北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】F-35戦闘機最新情報,チェコJAS-39後継とポーランドF-35配備日程,韓国F-35増強と射出座席問題

2022-10-08 20:22:55 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回は自衛隊でも配備進むF-35戦闘機に関する最新の話題を定期的に紹介する10月初旬版です。

 チェコ政府は7月20日、次期戦闘機にF-35戦闘機を導入する方針としてアメリカと交渉を開始しました。チェコ空軍は2004年にスウェーデンよりJAS-39戦闘機を運用しています、これは2004年に7億5000万ドルで10年間のリース契約を結び2014年に更にリース延長契約を結んでいますが、2027年にリース契約が完了するため後継機を選定中でした。

 F-35戦闘機は24機の導入を構想しています、JAS-39戦闘機のリースは14機であり、これよりも増勢される事となりますが、もともとチェコ空軍はMiG-21戦闘機後継にJAS-39戦闘機24機を13億5000万ドルで取得する計画であった一方、2002年中欧大洪水による復興予算捻出の為、取得をリースに切り替え機数も大幅縮小したという背景がありました。

 チェコ国防省によればF-35戦闘機24機の調達費用は交渉中であり大まかな金額は開示できないとの事です、この為、機体取得費用と共にロッキードマーティン社による兵站支援包括契約や教育訓練契約が含まれるかについても発表ありません。チェコ空軍は24機を2個飛行隊に配備する計画であり、実現すれば中欧諸国として最初のF-35採用国となります。
■ポーランド2024年配備開始
 ロシア軍ウクライナ侵攻を受け国運を掛けての防衛力強化を進めるポーランドの話題です。

 ポーランド空軍が導入するF-35戦闘機は2024年にも引き渡しが開始されるとのこと。これはイギリスで行われたファンボロー国際航空展において明らかとなった事ですが、同時に2024年納入は従来示されていた導入計画でもあり、ロシアのウクライナ戦争を受け同国が運用するMiG-29後継機の導入加速には至っていない事も示した事例といえました。

 MiG-29戦闘機とSu-22攻撃機の後継機を模索していたポーランド、ポーランド政府は第五世代戦闘機であるF-35導入をアメリカに打診し2019年9月10日に国務省が認可、2020年1月にF-35戦闘機32機を46億ドルにて取得する契約をすでに結んでおり、この契約にはロッキードマーティン社による兵站支援包括契約や教育訓練契約が含まれています。

 F-35戦闘機の導入は2019年にポーランドのドゥダ大統領がアメリカを訪問し当時のトランプ大統領と首脳会談に臨んだ際、ホワイトハウス上空を2機のF-35戦闘機がデモフライトを実施し、これを機に交渉が進められていました。2024年の納入が予定通りという事は同時にウクライナへNATOが供与したMiG-29は同国のものではない事も示しています。
■韓国-F-35を20機追加へ
 KF-21戦闘機の初飛行に沸く韓国はF-35とKF-21のハイローミックスを進めます。

 韓国空軍はF-35A戦闘機を20機追加調達する方針を発表しました、これは7月15日に李国防相が発表したもので、20機を3兆9000億ウォン、30億ドルにより追加、追加されるF-35は来年2023年から2028年にかけて導入するとのこと。韓国はもともとF-35増強を計画していたのですが前の政権である文大統領時代にはF-35Bを模索していました。

 文前大統領時代には韓国政府は全通飛行甲板型揚陸艦に搭載するべく垂直離着陸能力を持つF-35B戦闘機を模索していた、また韓国型空母としてF-35Bを搭載する中型空母の建造も見込んでいたが、今回提示されたものはF-35A,空軍型となっています。なお、韓国はこれまでにF-35A戦闘機40機を導入しており、今回の追加で60機体制となる計算です。

 尹大統領就任後の新政権において、F-35Bの調達がF-35A調達に転換した背景は発表されていませんが、韓国空軍には初期のF-16戦闘機や日本でさえ引退したF-4戦闘機に旧式のF-5戦闘機等が残っており、F-35Bよりも先ず既存の旧式機置換えが優先されたのでしょう。また韓国は国産第4.9世代機KF-21を初飛行、ハイローミックスの可能性もあります。
■マーチンベイカー問題
 七月に世界を騒がせた射出座席問題のその後の顛末です。

