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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【榛名備防録】AC-2攻撃機/C-2輸送機派生型を開発せよ!迫る脅威-AC-130ガンシップの日本版が必要だ!

2024-11-08 07:01:41 | 先端軍事テクノロジー
■AC-2攻撃機
 今の日本は無人機攻撃に対し余りに無防備ではないか、北朝鮮がロシアへ一万もの兵力を派遣する今、見返りに大量の無人機技術が供与され有事の際には数千の無人機が日本海を越えてくることは必至だ。

 AC-2攻撃機、という機種が自衛隊には必要ではないか、AC-2というのはその名の通り、アメリカのAC-130対地制圧機のように輸送機を原型とした攻撃機で、具体的には側面ハッチや窓部分に20mm機関砲や30mm機関砲を搭載し、側面に対して攻撃する事が出来る機種の必要性です。AC-130のように105mm砲までは不要とは思うのですが。

 AC-130を買えばいいではないか、と反論が来るかもしれませんし何より大きいのは、完全な航空優勢を確保した上で地上戦闘を支援するような機種は日本には不要ではないか、地上戦を航空優勢の元で戦う想定が非現実的だ、という反論です。もちろん当方も例えば山間部に浸透した特殊部隊やゲリラ掃討用にAC-2が必要、とは考えない。

 ランセット無人機に対抗する手段としてAC-2というものの必要性を感じる。ランセット無人機、現在ウクライナへロシア軍がイランから導入したシャヘド136自爆用無人機が猛威を振るい、特にシャヘド136はロシア国内でコピー生産され大量投入されています。シャヘド136とともに改良型は射程が非常に長く2000㎞以上に及ぶ。

 81式短距離地対空誘導弾や11式短距離地対空誘導弾で低速のシャヘド136は簡単に撃墜できる、という反論はあるでしょう。その通りです、しかしロシアウクライナ戦争を見ますとロシア軍は毎月2000機以上、年間で数万機の自爆用無人機をウクライナ長距離攻撃に使用しています。東芝や三菱電機はこの迎撃に見合うミサイルを量産できるか。

 東芝や三菱電機のミサイル生産能力を強化し、年産4万発程度の11式地対空誘導弾を量産できるならば、自爆用無人機の飽和攻撃に対しても十分持ちこたえられるでしょう、が、それは現実的なのか、ミサイルは11式さえあればSu-57戦闘機が来てもKN-25長距離ロケット弾が来ても対応できるというものではない、数あるミサイルの一種類だ。

 AC-2攻撃機、C-2輸送機の側面にM-134ミニガン、これは陸上自衛隊が特殊作戦群用に採用しているものが2021年の第1空挺団降下訓練始めにて外柵沿いで撮影された方に撮影され、既に保有されている装備です、報道公開された方には、撮影しないでください、と言われているとの話を側聞しますが、なにぶんわたしは行っていないので。

 ウクライナでのシャヘド無人機迎撃には様々な航空機が使用されていて、その中にMi-17ヘリコプターに搭載した機銃での撃墜、というものも含まれています、シャヘド無人機は反撃してこないものですから、ヘリのドアガンでも撃墜できるのです。ただ、ここにAC-2というものを投入した場合、とにかくこの機種は滞空時間が長い。

 M-134ミニガンとM-61/20mm機関砲、可能ならばAHEAD弾薬を使用できるラインメタル30mm機関砲を搭載したAC-2攻撃機を有事の際に日本海に空中哨戒させることができれば、シャヘド136の場合は日本海を渡るのに三時間ほど必要ですので早期警戒機などからの無人機飽和攻撃の通報に急行することで、数百機の同時攻撃へも対処し得る。

 ランセット無人機による飽和攻撃は現実の脅威です、一機や十機を撃墜する事は簡単ですが、ランセット無人機は数百から千機単位で運用されます。その脅威への備えはまだまだ構想段階だ。C-2輸送機をミサイルキャリアに転用する研究が防衛装備庁により開始されていますが、機関砲を搭載したAC-2のような航空機も検討すべきと考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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【防衛情報】アメリカ海兵隊F/A-18E戦闘攻撃機JASSM運用能力付与とAIM-174B長射程空対空ミサイル大量搭載運用

2024-11-05 20:21:57 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は戦闘機の話題なのですが中でも空母艦載機に関する話題を。

 アメリカ海兵隊はF/A-18E戦闘攻撃機へのJASSM運用能力付与を実施しました。海兵航空部隊はいわゆるレガシーホーネットと呼ばれたF/A-18C/Dを廃止し新型のスーパーホーネットことF/A-18E/Fへの置き換えを完了していますが、ここにAGM-158A-JASSM統合空対地スタンドオフミサイルの運用能力が付与されようとしています。

