■装輪155mm榴弾砲試作車5両
防衛装備庁によれば開発中の火力戦闘車/装輪155mm榴弾砲試作車5両が先月末までに防衛装備庁へ納入されたとの事、これによりいよいよ評価試験が開始されます。
陸上自衛隊がFH-70榴弾砲後継装備として2013年度より開発をすすめている火力戦闘車/装輪155mm榴弾砲について、その試作車が防衛省へ納入されました。火力戦闘車は装輪自走榴弾砲として開発され、52口径155mm榴弾砲を搭載、99式自走榴弾砲とともに陸上自衛隊火力戦闘の骨幹を担う装備となります。主契約企業は日本製鋼、75式自走榴弾砲や99式自走榴弾砲を開発しています。
当初は三菱重工が自衛隊へ納入している重装輪回収車を基本車体として、ここに日本製鋼が99式自走榴弾砲で培った長砲身の155mm榴弾砲を搭載する計画でしたが、途中でドイツMAN社製八輪トラックへ日本製鋼が榴弾砲を搭載する方式となっていました。当初は部分試作として重装輪回収車ではなくMAN社製トラックを採用したと考えられていました。
部分試作ではなく全体試作車もMAN社製トラックを採用、このまま評価試験が行われることとなり量産もMAN社製トラックを基本とした火力戦闘車となる公算が高いでしょう。整備互換性を考えるならば、派生型が広く陸上自衛隊に採用されている重装輪回収車を基本とするべきなのでしょうが、油圧ジャッキにより重装輪回収車はかなりの衝撃に耐えます。
FH-70榴弾砲後継は、試行錯誤の連続でした。FH-70自体が非常に高性能の榴弾砲で、半自動装填装置を採用し補助動力装置による自走が可能、39口径長砲身を採用し瞬発射撃能力から持続射撃能力まで高いという装備です。しかし、世界の火砲趨勢は39口径から52口径の、つまり155mm×39という砲身の長さから155mm×52という長さに延伸された。
長砲身、その分鋳造製錬技術が高く要求されますが装薬の燃焼効率が高まり、初速増大と射程延伸に繋がる長砲身の時代へ入り、FHー70は陳腐化することとなりました。アメリカではロケット補助推進弾にGPS誘導砲弾を併用する事で長射程化と精密射撃能力を付与していますが、これではミサイルと違い無く、実際費用面もミサイル並、普及していません。
カエサル軽自走榴弾砲、陸上自衛隊は2000年代にフランス軍が配備を開始したトラック車載の簡易自走榴弾砲に着目することとなりました。一見安普請に見えますが、FDC火力調整所と連接するカエサルは牽引砲では長すぎて牽引に支障があった52口径火砲を車上に載せる事で機動力を確保し、駐鋤を展開するだけで即座に射撃に移行できる能力は大きい。
FH-70では中距離以遠への陣地変換ではFH-70の自走能力だけではなく中砲牽引車に再連結します、その際に砲身を移動状態へたたむ必要がありますが、カエサル軽自走榴弾砲はそのまま車載しているので射撃後の陣地変換が早い。これは盛んな陣地変換、同じ場所で射撃を続ければ数分で弾道を評定され反撃されるためですが、この要求に応えられます。
日野自動車の大型トラックに技術研究本部、現在は防衛装備庁でしたか、開発の52口径火砲である先進軽量砲と駐鋤を組み合わせれば即座に開発できる、聞くところによればFHー70後継開発はこのように考えられていたようです。カエサル軽自走榴弾砲をライセンス生産すればよいという意見もあったのでしょうが、結局国産の方針が示される事となります。
日本には52口径榴弾砲を99式自走榴弾砲として現在進行形で量産しているのですから敢えてカエサルをライセンス生産する必要はない、との判断でしょうか、もしくはカエサルの車幅が特殊大型車両にあたる2.55mあったためなのかもしれません。また、フランス軍自身が自国のカエサルを100門以下しか装備しておらず、実績も未知数という事情も影響したのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
防衛装備庁によれば開発中の火力戦闘車/装輪155mm榴弾砲試作車5両が先月末までに防衛装備庁へ納入されたとの事、これによりいよいよ評価試験が開始されます。
