■特報:世界の防衛,最新論点
カナダ海軍次期フリゲイトがスタンダードSM-2搭載を決定しました、カナダ海軍は全ての水上戦闘艦を広域防空艦で統合するようです。
カナダ海軍の次期フリゲイトの最新情報、そしてオーストラリア海軍の将来フリゲイトの話題ではありますが、現在、広域防空艦の環太平洋地域での広範な普及が進んでいます。スタンダードSM-2は射程100km程度、改良型が150kmという。対してこれまでは、個艦防空ミサイルはESSMが50km程度、シースパローが15km程度、これで充分でした。
あきづき型護衛艦と45型駆逐艦、イギリス海軍艦艇は定期的に我が国を親善訪問していますが、同じく我が国に、それももう少し高い頻度にて親善訪問する機会がありますオーストラリア海軍とカナダ海軍艦艇について、遠くない将来である2030年代にはこれら英連邦海軍の水上戦闘艦、かなり外見が共通化した艦艇が訪問する事となるのかもしれません。
イギリス海軍が進めるGCS最新フリゲイト計画、イギリス海軍の艦艇と云いますとカナカナ日本近海で観る事が出来ないような印象もありますが、今後は我が国の安全保障政策と密接に関係するようになるかもしれません、何故ならば一つはイギリス海軍の極東への関与増大の方針、もう一つはカナダ海軍とオーストラリア海軍への採用という背景故です。
オタワ。カナダ海軍フリゲイトについては世界の艦艇としまして、先ごろまで特集しましたが一番艦竣工から既に四半世紀を超えており、カナダ海軍では将来にわたる次期水上戦闘艦計画としてCSCカナダ次期水上戦闘艦計画計画を構想、この将来水上戦闘艦に2018年、イギリス海軍のGCS計画26型フリゲイトを選定しました。ここに先日、動きが。
カナダ海軍は11月6日、CSCカナダ次期水上戦闘艦計画用武器システムとしてスタンダードSM-2艦対空ミサイルの採用を決定しました。これはSM-2block3Cに最適化されたMk.41発射システムと共に100発分を5億ドルで取得する計画で、CSCカナダ次期水上戦闘艦計画の建造艦は26型フリゲイトを若干大型化させた満載排水量7800tとなるもよう。
アーレイバーク級ミサイル駆逐艦、アメリカ海軍が大量建造し運用している傑作イージス艦です。そして海上自衛隊の護衛艦むらさめ型を筆頭に改良が続き、たかなみ型、あきづき型、あさひ型と建造された艦艇は共にMk41を採用しています。他方、CSC計画艦が全て広域防空艦となる為、艦隊防空能力が環太平洋地域において変容する点は留意点ですね。
CSCカナダ次期水上戦闘艦計画計画では当初、カナダアリオン社とオランダダーメン社による防空フリゲイトデゼーヴェンプロヴィンシェン級派生型、スペインナヴァンティア社のイージス艦アルヴァロデバサン級にイージスシステムに代えCEAFAR2レーダーを搭載の独自案が提案されていましたが、最終的にイギリス製26型フリゲイトに決定されました。
26型フリゲイトはグローバルコンバットシップ計画として設計、満載排水量5400tでシルヴァーVLSシステムに射程120kmのアスター30対空ミサイルを搭載していますが、カナダ海軍はアメリカ海軍と同系統のミサイルを採用したものです。カナダ海軍は現行の全ての水上戦闘艦をこのCSC計画艦12隻により代替する計画で2020年代に建造が始ります。
26型フリゲイトは速力を26ノットと水上戦闘艦としては低く抑えられていますが、艦砲を従来の114mm砲から127mm艦砲とした上でストームシャドウ巡航ミサイル24発を搭載するVLSを採用し、また固有の乗員は118名ですが更に加えて72名の海兵隊員が同乗可能という、パワープロジェクション、所謂戦力投射を相応に重視した設計となっています。
カナダ海軍が26型フリゲイトを導入すると発表した際、シルヴァーVLSシステムは日米や豪州海軍等が運用するMk41VLSとは異なる規格である事から、相互互換性に若干、留意事項となる印象を持っていたのですが、弾薬の相互互換性という意味で結果的にスタンダードSM-2というMk41を念頭とした装備体系となる事は一つの安心事項といえましょう。