 AGM-158A-JASSM統合空対地スタンドオフミサイルの運用能力付与は、カリフォルニア州サンディエゴのミラマー海兵航空基地において実施、第3海兵航空団の第232海兵戦闘攻撃飛行隊VMFA-232の機体に能力が付与されました。VMFA-232はレッドデビルズの愛称で知られ、海兵航空部隊で最も古い歴史を誇る航空部隊となっています。

 AGM-158A-JASSMは海軍と空軍が採用しており、もともと海軍が貴重な艦上攻撃機を敵対勢力のミサイル射程外から攻撃することで損耗から防護する目的で開発、2009年より運用が開始されています。初期型のJASSMは射程370㎞、ミサイル本体にはステルス性が付与されています。改良型のJASSM-ERの射程は930㎞まで延伸されました。■

 アメリカ海軍はAIM-174B長射程空対空ミサイルの大量搭載運用を開始するもよう。AIM-174Bは元々はRIM-174艦対空ミサイル、スタンダードSM-6の愛称で知られるもので、もともとはスタンダードSM-2ミサイルを主装備としていたイージス艦が、1980年代の想定脅威の射程では不十分となった為に長射程のものを求めた結果の産物だ。

 スタンダードSM-6は飛行速度マッハ3.5、射程240㎞から460㎞とされ、この射程が全く異なるのは相手が海面すれすれをシースキミング飛行しているのか、高高度を飛行しているのかにより異なる為ですが、仮に対空用ではなく地上目標に誘導した場合は射程が500㎞とハープーン対艦ミサイルの倍以上という長射程を誇るミサイルです。

 AIM-174Bの大量搭載運用とは、ポイントマグー海軍航空基地の第9海軍試験評価飛行隊VX-9が公式インスタグラムで公開した写真に、AIM-174ミサイルを4発とAIM-120-AIMRAAMミサイルを3発、AIM-9Xミサイルを2発搭載し飛行する様子を公開したもので、冷戦時代にF-14が行った空母を艦載機により守る任務を引き継ぐよう。■

 アメリカ海軍はAIM-174B-SM-6ALCミサイルの実戦配備を発表しました。実戦配備となったのはカールビンソン空母打撃群に展開する第2空母航空団でVX-9第 9 航空試験評価飛行隊により、その艦上運用が研究されていたものです。空母打撃群の防空はイージス艦の時代を迎え、これにより2000年代初頭に空母航空団は大変革を遂げました。

 F-14トムキャット戦闘機は搭載するAIM-54フェニックス空対空ミサイルの射程165㎞という長射程により、長らく空母任務群の防空を担っていましたが、イージス艦の量産と共にアメリカ海軍の水上戦闘艦のほとんどすべてがイージス艦となる時代にあって、スタンダードミサイルの射程でも十分対応できF-14は退役、艦載機は打撃力重視となる。

 空母打撃群に名称が変容した背景にはF-14戦闘機の艦隊防空能力をイージス艦に置き換えることで空母艦載機はF/A-18E/F戦闘攻撃機が主体となり、これにより空母はその航空団の全てを航空打撃に充てられることとなった実情もありますが、2010年代以降、艦対艦ミサイルの射程延伸によりイージス艦能力の限界が指摘、艦載機が再評価されました。■

 アメリカ海軍の将来空対空ミサイルとしてAIM-260-JATMプログラムが今年夏に配備が開始されたAIM-174B-SM-6ALCと共に挙げられていますが、この展望について。AIM-260-JATMはAIM-120AMRAAM空対空ミサイルの発展型となっており、艦対空ミサイルを空対空ミサイルとした、AIM-174B-SM-6ALC実用化前には最有力の候補でした。

 AIM-120D3としてAIM-260-JATMプログラムのひな型となるミサイルも開発されていますが、大きな問題はその原型となるミサイルがAMRAAMだということです。AMRAAMはAIM-7スパロー空対空ミサイルを置き換えるもので、実際にはスタンダードSM-6もシーカー部分はAMRAAMを応用しているものですが、ミサイル本体は小型でした。

 F-22や海軍と海兵隊のF-35Cに搭載する場合はステルス性を維持するために機内兵装庫に搭載できる小型のAMRAAMは有用なミサイルですが、ミサイル本体の大きさから射程は200kmを超えられず、対してSM-6は高高度から運用した場合の射程は400㎞に達し、ステルス性を考慮しないF/A-18E/Fからの艦上運用と適合したかたちです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】たいげい型潜水艦9番艦,潜水艦発射型誘導弾の取得と水中垂直発射装置,長期運用型UUVの研究

2024-10-28 20:24:04 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は日本の潜水艦の話題を中心に。

 防衛省は潜水艦発射型誘導弾の取得を行います。これは現在のハープーン対艦ミサイルを置き換えるべく来年度予算概算要求に盛り込まれたもので、先行して進められている潜水艦発射型誘導弾の開発に続いて進められているもの。潜水艦発射誘導弾の開発にはさらに22億円が計上され、ここに誘導弾本体部分の調達費用が30億円要求されています。