 アメリカ空軍は8月16日までにF-35A射出座席問題の349機を点検完了したと発表しました。これはF-35戦闘機の射出座席について、マーチンベイカー社製射出座席の推進薬点火カートリッジ不良により、カートリッジ内の粉末マグネシウムが流失払底してしまい、万一の脱出の際に推進薬に点火しない、つまり射出できない可能性がある問題でした。

 F-35戦闘機の射出座席問題が発表されたのは7月19日で、空軍は射出座席欠陥問題を長らく精査し、特定のロットで製造されたマーチンベイカー社製射出座席の固有部品に問題があると発表しています。ただ、349機のF-35Aを点検した結果、欠陥疑いのあるカートリッジは4機分から回収された一方、精査したところ変形は有っても作動したとのこと。

 射出座席問題は今年4月にユタ州のヒル空軍基地において定期検査を行った際にカートリッジからのマグネシウム粉末流失を発見、これを受けマーチンベイカー社も製造している射出座席に不良部品二つを発見したとしています。なお、点検の結果で問題が発見されなかったF-35は順次任務に復帰しており、点検は短期間で完了した事は重要でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-錦,エールビールとラガービールに自然発酵とビールの世界

2022-10-08 14:11:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 上陸ビールという言葉があるように日常にビールは馴染み或る一杯なのですが、しかし奥行きを見てみますとその世界は広い。

 わたしはそれほど呑むほうではなく嗜む程度のつもりなのですが、友人のなかには凄いのも居ますし、呑めない方も多く、しかしその中にビールだけ駄目なのだ、という方も少々います。しかし、いきなりジャックダニエルのダブルをロック、というのも粋ではない。

 スプリングバレー京都、ここは色々なビールがあるのですよ。先ずは不思議な醸造という豊潤496とシルクエールにジャズベリーという三種類の定番セットを。同じビールといっても色々な銘柄ばかりではなく製法一つ違うだけで別物になるものでして。個性を愉しむ。

 エールビールとラガービールとともに自然発酵とビールにもいろいろあるのですが、アルコールが駄目なのではなく蒸留酒と醸造酒は大丈夫でありビール以外の炭酸飲料も大丈夫というのでしたら、なにか泡の吹いたビールも愉しめるものは無いかな、こう考えます。

 醸造所を錦市場近くに、というここスプリングバレー京都ですが、豊潤496という銘柄はここで醸造、なんでも発酵前に仕込むホップを醸造後に貯蔵する際にも仕込むという、保存性を高めつつ発泡を安定化させる、が麦芽を大量に使う、ちょと不思議な風味を醸す。

 チョリソーに生ハムにパテにと、ここは適当な肴がいろいろありまして、がっつりの肉料理から小技の利いたパスタやピザ、というものもあり、揚げ物に海鮮のカルパッチョから自分に言い訳する為の健康そうなバーニャカウダなんていうものも、しかし引き立て役だ。

 ビールをどう考えるか、考えれば味らいが敏感な子供の頃にちょっぴり味見させてもらったビールの苦さに驚かされて、なんぜこんなものを飲むのだろう、と思われた幼少の記憶はみなさま誰でもお持ちなのではないでしょうか、しかし、これが味覚変化といえるのか。

 スタウトとトラピストビール、所謂黒ビールにもいくつか種類がありまして、いやしかし実は双方とも数日間の上面発酵によるエールビールという点は同じなのですけれども、トラピストビールは発酵よりも度数に旨みを見い出した製法、これなら愉しめないかな、と。

 ラガービールはラガー酵母でエールビールはエール酵母を用いるのですが、ラガービールのピルスナーは、日本で“トリアエズナマ”と呪文のように唱える居酒屋で出されるビールは大抵がピルスナーといいますので、ビールが苦手な方はピルスナーが苦手では、とも。