ハンター級フリゲイト、としましてオーストラリア海軍も26型フリゲイトを導入します。こちらは満載排水量8800tと更に大型化、890億ドルの海軍近代化構想一環として9隻を建造予定となっています。当初はイージス艦ホバート級ミサイル駆逐艦にCEAFARレーダーの搭載案が検討されたものの2020年に26型フリゲイト派生型とする決定がありました。
オーストラリア海軍はMk41垂直発射システムを各艦に32セル搭載する構想で、海軍近代化計画の中でハンター級フリゲイト整備費用は8隻で80億ドルを超えるものと見積もられています。CSC計画艦は満載排水量7800tでVLSは同じ32セルを採用、この他に個艦防空ミサイルを搭載しています。環太平洋地域でこうした共通装備が運用されるということ。
英連邦海軍で共通艦となりますと、イギリス海軍に加えオーストラリア海軍とカナダ海軍でも広く運用された第二次大戦中のリバー級フリゲイト、其処まで行かずとも近年まで一部が残っていましたニュージーランドやオーストラリア等で採用されたリアンダー級フリゲイトを思い出す。イギリスの26型フリゲイトは2019年9月より2番艦建造を開始しBAEシステムズゴーヴァン造船所にて2番艦カーディフの鋼材切出作業が開始され一年を経ました。
むらさめ型後継艦計画には影響はないのか。26型フリゲイト派生のCSC計画艦はカナダ海軍の全ての水上戦闘艦を統一します、するとカナダ海軍の艦艇は現在のハリファクス級がシースパローを搭載しているのに対し射程が十倍も延伸するスタンダードSM-2を搭載する事となり、オーストラリア海軍のハンター級フリゲイトもSM-2を搭載予定なのですね。
30FFMとして海上自衛隊は3900t型護衛艦の量産を薦めていますが、此処がひと段落したならば艦隊護衛艦むらさめ型の後継艦が本格化します。現在、環太平洋地域を中心に各国海軍艦艇は艦載兵器の長射程化が進んでおり、海上自衛隊もミサイル護衛艦のみにSM-2などを搭載し、汎用護衛艦には射程半分程度のESSMのみ搭載する現状は変わる可能性が。
護衛艦が全てイージスシステムを搭載する、というような極論に進むかは未知数ですが、汎用護衛艦全般にスタンダードSM-2を搭載し、またFCS-3の後継となる火器管制装置についても長射程艦対空ミサイルを前提とした電波帯域、マルチバンドレーダーの搭載が基本となるのかもしれません。これは同時に艦対艦ミサイルの長射程化等に繋がる可能性もあるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
カナダ海軍次期フリゲイトがスタンダードSM-2搭載を決定しました、カナダ海軍は全ての水上戦闘艦を広域防空艦で統合するようです。
カナダ海軍の次期フリゲイトの最新情報、そしてオーストラリア海軍の将来フリゲイトの話題ではありますが、現在、広域防空艦の環太平洋地域での広範な普及が進んでいます。スタンダードSM-2は射程100km程度、改良型が150kmという。対してこれまでは、個艦防空ミサイルはESSMが50km程度、シースパローが15km程度、これで充分でした。
あきづき型護衛艦と45型駆逐艦、イギリス海軍艦艇は定期的に我が国を親善訪問していますが、同じく我が国に、それももう少し高い頻度にて親善訪問する機会がありますオーストラリア海軍とカナダ海軍艦艇について、遠くない将来である2030年代にはこれら英連邦海軍の水上戦闘艦、かなり外見が共通化した艦艇が訪問する事となるのかもしれません。
イギリス海軍が進めるGCS最新フリゲイト計画、イギリス海軍の艦艇と云いますとカナカナ日本近海で観る事が出来ないような印象もありますが、今後は我が国の安全保障政策と密接に関係するようになるかもしれません、何故ならば一つはイギリス海軍の極東への関与増大の方針、もう一つはカナダ海軍とオーストラリア海軍への採用という背景故です。