 潜水艦発射誘導弾は前述の通りハープーンミサイルが現在使用されていますが、ハープーンミサイルそのものはブロック1CのUGM-84Dミサイルが開発されていますが射程は140kmでしかなく、空対艦型のAGM-84Fブロック1Dのような射程315kmと比較しますと見劣りします。ただ、潜水艦発射対艦ミサイルはこれまで重視されてこなかった事情が。

 ハープーンミサイルの射程であれば、発射した瞬間に潜水艦の位置が確実に探知され、対潜掃討部隊が殺到することとなるのは間違いありません。もっとも、訓練ではハープーンを巧く運用し打撃判定を勝ち取った事例はあります。新型の潜水艦発射型誘導弾は目標迂回能力など、打撃力に加え潜水艦の生存性と隠密正に配慮した装備となるのでしょう。■

 水中垂直発射装置として防衛省は潜水艦からのミサイル発射能力を許可する研究開発を開始します。このために来年度防衛予算概算要求には300億円が盛り込まれることとなりました。予算は共通基盤としてのスタンドオフ防衛能力整備の一項目として明示され、その目的として発射プラットフォームのさらなる多様化と水中優勢確保があげられていた。

 VLSとして既に海上自衛隊にはMk41とMk56という垂直発射装置が実用化されていますが、いずれも護衛艦の水上発射用であり、潜水艦からミサイルを発射する場合はカプセル式発射筒を魚雷発射管から発射する方式を用いていました。防衛省が添付したイメージ図によれば、潜航中の潜水艦が船体後部から水上に発射するイメージが示されていました。

 潜水艦に搭載するべく、VLSそのものは耐圧殻とともに実用化されるとのこと。VLSはアメリカ海軍が既にVPMヴァージニアイペイロードモジュールとしてヴァージニア級攻撃型原潜に搭載するトマホークミサイル用VLSを実用化していますがこうしたものを導入はせず、独自開発となるもよう。同様の装備は韓国海軍も独自開発し運用しています。■

 たいげい型潜水艦9番艦の予算が概算要求に盛り込まれました。たいげい型潜水艦はリチウムイオン電池を動力源として採用した最新鋭潜水艦で、AIP方式潜水艦である潜水艦そうりゅう型の11番艦と12番艦がAIP区画を廃止しそのままリチウムイオン電池区画として完成させていますが、たいげい型はリチウムイオン電池に特化した設計をとりました。

 1161億円、特筆すべきは建造費が拡大しているところで、1番艦の建造費は800億円となっています、これはCOVID-19新型コロナウィルス感染症とその拡大からの復興過程で発生した世界規模の資源不足にともなう物資高騰とインフレが影響しているといえるでしょう。円安については国内建造されることで影響は局限されているといえるのかもしれない。

 たいげい型潜水艦は1番艦たいげい2022年竣工とともに、2番艦はくげい、3番艦じんげい、が竣工しますと、たいげい運用は第1潜水隊群第1潜水隊から試験潜水艦を運用する潜水艦隊第11潜水隊に区分変更がなされていて、リチウムイオン電池の採用により短時間での急速充電や高出力の発揮と電力の余裕が生まれ、潜水艦運用を転換しつつあります。■

 長期運用型UUVの研究が本格化します。UUVとはアンマンドアンダーウォーターヴィーグルの略称です。防衛省は新しい防衛力整備の一環として無人アセット防衛能力の整備を進めておりこの一環として陸海空に加え水中の無人機運用能力を整備しています。水中無人機そのものについては防衛装備庁が技術研究本部時代から実施している装備ではある。 

 深海巡航探査機うらしま、としてJAMSTECが既に高度な水中無人機を1998年に実用している実績があり、この分野で我が国は先進的な地位を維持していて、UUVについては既に船体部分、長期運用西する装備が開発されていますが、具体的には任務遂行能力向上のための各種センサー開発で来年度予算概算要求には費用として14億円が要求されています。

 うらしま、性能を参考に上げますと水中800mまで317kmにわたり56時間の試験を成功させたのが2005年であり、電波の通らない水中での自律航行能力は無人航空機以上の難しさがあるとされています。うらしま、そのものは海洋研究開発機構の装備となっていますが、海上自衛隊では複数のUUVによる対潜警戒と潜水艦の支援能力を期待しています。

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ウクライナ情勢-S-70オホトーニク無人機ウクライナ上空で喪失,ロシア軍ポクロフスク周辺で5個師団分の装備喪失

2024-10-28 07:01:43 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 日本の感覚ではなかなか信じられない。

 ロシア軍はポクロフスク周辺で5個師団分の装備を喪失した、ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告10月6日付発表によれば、これは破壊の様子を客観的に確認できるオープンソースからロシア軍損耗を計算している民間有志のよる計算で、これらが完全充足のロシア軍師団5個分にあたる戦車や装甲車を喪失したと画像から分析したもの。

