■海上自衛隊演習(図上演習)
海上自衛隊ニュースリリースにて、海上自衛隊演習(図上演習)の実施に関する情報が公開されていたので、掲載したい。また、海上自衛隊演習の実動演習についての気になる情報も記載する。
写真は自衛艦隊司令部と、護衛艦隊旗艦の“さわかぜ”。9月2日の海上自衛隊ニュースリリースによれば、平成20年度海上自衛隊演習(図上演習)が9月8日から9月12日までの期間において、目黒にある海上自衛隊幹部学校において実施される。訓練統裁官は、自衛艦隊司令官の泉徹海将があたる。図上演習には、海上自衛隊幹部学校の他にも、訓練参加部隊所在地において実施される予定だ。
参加部隊は、自衛艦隊冷夏の各部隊司令部と、横須賀、佐世保、舞鶴、呉、大湊の各地方総監部、そして補給本部などの人員で、550名にのぼる。図上演習の目的は、情勢緊迫段階から、わが国の防衛に際して必要な海上諸作戦などについて演練し、これを通じて場旧式艦の情勢判断及び部隊運用などに資することを目的としている。
他方で、海上自衛隊演習について、海上自衛隊の赤星慶治海上幕僚長が7月30日に行った記者会見では、「海上自衛隊演習について、折からの原油価格の高騰を受けて規模見直しや最悪の場合は中止も視野にいれて検討しなくてはならない」と発表、海上自衛隊演習の実動演習を今年は取りやめる可能性を示唆している。陸海空自衛隊において、護衛艦や航空機など、多くの装備品を有する海上自衛隊は、燃料費では472億円と三自衛隊で最も高いため、その分燃油価格の値上げが演習を直撃することとなっている。
海上自衛隊演習において標的艦となる、元護衛艦隊旗艦“たちかぜ”。海上自衛隊演習は、通常、“海演”と呼ばれ、海上自衛隊のほぼ全ての部隊が関係、もしくは参加する最大規模の演習であり、1954年の海上自衛隊発足以来、1973年の石油危機では観艦式が中止となった中でも、海上自衛隊演習は実施されている。したがって、中止となれば今回が初めてのこととなる。
海上自衛隊ニュースリリースについて、“海上自衛隊演習(図上演習)”と表現したことについて、実動演習が実施されない可能性が高まっているが、操艦技量や艦隊行動の技術を維持するには不可欠の要素であり、なんとか実動演習実施の道を探るべきなのでは、と考える。なお、参考までに7月1日から31日までの一ヶ月間で、インド洋派遣部隊は艦艇用燃料1450k?をパキスタン海軍、カナダ海軍、イギリス海軍に補給している。
■ようやく解決 玖珠駐屯地銃器紛失事件
2006年9月、陸上自衛隊玖珠駐屯地において第4戦車大隊本部管理中隊に配備されている64式小銃1丁、9㍉拳銃1丁と弾倉3個が行方不明になるという陸上自衛隊始まって以来の事件が起きた(写真と本文は関係ありません)。
西部方面隊で銃器が行方不明になったらしい、という情報を報道で知った際、かなり衝撃を受けた。近隣諸国を見れば、榴弾砲の照準を誤って住宅街を砲撃したり、装備品の多数の紛失などが起こっているが、日本では考えられないという先入観があった。特に演習中は部品の一点に至るまで脱落防止として固定している陸上自衛隊にあって、起こりうるのか、数え間違いではないのか、という考えもあったが、どうやら本当に紛失したようだ、という情報に接し、当時からかなり関心をもっていた。しかし、事件が解決に向かっているという新展開があったので、本日は、予定を変更してお伝えしたい。
この事件に関連して、大分県警・宮崎県警合同捜査本部は、元2等陸曹の高山敏信容疑者を、2日、窃盗と建造物不法侵入の疑いで逮捕した。調べによれば、高山容疑者は、2006年9月上旬に玖珠駐屯地に侵入し、武器庫から拳銃や小銃などを盗んだという。容疑者は1982年に入隊、2001年3月から玖珠駐屯地の第4戦車大隊本部管理中隊に勤務し、2006年3月に依願退職している。高山容疑者は容疑を大筋で認めているとの事で、取調べにおいて上司を困らせようとしてやった、という供述をしている。
高山容疑者は、8月6日に、高鍋町のパチンコ店に不法侵入しようとして窓ガラスを割ったところ、警報装置が作動し、器物損壊と建造物侵入の疑いで逮捕されている。銃器紛失という2006年の事件発生後、陸上自衛隊では、玖珠駐屯地内や演習場、近隣の道路や住居などを捜索、発見に努めたが発見には至らなかった。しかし、今年6月17日に宮崎県高鍋川で64式小銃の部品“引き金室”が発見されており、紛失した小銃の部品ではないかということで大分県警、宮崎県警が捜査本部を立ち上げていた。
HARUNA
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