 ジャズベリーなどのフルーツビールは、子供の飲み物と揶揄する方が居ますがそのうち痛い目に合うに違いないと思う。人生を変える出会いといいますか、学生時代に憲法の先生から御馳走して頂いた、リンデマンスクリークというベルギービールが価値観を変えた。

 アフターダークという銘柄の黒ビール、度数は6%と高すぎずそしてじっくりと呑むというよりも嗜むといい愉しむという。黒ビールの中でもスタウトが黒いのは麦芽が欧州で課税対象となった時代に、大麦をローストして麦芽の代用としたのがはじまりというのみもの。

 スタウトは冷やしすぎない方が良い、というのは欧州の島国の同好の方のはなしでして、またじっくりと一杯いっぱい楽しむという。確かに口に含むと苦味の中の甘みが似た色の喫茶店の飲み物を思い出すような、それこそ一杯をゆったり嗜むビールというたのしみ。

 中京区高宮町の、町屋といいますか、古い建物を改造しているとのことですが、外側が古いだけで内側はもう別物という。しかし、錦市場に隣接するこちらでは、要するに錦市場が最先端の物流恩恵という印象ですから、要するに古さをお洒落に置き換えた、という。そんな場所でわたしはビールを考えました。

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キューバ危機以来となる全面核戦争の危機-バイデン大統領が警告,核兵器使用への二つの懸念と我が国への影響

2022-10-08 07:00:54 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシアがウクライナで核兵器を爆発乃至使用示唆により目的を達する事が叶ったならば、スヴァルキギャップやポーランドと北海道でロシアは同じ事を試みるでしょう。

 バイデン大統領はニューヨークで行われたアメリカ民主党会合において、現在は1962年のキューバ危機以来となる全面核戦争の危機にある、として危機感を露わとし、戦術核兵器の使用であっても全面核戦争に陥らずに済む保証などというものは存在しない、こう表明しました。ロシアは占領地が次々と奪還される中、核兵器使用を繰り返し示唆しています。

 ロシア軍はどの状況で核兵器を使用するのか、此処が疑問符です、しかしロシア軍が使用するのではなくロシア政府が使用すると考えると、別の難しさが出てきます。ロシア軍の核兵器使用懸念について、留意しておかなければならないのは軍事的合理性に基づく使用は行われず、それ故にどの時機に用いられるのかが戦況から判断されにくいという問題だ。

 軍事的に難しいのは、本来戦術核兵器は大規模補給処や密集した機甲師団等に対して使用されるのですが、そもそもロシア軍はウクライナ軍補給拠点を攻撃すると称して全く関係ない集合住宅を攻撃するなど、目標を正確に把握する能力に欠けています。また、ウクライナ軍は機械化部隊による集合と分散を多用し、過度な密集を回避する運用を徹底します。

 時機について、疑問符なのはロシア軍の作戦基本単位が今なおBTG大隊戦術群と師団というものであり、師団長は第一線状況を的確に把握できていない、これは緒戦で多くの将官が自ら前線視察に趣き戦死した事で自明なのです、そうした状況では、前線から戦術核使用の要請を受けても、発射するまでの時間でウクライナ軍は分散を完了する可能性がある。

 指揮系統は滅茶苦茶であるロシア軍、ロシア軍は開戦から三カ月間、ウクライナ侵攻作戦の総指揮官を定めず別個に軍団単位の作戦を進めていた事はご記憶でしょう。この状況では、戦術核をどのように使うかが、その判断を担う指揮官と指揮系統の時点で軍事的判断よりも政治的判断が優先され、使用し国際的批判を招いても戦果は薄い可能性が残ります。

 500kt級の核兵器でも使用しなければ、ロシア軍の目標標定能力が低い現状を見ますと、広範囲を一度に破壊するという安易な選択肢を用いるのではないか、こうした別の危惧が生じます。以上の通り懸念する点は、軍事的な効果が薄い為に結果的に何発も短期間で使用する懸念、そして目標標定能力が低く過度に強力な破壊力の物を使用する、という点です。

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