 戦車539両と装甲車両1020両を喪失したとしています。一般的に戦車は破壊された場合でも修理可能なものが多く、戦車回収車により後方に搬送することで比較的短期間で修理が可能ですが、弾薬庫に誘爆し砲塔部分が吹き飛ぶような損耗を受けますと、まず電装品などのかんそうだけでは復帰できませんが、この損耗は回収されないものが中心という。

 5個師団分の装備喪失について、ロシア軍は戦車や装甲車の大きな損害と引き換えに戦術的前進を継続しようとしている結果であるとISWは分析していますが、これは同時にソ連時代に大量に備蓄された戦車や装甲車などの資産を大量消費していることに他ならず、今後数ヶ月のうちに使い果たす可能性が高くなっていることを、ISWは指摘しています。■

 ロシア軍のS-70オホトーニク無人機がウクライナ上空で喪失しました。イギリス国防省ウクライナ戦況報告10月15日付発表によれば、10月5日にウクライナ上空で喪失したとしています。ロシア側の運用状況を分析した結果、ウクライナ防空システムにより撃墜されたのでは無く、制御不能となったためロシア側により意図的に撃墜されたという。

 S-70オホトーニク無人機はロシアのスホーイ社が開発した戦闘用無人機でありステルス設計となっていて、ロシア側の過去の説明ではSu-57戦闘機、ロシア空軍が独自開発したステルス戦闘機とともに運用されるとのことでしたが、今回S-70を撃墜したのがどの航空機で会ったかについては判別されていません。

 S-70無人機は過去10年間にわたりアクチュビンスク空軍基地において試験飛行が行われてきました。なお、撃墜されたS-70についてはウクライナ側に残骸が回収されています。高度なステルス設計とともに戦闘用無人機として開発された無人機が、破壊されたとはいえその部品すべてをウクライナに回収された現実は後々影響しましょう。

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【防衛情報】中華民国台湾-次期フリゲイト要員養成へ海外教育派遣と次世代潜水艦設計開始

2024-10-21 20:23:51 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 台湾海峡の緊張を背景に中華民国台湾の国防努力に関する幾つかの最近の話題を紹介しましょう。

 中華民国台湾は新型潜水艦開発を強化します。この計画には邦貨換算で1兆2900億円規模の費用を投じ、2038年までに完成させるとしています。中国海軍の軍事圧力が年々高まるとともに、台湾海軍の水上戦闘艦の旧式化も進む現状では、台湾有事において既存の大型水上戦闘艦はすべて撃沈されるという悲観的な研究結果があるほどです。

 潜水艦は重要な戦力となりますが、1988年に台湾がオランダから2隻の潜水艦を導入していこう、中国政府の圧力によりどの国も台湾へ潜水艦を販売することはなく、ブッシュ政権時代に8隻の通常動力潜水艦売却に関する交渉が行われていますが、アメリカには現在原子力潜水艦のみしか建造能力がなく、その後具体的進捗はありませんでした。

 海鯤型潜水艦、台湾はその後独自技術により国産潜水艦を建造し、2023年に蔡英文総統臨席の下で進水式を挙行、2025年に1番艦が就役する計画です。水中排水量2500tとされ8隻が建造される計画ですが、いまのところ性能面では傑出した部分ではなく、このため、今の時点から次世代潜水艦の建造が早い段階で認可されたという構図でしょう。
■機雷敷設艦増強
 日本の場合は掃海艇など機雷掃討を重視していますが費用対効果が最も高いといわれる機雷を台湾は重視しています。

 中華民国台湾海軍は機雷敷設艦6隻を増強するとのこと。台湾海軍は2019年から2021年に閔江級高速機雷敷設艦4隻を就役させています。これは満載排水量347tで全長41m、速力14ノットを発揮しFMLB高速機雷敷設艇と位置づけられてる。船体には20mmのT-75機関砲とT-74-7.62mm機銃が搭載、従来の老朽揚陸艦の機雷敷設任務を受け継いだ。

 閔江級高速機雷敷設艦、14ノットが高速であるのかということと347tは艇ではなく艦なのかという疑問はさておき、大型の機雷敷設艦では今後想定しなければならない台湾海峡有事では中国海軍艦艇の講堂県内では運用できないことを示しているといえて、この船体規模の採用は小型機雷を御身釣りに敷設できる能力が重視されているのかもしれません。

 台湾海軍が導入する新造機雷敷設艦はこの閔江級の追加建造となるのか、新型艦を建造するのかは未知数ですが、計画では2025年から2027年までに6隻を建造するとしています。台湾はアメリカから機雷輸入を強化しており、特に機雷は最も費用対効果の高い装備とされており、今後懸念される台湾海峡有事までに敷設能力を強化するのは狙いなのでしょう。
■新小銃T-112
 自衛隊も小銃についてはいろいろ試行錯誤がありました。

