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【防衛情報】イージス艦最前線,日本ミサイル防衛専用艦と豪州ハーフのイージス艦ハンター級

2022-04-11 20:14:45 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回の防衛情報はイージス艦を巡る幾つかの話題を紹介しましょう。

 日本の自衛隊ミサイル防衛専用艦用のSPY-7-V1レーダーについてロッキードマーティン社はシステム適合実証を発表しました。ロッキードマーティン社はアラスカに設置された長距離識別用SPY-7により日本向けの実証実験を実施したとし、このシステムは陸上に設置されているが、海上においても海面影響を局限化する必要な処理を達成したとのこと。

 陸上配備イージスシステムイージスアショア用イージスシステムとして日本は富士通製部品が採用されている点と、実用化はされていないが完成した場合は探知距離が長いとしてSPY-7を選定していますが、海上自衛隊が長らく運用実績のあるSPY-1アンテナ、イージス艦にはその改良型としてアメリカ海軍ではSPY-6を既に量産艦へ搭載を開始しています。

 SPY-7-V1レーダーは元々陸上設置用として要求された為、海上の振動に適合するのか、まや型護衛艦など既存の護衛艦設計に応用できるのかは未知数ですが、ASEVイージスシステム装備船用として既にロッキードマーティン社はニュージャージー州ムーアズタウンにも試験設備を増設しており、ミサイル防衛力整備へ今後も試験が行われるとのことでした。
■ハンター級フリゲイト
 イージス艦の亜種といいますかハーフイージス艦という新しい区分です。

 オーストラリア海軍が計画するハンター級フリゲイトについて建造を担うイギリスのBAE社は原型となる26型フリゲイトとのシステム及び設計適合化の技術報告を実施しました。26型フリゲイトはイギリス海軍がグローバルコンバットシップとして建造していますが、オーストラリアは本型を原型に大幅な設計と仕様を変更して実用化させる構想です。

 ハンター級フリゲイトはオーストラリア海軍が老朽化するアンザック級フリゲイトの後継に建造する大型水上戦闘艦、満載排水量は8800t、9隻の建造が計画され1番艦は2031年に就役予定です。この艦は非常に無理をした野心的な設計が特色で、オーストラリア独自開発のCEAFAR2フェーズドアレイレーダーとアメリカのイージスシステムを採用します。

 BAE社はBAEシステムズオーストラリア社として現地法人を設立させ、オーストラリアのオズボーンにて建造します。防空用にMk41VLSを32セル搭載し各種ミサイルを運用可能ですが、後日要求の増大から満載排水量は10000tに達する可能性があり、また26型と全く異なる設計から1番艦竣工が当初の2028年予定を2031年に延期した経緯があります。
■ノルウェーイージス艦延命
 フリチョフナンセン級をノルウェーは今後も活用するようですが後知恵の視点でみれば過度な小型は課題が在ったように思う。

 ノルウェー国防省はフリチョフナンセン級イージスフリゲイトについて延命改修及び近代化改修をナバンティア社へ要請しました。ナバンティア社はフリチョフナンセン級5隻を全て建造しており、2011年までに建造を完了していますが、2013年にナバンティア社と10年間の長期整備支援契約を結んでおり、満期がみえたためにこれを延長したかたちです。

 フリチョフナンセン級イージスフリゲイトはスペインのアルバロデバサン級フリゲイトを原型として小型化したイージス艦です。イージス艦ですが基準排水量は4681tと小型で満載排水量も5121t、ミサイルも長射程のスタンダードミサイルは搭載せずVLSも8セルのみとなっていますが、ESSM発展型シースパローを搭載し相応に強力な水上戦闘艦です。

 ナバンティア社ではフリチョフナンセン級の現役艦4隻について、船体構成調査により老朽化部分の調査と特定消耗部品に関する交換などを実施します。ノルウェー海軍の重要な水上戦闘艦ですが、4番艦のヘルゲイングスタッドが2018年に事故により大破沈没しており、イージス艦としては初の沈没艦となりました。延命改修は残る4隻に行われる予定だ。
■SPS-62イルミネータ改良
 ひゅうが型護衛艦、あきづき型護衛艦などはESSM終末誘導イルミネータを独自型としていますがイージス艦はやはりSPG-62を活用しています。

 アメリカのジェネラルダイナミクス社はイージス艦用Mk82ミサイル誘導装置とMk200誘導統制装置についてアメリカ国防総省と契約を結びました。これはSPG-62改型でジェネラルダイナミクス社子会社でありバーモント州ウィスリントンに本社を置くGDOTSジェネラルダイナミクスオーディナンスアンドタクティカルシステムズが開発しているもの。

 Mk82ミサイル誘導装置は後継型ではなく改良型であり、SPG-62イルミネータを元に新しくAS-34444アンテナアッセンブリを追加したもので、動力改良と直流永久磁石式高速パワードライブを装備し従来のイルミネータよりも素早くレーダービーム照準が可能になるとのこと。ジェネラルダイナミクス社は2025年11月までに改良開発を完了させる方針です。

 Mk99-GMFCSとして現在のイージス艦はスタンダードSM-2やセミアクティヴ誘導時のSM-6ミサイル及びESSMの終末誘導をターターシステムと同じSPG-62イルミネータにより実施しています。一時はAESAレーダー方式の新型イルミネータが開発されていましたが、終末段階の数秒のみ照射するにはSPG-62でも充分と判断され、改良が続いている。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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南西諸島戦闘ではまづ大量の艦船ひつようなんだが (まつ)
2022-04-12 14:38:40
いまもがみ型建造しているが投稿のとおり半イージス艦も必要と思われる アメリカ空母への輸送艦 途中護衛を米軍は希望していると聞く コンステレーション級駆逐艦はそのための用途だが足りん 日本海上自衛隊に求められる能力である 日本も建造すべきものなのだ。

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