■南西諸島防衛を大きく進める提案にも
石垣市の中山市長が北朝鮮弾道ミサイル実験経路に石垣市が含まれていることからPAC-3の石垣配備を求めることとしました。この提案は中国の南西諸島への脅威へも大きな抑止力となるかもしれません。
石垣市の中山市長は石垣島ではあと数週間後にも北朝鮮の弾道ミサイルが頭上を通過する状況に際し、万一の島内への落下へ備える観点から弾道ミサイルの迎撃能力を有するペトリオットミサイルPAC-3の石垣島配備を政府に求めてゆく方針を示しました。この方針には市議会も配備を求める決議へ調性に入っているとのこと。
沖縄県近海には恐らくイージス艦が展開し、射程1000kmをこえるSM-3により日本領土への着弾が想定される場合に備えた迎撃準備を行うことと考えられるのですが、水平線のかなたに展開するイージス艦と射程は短くとも実際に迎撃準備を行うペトリオットミサイルとは、住民感情という意味で大きな違いがあるのでしょう。
ペトリオットミサイルは石垣島へ配備となれば構成車両は非常に多く、一個高射隊であっても、特に発射装置などは上甲板に上げることが難しく、おおすみ型輸送艦一隻により全て輸送できるぎりぎりのきぼとなるでしょうが、民間のカーフェリーにより輸送支援を受ければ十分に輸送することができると考えます。
しかし、今回の提案、これは弾道ミサイル破壊命令という実任務での派遣となりますが、緊急時の応急的なもの、というだけではなく、恒久的な分屯基地として、新たに一個高射隊を創設し、石垣島に配備する、ということが実現すれば、これは南西諸島の防衛を根本的に前進させる重要な一歩となるやもしれません。
PAC-3の発射装置などは対航空機用のPAC-2と共通のもので、PAC-3の射程は十数kmですが、PAC-2の射程は100km程度と非常に大きいものがあるわけです。これまで、南西諸島では沖縄本島以外にレーダーサイト程度しか部隊が置かれておらず、防空監視という任務は重要ですが即応能力に欠けていました。そこで大部隊の配置は不可能ながら沿岸監視程度を置けないか検討していたところ。
PAC-3の配備が行われれば、南西諸島に対する空挺部隊による強襲作戦や航空部隊による打撃能力に大きな制約を加えるものとなり、南方からの航空脅威へは那覇基地からの戦闘機緊急発進が実施され到達するまでの時間において、脅威対象の航空作戦を阻害することができるということ。
それだけではなく、2009年の弾道ミサイル危機に際してはいつような場合、航空自衛隊のミサイル部隊への警護任務として陸上自衛隊が支援にあたっています。地対空ミサイルは陸上からの攻撃に最も脆弱性を有していまして、これはミサイルに強い陸上部隊が航空部隊に対して脆弱である一方で航空部隊はミサイルに対し脆弱という一種のジャンケン的な要素を含んでいるのですが。
陸上部隊のポテンシャルとは、即ち相手方に安易に手を出させない、同時に防護の意思ありという重大な決意表明であるのですし、警備支援、という形でも陸上自衛隊の中隊規模の部隊が機動展開し、石垣島に固めることができたなら、南西諸島防衛において重要な最初の一手を打ったことになるわけです。
那覇基地へE-2Cの配備が考えられている、など南西諸島防衛への重要な施策はいくつか挙げられているのですけれども、筆頭にあるべきはまず抑止する能力、容易に我が国領域へ上がられないようにし、最悪の事態に展開しないよう努力することが重要、これは言うまでもありません。
ただ、今回のミサイル危機が、特に北朝鮮がどういった要素から南西sy等上空を飛行する経路を選んでいるのかが未知数で、かりに一部い言われているような沖縄の米軍を狙いフィリピンに落下させる目的なのか、周辺国への配慮なのか、つまり次に実験を行うと仮定して再度この経路を使用するのか、別の経路を選定するのか、一回限りかそうでないのかが問題で、ここが難しい。