 中華民国台湾軍は新小銃T-112の量産を開始しました。台湾ではXM-177E2小銃のような形状のT-91小銃を正式小銃として配備していますが、これらの装備の老朽化が進んでおり、後継装備の国産開発を行っています。ただ、その形状については二転三転しており、部隊での評価試験を継続的に行い、その有用性や最適解模索をおこなってきました。

 FN-SCARと類似した形状のXT-97小銃試作銃を開発しており、このあたりは日本の20式小銃とにた開発過程を経ているのかもしれません。続いてやはり欧州の、しかし東欧のCZ-B1小銃と類似したXT-105小銃と類似した小銃を試験していましたが、結果的にT-91と大幅な形状変更は訓練を複雑化させると判断がなされ原点回帰した構図でしょう。

 T-112小銃は形状がM-4A1カービンの延長線上のような形状に落ち着いています。計画では2025年から部隊配備を開始することとなっていまして、レイルシステムを利用したモジュラー方式という昨今の最新鋭小銃にかんする世界的な潮流を踏襲するもよう。スコープやレーザーサイトといったモジュールオプションも同時に調達される見込みとのこと。
■次期フリゲイト要員
 あぶくま型はもちろんのこと、もがみ型でさえ厳しい戦闘海域には投入が難しいと海上自衛隊では言われていますのでノックス級なんかではもう。

 中華民国台湾は海軍次期フリゲイト要員養成へ海外へ教育要員を派遣したもよう。具体的には防空システム教育へ欧州とアメリカに人員を派遣したとしています。台湾海軍は基隆級としてアメリカ海軍から導入したキッド級ミサイル駆逐艦、OHペリー級ミサイルフリゲイトを改良した成功級巡防艦を運用していますが、同時に旧式艦も数多い。

 キッド級も1981年竣工で古いのですが、アメリカから貸与の後に購入に切り替えたノックス級フリゲイトなどがまだ現役で残ります。ギアリング級駆逐艦を2003年まで現役で運用し、第二次世界大戦中の駆逐艦いスタンダードミサイルを搭載し艦砲もOTOメララ社製76mm砲に切替え、その先にMD-500ヘリコプターまで、運用能力を付与しました。

 フリゲイト要員、キッド級とOHペリー級によりターターシステム要員は独力で養成できるため、イージスシステムの供与可能性があるのか、また欧州からはサンプソンレーダーやエイパーシステムなどの供与可能性はあるのか、中国海軍との戦闘では現在の水上戦闘艦では生き残れないとされている為、高度な防空システム供与の可否が重要となります。

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【防衛情報】来年度予算概算要求-F35A戦闘機増強とF35B戦闘機,RC-2電波情報収集機とKC-46A空中給油機

2024-10-14 20:00:06 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 防衛省来年度予算概算要求について今回はF-35戦闘機など航空自衛隊の航空機関連についてまとめました。

 航空自衛隊はF-35A戦闘機8機を増強すべく来年度予算概算要求に盛り込みました。8機の取得費用は1249億円とのこと。この背景には航空優性確保を念頭としてあげており、また防衛省では電子防護能力の高さについても導入背景として説明しています。なお、インフレと物価高に加え輸入部品が円安で高騰し、1機あたり156億円となっています。

 F-35A戦闘機はロッキードマーティン社において設計と生産されていますが、我が国が導入する機体については三菱重工小牧南工場に設置された三菱FACO最終組み立て施設で製造されています。この点について、日本で最終組み立てした機体がロッキードマーティン社での完成機よりも割安になるとして、国内組み立てが継続されることとなりました。

 三菱重工での組み立てについては、2024年4月16日にアメリカのエマニュエル駐日大使が三菱重工小牧南工場を視察しており、この際に年間12機の組み立てを行うだけの三菱重工でのF-35A戦闘機が年間250機を量産するロッキードマーティン社よりも割安に戦闘機を完成させているとして、日本のコスト管理と納期厳守を絶賛する発言がありました。■

 航空自衛隊はF-35B戦闘機3機の調達を来年度予算概算要求に盛り込みました。F-35B戦闘機3機の取得費用は608億円となっています。自衛隊ではF-35Bを電子防護力に優れるとともに短距離離着陸と垂直着陸が可能であることから戦闘機運用の柔軟性が向上する装備であるとその有用性を強調しています。A型の単座とB型の複座、ではなく別物だ。

 F-35Bについては令和2年度予算に初めて6機の取得が793億円で盛り込まれ、令和3年度に2機が259億円、令和4年度4機510億円、令和5年度8機1435億円、そして今年度予算である令和6年度予算に7機が1282億円で盛り込まれ、来年度予算の3機が通ることで30機が揃うこととなりますが、年々インフレの影響を受けている。

 航空自衛隊ではF-35Bの垂直離着陸能力を駆使し、離島の応急飛行場や海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦からの運用を念頭に置いています。一方、海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦いずも型のF-35B運用対応改修を進めており、このなかで航空自衛隊は42機のF-35Bを導入しますが、どの程度海上自衛隊の統合運用に当てるかが、関心事です。■