陸上自衛隊がFH-70榴弾砲後継装備として2013年度より開発をすすめている火力戦闘車/装輪155mm榴弾砲について、その試作車が防衛省へ納入されました。火力戦闘車は装輪自走榴弾砲として開発され、52口径155mm榴弾砲を搭載、99式自走榴弾砲とともに陸上自衛隊火力戦闘の骨幹を担う装備となります。主契約企業は日本製鋼、75式自走榴弾砲や99式自走榴弾砲を開発しています。
当初は三菱重工が自衛隊へ納入している重装輪回収車を基本車体として、ここに日本製鋼が99式自走榴弾砲で培った長砲身の155mm榴弾砲を搭載する計画でしたが、途中でドイツMAN社製八輪トラックへ日本製鋼が榴弾砲を搭載する方式となっていました。当初は部分試作として重装輪回収車ではなくMAN社製トラックを採用したと考えられていました。
部分試作ではなく全体試作車もMAN社製トラックを採用、このまま評価試験が行われることとなり量産もMAN社製トラックを基本とした火力戦闘車となる公算が高いでしょう。整備互換性を考えるならば、派生型が広く陸上自衛隊に採用されている重装輪回収車を基本とするべきなのでしょうが、油圧ジャッキにより重装輪回収車はかなりの衝撃に耐えます。
FH-70榴弾砲後継は、試行錯誤の連続でした。FH-70自体が非常に高性能の榴弾砲で、半自動装填装置を採用し補助動力装置による自走が可能、39口径長砲身を採用し瞬発射撃能力から持続射撃能力まで高いという装備です。しかし、世界の火砲趨勢は39口径から52口径の、つまり155mm×39という砲身の長さから155mm×52という長さに延伸された。
長砲身、その分鋳造製錬技術が高く要求されますが装薬の燃焼効率が高まり、初速増大と射程延伸に繋がる長砲身の時代へ入り、FHー70は陳腐化することとなりました。アメリカではロケット補助推進弾にGPS誘導砲弾を併用する事で長射程化と精密射撃能力を付与していますが、これではミサイルと違い無く、実際費用面もミサイル並、普及していません。
カエサル軽自走榴弾砲、陸上自衛隊は2000年代にフランス軍が配備を開始したトラック車載の簡易自走榴弾砲に着目することとなりました。一見安普請に見えますが、FDC火力調整所と連接するカエサルは牽引砲では長すぎて牽引に支障があった52口径火砲を車上に載せる事で機動力を確保し、駐鋤を展開するだけで即座に射撃に移行できる能力は大きい。
FH-70では中距離以遠への陣地変換ではFH-70の自走能力だけではなく中砲牽引車に再連結します、その際に砲身を移動状態へたたむ必要がありますが、カエサル軽自走榴弾砲はそのまま車載しているので射撃後の陣地変換が早い。これは盛んな陣地変換、同じ場所で射撃を続ければ数分で弾道を評定され反撃されるためですが、この要求に応えられます。
日野自動車の大型トラックに技術研究本部、現在は防衛装備庁でしたか、開発の52口径火砲である先進軽量砲と駐鋤を組み合わせれば即座に開発できる、聞くところによればFHー70後継開発はこのように考えられていたようです。カエサル軽自走榴弾砲をライセンス生産すればよいという意見もあったのでしょうが、結局国産の方針が示される事となります。
日本には52口径榴弾砲を99式自走榴弾砲として現在進行形で量産しているのですから敢えてカエサルをライセンス生産する必要はない、との判断でしょうか、もしくはカエサルの車幅が特殊大型車両にあたる2.55mあったためなのかもしれません。また、フランス軍自身が自国のカエサルを100門以下しか装備しておらず、実績も未知数という事情も影響したのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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量産車もMANなんかな?
寂しいなあ、重装輪回収車の台車は高いんかなあ。
装輪車両を常時手掛けてないせいかなぁ?
まあ、数を整備する必要があるんで、国産台車が良かったんじゃ?
中防計画に収まるはずがないよ、装輪自走砲は。
残念であると共に、MHIの更なる奮起を期待。
経理屋の狭量を懸念するね。