もっとも、これまで、沖縄では実際に脅威が切迫したとしてもその対処に軍事力を用いることに懐疑的で、一見やるよりやられる選択、というような印象の声が大きく報じられることが多いのですけれども、首長は住民の安全という最も優先されるべき部分を選択した、このことはやはりしっかりするべき部分はしっかりしている、と思いました次第です。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
おっしゃる通り、たしかに、今回の件に関わらず、先島諸島に1個対空ミサイル部隊(中隊)と1個普通科中隊を配備したいですね。
ただ、できれば宮古島に置きたいですね。レーダーサイトもあるし、立派な空港もあるので。。
対空ミサイル部隊と歩兵がペアであれば、無視できない戦力になるわけで、実戦では、敢えて増強大隊規模の着上陸をして壊滅させるか、宮古島(石垣島?)の利用を諦めるか、あるいは大規模な航空攻撃で対空ミサイル部隊を壊滅するかの決断を迫られます。
いずれにせよ、相手にアクションを迫る訳であり、しかもある程度の損害(人的な被害だけでなく、時間的、資金的、労力的な面で)を強いる訳です。
日本側から見れば、兵力の分散であり、補給を絶たれて孤立する、戦略上上手に無視されれば完全に遊兵になるなど、問題満載ですが、それでも下地島の空港は、守らなくては行けません。(自衛隊が使えなくてもよいから、相手に使わせないことが大事)
また自衛隊と地元が仲良くなるという意味で、200-400名からの国家公務員が赴任すれば、その経済効果は大きいし、もっと良いのは、災害派遣です。平時に台風などの災害派遣で迅速かつ有効な対応ができれば、沖縄の、不幸な歴史故の「自衛隊アレルギー」も減るのではないでしょうか?
沖縄の国際政治、軍事音痴は、はっきりと危険なレベルに入っています。簡単にサギに引っかかるくらいに、、、。軍事アレルギーはそれはそれで良いと思うのですが、であれば、もっと国際感覚と軍事感覚を学ばなくては行けません。
己を知り、敵を知らなくては、目的を達することはできない。軍事の広範な知識なしに、軍事を嫌うことはできないはずなのです。。
おっと、脱線しました。。(笑)
今回の発射場は北朝鮮北西部の「東倉里」と云う場所で、そこから南西諸島・先島諸島の列島線までの距離は約1,700km前後でしょうか。
前回の北朝鮮北東部の「舞水端里」から発射されたテポドン2号(光明星2号)の弾道軌道は、約1,000km前後離れた日本の東北地方上空通過時で、飛翔高度は300~400kmだったと思います。
今回はそれより迎撃配置位置が遠くなるので、石垣島上空の弾道軌道の飛翔高度は(まともに飛べば)600km以上となると思います。
万一の事態として、北朝鮮が発射(打ち上げ)に失敗して石垣周辺に墜落又は破片が落下する事態になるか、意図的に射程距離(衛星打ち上げ断念)を犠牲にして極低軌道の飛翔高度をとらせない限り、我が国の領海付近での撃墜は無理で我がイージス艦のSM-3の出番はないでしょう。
(SM-3の射程は1,000kmでも射高は250km)
PAC-3は石垣島民には心強いでしょうが、そもそも拠点防衛の最終迎撃手段的性格の兵器で積極的な邀撃手段になりえません。
今回本当にミサイルそのものの撃墜を企図するならば、パラオ近傍にイージス艦を配置しない邀撃はできないでしょう。
今回の石垣島へPAC-3と護衛の陸自部隊配置そのものには賛成します。
しかし、周辺国の特異事象に便乗してバタバタと配置を決定し、今後の展開を強化・恒久化する手法には正直疑問を感じます。
平素より周辺国の脅威度を適切に測定し、抑止力としての適正な兵力配置を行ってほしいものです。
(私自身は南西の防衛密度は薄いと思います、だからといって、配置転換で内地本土の兵力を削るのは愚かだと思います)