 航空自衛隊はRC-2電波情報収集機の取得と電子作戦機の開発を推進します。現代の航空作戦はもちろん、戦域全般において電子的優位と電磁的優位は戦域優位に直結しており、このために航空自衛隊はC-2輸送機試作2号機を電波情報収集機に改修するとともに、新しく岐阜基地へ電子戦航空部隊を新編するべく電子作戦機の開発を実施してきました。

 RC-2電波情報収集機は現在4機が運用されているYS-11EB電子情報収集機の後継となる装備で、YS-11EBは中国南端付近までその行動半径に収めているものの航続距離の関係上限界線に近く、また原型機のYS-11が部品不足となっています。このため試作されたRC-2を先ず2020年に入間基地に配備し、続く機体が1機496億円で来年度予算に盛り込まれた。

 電子作戦機の開発についてはスタンドオフレンジ電子戦機として既存開発計画の継続となるもので来年度予算では414億円が要求されています。J/ALQ-5-ECM電子妨害装置や戦闘機搭載電子妨害装置、戦術データリンク妨害技術研究といった技術が活かされる。C-2輸送機は航続距離も搭載能力も非常に大きな余裕があり、将来発展性が確保されています。■

 航空自衛隊はKC-46A空中給油機を増勢します。来年度予算概算要求にはKC-46A空中給油輸送機4機が2068億円で要求された。KC-46Aはボーイング767型機を原型として開発されたもので、KC-767空中給油輸送機の姉妹のような関係の航空機です。既に平成29年度と平成30年度に各1機と令和2年度に4機が1052億円で要求、2機が既に配備済み。

 KC-46A空中給油輸送機はアメリカ空軍でもペガサス空中給油輸送機として配備がすすんでいますが、RVS遠隔給油視認装置という最新型の給油ブーム管制装置に不具合があり、給油中の複雑な動きに追随できず給油を受ける戦闘機の機体上部を引っ掻く不具合が指摘、アメリカでは長らくF-22やF-35などのステルス機に対する給油が制限されていました。

 航空自衛隊ではC-2輸送機についてその運用実績からC-1輸送機の後継機数について、当初計画よりも下方修正する方針を固めています、ただ当初予定になかった電子情報収集機や電子作戦機が埋め合わせのように生産される構図とはなっています。一方で、空中給油輸送につていは、年々その行動半径の増大から調達拡充がすすめられています。

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【防衛情報】トルコ国産空母計画と原子力空母エイブラハムリンカーン艦上シミュレータ,イラン空母シャヒードバフマンバゲリ

2024-10-08 20:22:25 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は航空母艦関連の話題を日米英伊の航空母艦と全通飛行甲板型護衛艦と記念艦の写真と共に紹介しましょう。

 トルコ海軍が構想する国産空母計画に進展です。トルコ海軍は国産戦闘機カーンを搭載可能という航空母艦を計画しています、これは6万5000tから8万000tというアメリカ海軍のニミッツ級航空母艦に迫る巨大な艦となる構想で、その背景にはカーン戦闘機がF-22戦闘機よりも大型化したため、運用するには巨大な船体が必要となっているため。

 進展とは、第1に船体形状が決定し船体形状に起因する水抵抗と必要な推進力に関する解析が完了したということ。第2に三次元設計図が具体的に動き始めたことで、バルバスバウを新型とすることで航続距離の延伸を図る目処がついたということ。第3にこうした予備設計の目処がついたことで細部設計に移行するまでの道筋がみえてきたということ。

 トルコ海軍によれば船体構成の要素の80%はトルコ国産によりまかないたいということで、海外製部品20%のうち、機関部は輸入に依存、海上自衛隊護衛艦いずも型、ひゅうが型のようなガスタービン推進法式を採用する方針とのことで、具体的にはLM-2500ガスタービンエンジン4基を搭載する。起工や就役時期については今後の検討とされています。■

 アメリカ海軍は原子力空母エイブラハムリンカーンに艦上シミュレータを設置しました。これはもともと、様々な気象条件などから艦上訓練を行えない状況や寄港中などの状況でも空母艦載機操縦士の訓練を行うことが目的のもので、パタクセントリバー海軍航空基地に置かれたNAWCAD研究所において開発が進められていた装備品となっています。

 原子力空母カールビンソンに2023年、最初のシミュレータが搭載され、F-35C戦闘機の操縦士を想定、人工衛星コンステレーションにイージス艦や地上戦闘部隊などと連携するCEC共同交戦能力のような、平時における訓練では難しい状況を再現することが目的とされ、カールビンソンでの運用結果が良好であったことから配備を拡大したかたち。

 エイブラハムリンカーンに搭載されたシミュレータは大型モニターと操縦装置という、可搬性の高い、言い換えれば高級な家庭用テレビゲームのような装備となっているようですが、既存の応接室、ニミッツ級航空母艦はこの種の施設が充実している、その調度品を応用したもので、必要ならばほかの空母への設置も迅速に行えることをしめしています。■