オタワ。カナダ海軍フリゲイトについては世界の艦艇としまして、先ごろまで特集しましたが一番艦竣工から既に四半世紀を超えており、カナダ海軍では将来にわたる次期水上戦闘艦計画としてCSCカナダ次期水上戦闘艦計画計画を構想、この将来水上戦闘艦に2018年、イギリス海軍のGCS計画26型フリゲイトを選定しました。ここに先日、動きが。
カナダ海軍は11月6日、CSCカナダ次期水上戦闘艦計画用武器システムとしてスタンダードSM-2艦対空ミサイルの採用を決定しました。これはSM-2block3Cに最適化されたMk.41発射システムと共に100発分を5億ドルで取得する計画で、CSCカナダ次期水上戦闘艦計画の建造艦は26型フリゲイトを若干大型化させた満載排水量7800tとなるもよう。
アーレイバーク級ミサイル駆逐艦、アメリカ海軍が大量建造し運用している傑作イージス艦です。そして海上自衛隊の護衛艦むらさめ型を筆頭に改良が続き、たかなみ型、あきづき型、あさひ型と建造された艦艇は共にMk41を採用しています。他方、CSC計画艦が全て広域防空艦となる為、艦隊防空能力が環太平洋地域において変容する点は留意点ですね。
CSCカナダ次期水上戦闘艦計画計画では当初、カナダアリオン社とオランダダーメン社による防空フリゲイトデゼーヴェンプロヴィンシェン級派生型、スペインナヴァンティア社のイージス艦アルヴァロデバサン級にイージスシステムに代えCEAFAR2レーダーを搭載の独自案が提案されていましたが、最終的にイギリス製26型フリゲイトに決定されました。
26型フリゲイトはグローバルコンバットシップ計画として設計、満載排水量5400tでシルヴァーVLSシステムに射程120kmのアスター30対空ミサイルを搭載していますが、カナダ海軍はアメリカ海軍と同系統のミサイルを採用したものです。カナダ海軍は現行の全ての水上戦闘艦をこのCSC計画艦12隻により代替する計画で2020年代に建造が始ります。
26型フリゲイトは速力を26ノットと水上戦闘艦としては低く抑えられていますが、艦砲を従来の114mm砲から127mm艦砲とした上でストームシャドウ巡航ミサイル24発を搭載するVLSを採用し、また固有の乗員は118名ですが更に加えて72名の海兵隊員が同乗可能という、パワープロジェクション、所謂戦力投射を相応に重視した設計となっています。
カナダ海軍が26型フリゲイトを導入すると発表した際、シルヴァーVLSシステムは日米や豪州海軍等が運用するMk41VLSとは異なる規格である事から、相互互換性に若干、留意事項となる印象を持っていたのですが、弾薬の相互互換性という意味で結果的にスタンダードSM-2というMk41を念頭とした装備体系となる事は一つの安心事項といえましょう。
ハンター級フリゲイト、としましてオーストラリア海軍も26型フリゲイトを導入します。こちらは満載排水量8800tと更に大型化、890億ドルの海軍近代化構想一環として9隻を建造予定となっています。当初はイージス艦ホバート級ミサイル駆逐艦にCEAFARレーダーの搭載案が検討されたものの2020年に26型フリゲイト派生型とする決定がありました。
オーストラリア海軍はMk41垂直発射システムを各艦に32セル搭載する構想で、海軍近代化計画の中でハンター級フリゲイト整備費用は8隻で80億ドルを超えるものと見積もられています。CSC計画艦は満載排水量7800tでVLSは同じ32セルを採用、この他に個艦防空ミサイルを搭載しています。環太平洋地域でこうした共通装備が運用されるということ。
英連邦海軍で共通艦となりますと、イギリス海軍に加えオーストラリア海軍とカナダ海軍でも広く運用された第二次大戦中のリバー級フリゲイト、其処まで行かずとも近年まで一部が残っていましたニュージーランドやオーストラリア等で採用されたリアンダー級フリゲイトを思い出す。イギリスの26型フリゲイトは2019年9月より2番艦建造を開始しBAEシステムズゴーヴァン造船所にて2番艦カーディフの鋼材切出作業が開始され一年を経ました。
