸自次期汎用ヘリについてのご意見を伺いたいです。個人的には双発となった事で大きな生存性向上が果たせると思っておりますが、やはり側面の機関銃のみではなく、一機一台のミニガン標準装備によって舞台全体での抑止力は大幅に向上するのではないでしょうか、もちろんミサイル接近警報装置などは必須でしょうが、海上の露払いや陸上の武装偵察などではミニガンがあるとないとで相手からすれば大きな違いだと思います、なにせ汎用へリに関しては調達数が膨大ですから、色々な場面で応用が利く固定武装は、絶対に必要と提案したいですね。輸送ヘリが軽武装となれば結果的には生存性向上に繋がります。UH-1「ヴェノム」に準じた装備を「搭載可能なスペース」を次期汎用ヘリ改造時に機内空間として、確保しておく事が中長期的な国防力維持には不可欠です。富士重に関しては色々と言いたい事はあるのでしょうが、ここはぐっと堪えて今後の装備調達に全力を注いでほしいものですね。よく話題になる戦闘ヘリの調達数については、アパッチ・ガーディアンを15機程度追加調達もしくは、FMS利用でロングボウ中古機輸入(前述の強襲揚陸一個艦隊分のみ)でいかがでしょうか、それよりもMV-22と次期汎用ヘリを将来発展性を残した空間を確保し、充実した内容にする事が涵養かと存じます。

とりあえずは一個遊撃可能な強襲揚陸軍を、遼寧のような形ではいけませんが、ある程度なりふり構わず素早く戦力化する事が必要かと思います。やはり中古のワスプ級を日本の要求に適合するように改修・延命措置の上で輸入し、おおすみ級や合わせて「強襲揚陸打撃機動艦隊」をなるべく早い時期に構築しなければなりません。尖閣は海保の専従部隊と宮古で抑えるにしても、バシー海峡については、これまでも暗黙の軍事同盟国である中華民国軍との、日本版台湾関係法といった正式条約作成も視野に入れるべきです。
元々の装備の共通性は抜群ですから中華民国海軍との連携を取れる体制を共同演習など実施する事で構築すべきでしょう。雄風Ⅱという優れものを持ち合わせているのですから、こちらかも退役予定の鞍馬などを改修供与する事で、雄風シリーズを日本向けにライセンス生産できないものかと思案しております。宮古及びバシー海峡維持へ必要なのは艦艇よりも先に雄風Ⅱのような艦隊型巡航ミサイルです。
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Unknown (ファッツ)
2015-08-09 14:29:19
いや、今日を八八艦隊の日と言い切るとは…(;´_ゝ`) 流石ははるなさん。(汗) 長崎の方では市長が安保法に対して式典でなんやらかんやらでネットでは若干揉めてますがあの場で政争的な発言ってどうなんですかね?そりゃあのような式典ですから出席者から拍手喝采でしょうし、本人も「法案には反対だけどあのような場だから直接的な賛否は避けた。」みたいな感じですがあれでは…。その点広島市長は海田や呉とのお付き合いがあるのか中立的ですね。本来はこうあるべきだと思いますが。しかし長崎も佐世保基地やら三菱長崎抱えてる筈なんですが…。まぁ、佐世保とは安保を巡って仲が悪いって噂もありますし三菱も立つ場がありませんね。あっ、随分と話が脱線してすみません。

さて本題ですが実際に今回の安保を見送るなら将来的にははるなさんがご指摘する自体も十分考えられると自分も思いますし、今回の法案にも賛成なのです。(只、最近の自民党はこんな重要・しかも慎重に次ぐ慎重に通さなければならない法案の筈なのに天狗になってたり党内起立や発言ガバガバで大丈夫かよと思いますが…(´д`)
が、大部分の国民的に将来選択肢を選べとなった時中立重武装が果たして議題に上がるかと言うと可能性はかなり低いと思わざるを得ません。やはりその時も現在の中武装軽い軍事援助か、国際派遣も積極的な多国籍同盟かと言う選択になると思いますよ。なまじ70年現在の低関与で世界第三位の経済大国になった実績はそうは取り払えないでしょう。現在の各紙世論調査で保守系と言われるメディアですら政権不支持、法案反対が上回っているのを見るとやはりウクライナ危機クラスの事案が起こらない限り世論は変わらないのかと寂しい気持ちになったりします。未だに日本にはこの話題は早すぎたのですかね。

最後に駄文長文と長い脱線をお詫びしつつ。炎暑ですのでお身体に気を付けてくださいね。
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強襲揚陸艦は足が遅すぎる (はるな)
2015-08-13 21:35:10
一案提起人 様 こんばんは

強襲揚陸艦ですが、足が遅すぎますし、対潜戦闘などへの参画には水中放音が大きく、戦力投射艦として運用は出来るやもしれませんが、護衛隊の一員として任務に当たるには限界があるか、と
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八八艦隊の日 (はるな)
2015-08-13 21:42:44
ファッツ 様 こんばんは

八八艦隊の日特集は毎年やっていまして、かなり長くなると記憶します、佐世保と長崎の関係は仄聞しますが、広島と呉の関係も市歌の勇ましい呉市と広島市で、軋轢などはありそうな気が、とも、もっとも呉市は江田島市が隣にあり、佐世保市にも隣が大村市ですので、まあ、主張は違えと建前と本音の日本的共存共栄関係が成り立つのだろう、と

武装中立、ううむ、可能ならばやるべきですが、海洋国家の武装中立、などというのは少々難しそうで、まあ、“蒼き鋼のアルペジオ”の世界の様に人類が海洋から切り離されない限り最大の交易手段として海洋通行がある訳で、日本は他を圧倒する防衛力でも持たない限り、海洋自由と担保する武装中立は難しいと考えます

当方記事、武装中立を目指すならば、航空自衛隊だけで戦闘機450機が必要、と記載しまして、全文詠まない方から、可能ではないか、とお声を頂きましたが、航空自衛隊だけという部分が重要で本文は、航空自衛隊450機+海上自衛隊100機+陸上自衛隊64機、と続き全体で614機必要になる、と記載しているのですよね
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