 中国でミンスク航空博物館が火災により炎上しました。ソ連海軍のキエフ級航空母艦ミンスク、冷戦時代はソ連太平洋艦隊力の象徴となっていましたがソ連崩壊後にロシア海軍はミンスクを維持することができず1992年に韓国のスクラップ業者へ売却、これを中国海軍系列の民間企業が1998年に購入し、カジノ船として、結果的に遊園地となりました。

 ミンスクは当初、購入した企業が中国海軍関係の企業、習近平政権時代前まで人民解放軍において広く黙認されていた軍人の給与不足を補うための副業、こうした不透明な企業が購入していたため、1990年代から航空母艦導入を模索していた中国海軍が再整備し中国外群空母として就役させるのでは、と危惧されていましたが遊園地となっています。

 キエフ級空母のみならずソ連設計の艦艇は防火対策の不備が指摘されるものが多いのですが、今回の火災では上部構造物がほぼ完全に焼失したほか、アングルドデッキ部分にも延焼が確認されており、内部の様子は公開されていませんが船体内部へも延焼している可能性が高いもよう。空母遊園地としての再開は不可能となっている可能性がたかい。■

 イラン海軍が建造する航空母艦シャヒードバフマンバゲリについて動きがあった模様です。イランは貨物船を改造したヘリコプター空母マカランを導入していますが、さらに大きな貨物船を改造しているのはシャヒードバフマンバゲリです。衛星写真によれば全通飛行甲板ではないものの舷側にせり出した部分をアングルドデッキとしているもよう。

 シャヒードバフマンバゲリはアングルドデッキとスキージャンプ台を配置していて、9月までにその甲板部分にラインが塗粧している様子が確認されたことで、本格的な全通飛行甲板を採用していることが確認されました。さらに船体中央部、航空機駐機部分には開口部が衛星写真で確認されており、艦内に格納庫をゆうしている可能性が出てきた。

 イラン軍には空母艦載機であるアメリカグラマン社製F-14戦闘機がありますが、この間再運用は想定されず、イラン軍は多数の無人航空機を運用しており、自爆用無人機シャヘド136はロシアに大量供与されウクライナ無差別攻撃へ数千機が撃ち込まれていることで有名ですが、イランではこうした無人航空機を運用する航空母艦を模索してきました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】防衛省来年度予算概算要求-F2後継次期戦闘機開発費用1127億円と無人僚機及び無人空中給油機

2024-09-30 20:02:14 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 来年度予算に関する話題をF-2戦闘機の後継機とその関連技術開発等に焦点を絞ってまとめてみました。

 防衛省は次期戦闘機開発費用として1127億円を来年度予算概算要求に盛り込みました。次期戦闘機開発は航空自衛隊のF-2戦闘機後継として開発が進められているもので、イギリスと日本とイタリアを加えた参加国国際共同開発の姿勢が示されており、2024年4月にはGIGOky報道開発期間を年度内に設置することで開発各国の合意に至っています。

 来年度予算に要求された1127億円は機体及びエンジン共同設計のための費用と位置づけられていまして、まだ初飛行という次期ではありませんが、来年度には飛行試験準備が開始されるとのこと。イギリスのテンペスト計画とともに日本も既にX-2実験機というかたちで航空機として具現化技術は有しており、開発は2028年には初飛行を予定しています。

 日本とイギリスにイタリアという参加国が開発する背景には日本は南西諸島と太平洋地域という広大な空域を、イギリスは北海北方のGIUKギャップを、イタリアは北アフリカでの航空作戦を念頭に大きな戦闘行動半径を必須としている関係があります。近年のミサイル技術進化により、F-35のような行動半径の機体は基地が脆弱性を持つ点も指摘される。■

 航空自衛隊は中距離空対空ミサイルの増強を行います。国産と海外製ミサイルの導入に加えて、国産ミサイルの新型開発が平行して行われるという。先ず来年度概算要求には次期中距離空対空誘導弾の開発として59億円が要求、これは性能確認試験に関する予算となっていて、ミサ着るそのもについては一定程度目処がついたことを意味しています。

 AIM-120AMRAAM中距離空対空ミサイルの調達費用として113億円が来年度予算概算要求に盛り込まれました。過去の輸出実績ですが2017年のアメリカからの有償軍事供与では日本への一例として2017年にAIM-120C-7ミサイル56発が1億1300万ドル、2023年にはAIM-120C-8ミサイル120発が2億2400万ドルなど既に各種572発を供与した実績が。

 AAM-4B空対空ミサイル調達費用に143億円が要求されています、AMRAAMと平行調達されていますが、アクティヴフューズドアレイレーダーを採用するとともに巡航ミサイルへの対処能力も高く設定されており、射程はAIM-120Bミサイルよりも若干優位にあるとされます。ただAIM-120Bの射程は70kmですがAIM-120Cの射程は100kmを超えます。■