むらさめ型後継艦計画には影響はないのか。26型フリゲイト派生のCSC計画艦はカナダ海軍の全ての水上戦闘艦を統一します、するとカナダ海軍の艦艇は現在のハリファクス級がシースパローを搭載しているのに対し射程が十倍も延伸するスタンダードSM-2を搭載する事となり、オーストラリア海軍のハンター級フリゲイトもSM-2を搭載予定なのですね。
30FFMとして海上自衛隊は3900t型護衛艦の量産を薦めていますが、此処がひと段落したならば艦隊護衛艦むらさめ型の後継艦が本格化します。現在、環太平洋地域を中心に各国海軍艦艇は艦載兵器の長射程化が進んでおり、海上自衛隊もミサイル護衛艦のみにSM-2などを搭載し、汎用護衛艦には射程半分程度のESSMのみ搭載する現状は変わる可能性が。
護衛艦が全てイージスシステムを搭載する、というような極論に進むかは未知数ですが、汎用護衛艦全般にスタンダードSM-2を搭載し、またFCS-3の後継となる火器管制装置についても長射程艦対空ミサイルを前提とした電波帯域、マルチバンドレーダーの搭載が基本となるのかもしれません。これは同時に艦対艦ミサイルの長射程化等に繋がる可能性もあるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
イギリス軍のT26は、6900t です(5500tは、数年前に一度出た数字ですが、おそらく軽荷排水量だろうと言われています)。搭載VLSはそもそもMk.41 24-cell です。これとは別に、Sea Ceptor システムのCAMMミサイル用のVLSを48機搭載します(マッシュルーム畑と呼ばれています)。また、最高速力は26knotですが、これは英海軍の基準でであり、例えばデンマークのIH級フリゲート艦 30knotと全く同じ船体、主機を採用し、装備が大幅に軽いので排水量も軽いType31フリゲートの最高速力は、27+ knotと公称されています。満載なのかどうか、海が荒れているのか、主機出力の80%MCRなのか、100%MCRなのか、馬力が出ない熱帯地方なのか否か、など、いろいろ基準が違うようですね。
以下の記事が参考になります。
ttps://www.savetheroyalnavy.org/building-hms-glasgow-the-first-type-26-frigate/
カナダ海軍のT26は、Mk.41 VLS を前方に32-cell です。Strike Lengthが32 cell なのか、それは24 cell で残りはESSM用のshortなのか、まだわかりません。またこれに追加して、ExLS VLS を6-cell 搭載し、CAMMをquad-pack して24発搭載します。イギリス海軍ではCAMMはESSMの代わりなのですが、どうもカナダはCIWS、つまりRAMの代わりとして採用したようです。
戦闘システムにはLMカナダ製のものを使いますが、イージスシステムが取り込まれるとのこと。ちなみにレーダーはSPY7です。(例の、イージスアショアの奴の小型版)
オーストラリア海軍のT26もCEFERレーダーを積んで、Mk41は32-cell です。カナダもオーストラリアも、英海軍のそれより1000tほど重たいです。
なお、Type26の特徴は、その船体中央にある幅20m、長さ12mのMission Bayです。無人艇やコンテナ、あるいは予備のヘリコプターなどを搭載できます(ヘリ格納ことつながっている)。また、飛行甲板はチヌークヘリコプタが着艦してかつ後尾ランプが使えるように設計されているとのことです。
情報共有まで。。
来年、空母クイーンエリザベスの極東航海が始まりますが、英海軍はどうみても護衛艦不足ですね。将来的には不足分を英連邦国に(部分的・一時的)協力させるのではないでしょうか。
日本もソマリア帰りの護衛艦でエスコートできれば、良い親善になるかと思います。(妄想ですが)