今後北朝鮮は「ミサイル発射」「国連非難決議」「核実験再開宣言」「核実験撤回で人道援助要求」「韓国へ攻撃(艦艇へ魚雷攻撃や砲撃)」のいつもの無限ルーチンに入ると思います。
まったく困った国です。
我が国の弾道ミサイル防衛のハード面は、液体燃料注入に日数の掛かる北朝鮮のミサイルに対しては、なんとか実用段階に到達したようです。
(固体燃料の弾道弾では、防御手段の絶い数が不足し、迎撃の最適配置も間に合わず、ミサイル防空はお手上げでしょう)
あとは国民防護のソフト面の不備・意識の希薄さが気になります。
今回の北朝鮮のミサイルの弾道がそれて、我がイージス艦のSM-3やPAC-3が迎撃に成功したとしても、その細かい破片が不幸にして国民の身体や家屋に降りかかる可能性は絶無ではありません。
その確率は極めて低いでしょうが、ゼロではありません。
よくアラブ世界の兵士が歓喜の表現として上に向けて自動小銃を連射しますが、その弾丸が地上に落下して多くの関係無い人々に当たり死傷者を出すこともあると聞き及びます。
(弾道弾の破片はライフル弾より大きく、より高空から落下してきます)
国民は一体何を持って、弾道弾発射・迎撃は成功したが破片は落下した場合の極めて短い時間で安全を確保すればよいのでしょうか?
「テレビ・ラジオの放送」「防災無線」等の手段が考えられますが、この短い時間では聞き逃す人も多いでしょう。
先の震災・原発事故に起因する計画停電の際に政府から発信された携帯電話への「一斉メール」の送信も考えられます。
(個人的には、政府の情報ではなく、個々人の発信するツイッターの情報伝播が一番多くの人に情報の速達性を持つと思います)
その情報を知りえても「何処に避難すれは良いのか」全くわかりません。
(戦前の様に各所に防空壕があるわけではなく、個人も防空頭巾を常備している訳ではありません)
しかし現状ではこういった政府によるソフト面での国民防護の具体的周知・訓練は無く、結局は「国民一人ひとり」の「自己責任」となってしまうのか?政に対する疑念は尽きません。
今回の沖縄救援隊は陸上自衛隊だけで900名規模に達したとのこと、これだけの規模を緊急展開できる、ということは無言の抑止力になるでしょうね。
宮古島へのペトリオット配備の必要性もありますが、同時に航空救難団の救難隊を新編して、UH-60JとU-125を分屯基地として配置、急患輸送支援と有事における拠点の位置づけとして蘊奥できれば、と思います。
あとは、大規模部隊の駐留は難しいでしょうね、第15旅団を師団に改編しても、師団防空システムの圏外はどうしても生まれ、後方支援基盤も船舶工兵でも整備しなければ途絶します。西部方面隊と中央即応集団の支援を期待するかたちで警備隊と沿岸監視隊、というところでしょうか。
迎撃準備ですが、まあ、結果が結果でしたけれども、文字通り予防的措置としての展開ということに意味はあるのだ、とも。
目的は日本領土への被害抑止でして、ミサイルの迎撃は領域に落下する可能性が生じない限り実施する必要はないと考えます。
実験阻止ならば、まあ、仰るようなパラオではなく、黄海の半島沿岸に進出して上昇段階を狙うことが妥当ですが、国際法上、先制的自衛権行使として問題になりますからね。
安保理決議に基づくミサイル実験禁止の強制へ、新しく安保理決議を出してもらい、日本へ授権決議が為されれば、別ですが。
通知とタイムラグに関しては2008年に当方が少し書いていました。
ttp://harunakurama.blog.ocn.ne.jp/kitaooji/2008/07/jalert_5a43.html
あと、ミサイル飛来に際しての避難所となるべき耐爆建築基準の必要性も少し過去に書いていました
ttp://harunakurama.blog.ocn.ne.jp/kitaooji/2009/06/post_ae1e.html
ううむ、すると機種がAV-8に各種ヘリと豊富な岩国のポテンシャルがさらに高まる、ということにもなりますね。