 防衛装備庁は無人ステルス給油機にかかわる検討として一般競争入札の公示を行いました。無人空中給油機としてはアメリカ海軍がボーイングMQ-25無人空中給油機を試験中です。もともとアメリカではX-47B艦上無人攻撃機が開発されており、原子力空母ジョージブッシュでの発着試験には成功していますが用途が限られるとして不採用となりました。

 CBARS艦上空中給油システム計画として、X-47の開発情報などを元に進められたのがMQ-25で、こちらも艦上運用を念頭都市、E-2D早期警戒機やF-35戦闘機への給油などを行うとしています。大型の空中給油機は競合地域で運用するには近年の空対空ミサイル長射程化により年々危険度が増しており、ここでステルス無人機が注目されたかたち。

 防衛装備庁は技術確立に向けた技術課題抽出を第一段階として提示しているため、MQ-25をそのまま導入するという方式ではないもよう。機動性確保に関する研究動向の分析や最適経路生成技術、そして周囲状況監視技術の分析についての研究を一般競争入札することとしています。即座ではないものの日本の無人機運用が変革期を迎えたといえる事例です。■

 防衛省は次期戦闘機と関連する無人機等との研究を推進します。戦闘機は通常ロッテ編隊として2機で運用されますが、片方を無人機とする研究のひとつ。具体的には来年度予算概算要求に129億円が盛り込まれ、昨年度と今年度に実施されている戦闘機と連携する無人僚機の開発を進めており、そのためのAI人工知能の研究を重ねてすすめるとのこと。

 MQ-28ゴーストバットとして、この種の技術ではオーストラリアがボーイングオーストラリア社とともに進めた無人僚機が先行しています。この機体はロイヤルウイングマンとして開発され2021年に初飛行を迎えました。戦闘機に随伴するとともに支援を担い、人工知能を用いて単独運用も可能、はぐれたさいには自律飛行で帰還することも可能という。

 ロイヤルウイングマンは超音速飛行能力がなく、能力は限定的ですが亜音速領域では戦闘機に随伴する能力を持ち、ステルス機が行えない危険な索敵任務や、高付加価値をもつステルス機が危険にさらされた際にはおとりを含めた任務を担います。ただ、MQ-28には攻撃能力も無く、空中給油能力についても現時点では無い。防衛省は先ず、研究を進める。

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【防衛情報】護衛艦かがF-35B艦上運用試験,IPD24任務部隊にヘリコプター搭載護衛艦かが参加

2024-09-17 07:00:17 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 新田原基地には年度内に臨時F35B飛行隊が新編予定ですが護衛艦についても動きがありました。

 護衛艦かがF-35B艦上運用試験が開始されます。海上自衛隊は定期的に実施しているプレゼンスオペレーションとして令和6年度インド太平洋方面派遣IPD24第四水上部隊派遣を実施、この一環としてIPD24任務部隊にヘリコプター搭載護衛艦かが、参加の方針を示していまして、この際にアメリカでのF-35B戦闘機艦上運用試験を実施するとのこと。

 F-35B戦闘機艦上運用試験は10月5日から11月18日までが予定されていて、試験はアメリカ本土カリフォルニア州サンディエゴ沖において実施、短距離発進や垂直着艦と艦上運用などの試験が行われます。F-35B戦闘機は母艦自動発着支援装置など従来の艦載機が発着訓練に重点を置いていた分野を大幅に自動化させる誘導装置が艦には搭載されている。

 かが、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦2番艦は艦首形状の変更や舷側構造物の増築などF-35B戦闘機運用改修を実施しています。護衛艦いずも、については飛行甲板強度などを先行して実施し2021年に岩国沖にて試験を実施していますが、かが改修はもう少し広範に行われ、また母艦としての能力も前述の自動着艦支援装置など広範に及んでいます。

 いずも型護衛艦における航空自衛隊F-35B運用について。公式発表を見る限りにおいては航空自衛隊と海上自衛隊の同床異夢の可能性が指摘されています。まず、航空自衛隊は南西諸島に設置される代替滑走路の延長線上に護衛艦を位置付けていて、付け加えると海上自衛隊護衛艦艦上への艦載機としての恒常的な配備は行わないとしています。

 F-35B戦闘機は42機が導入される構想で、しかし海上自衛隊は護衛艦いずも型F-35B運用能力改修にかなりの費用と艦艇ローテーションの無理を重ねており、暫定的な配備を受け入れるだけという認識は無理があります。一方で、要撃管制などの技術や教育体系は航空自衛隊の専管であり、海上自衛隊にはこうした能力が整備されてきませんでした。

 代替滑走路か艦載機か、同様の難しさは先日日本を親善訪問したイタリア海軍において実際に生じています。それはイタリア海軍と空軍は合計30機のF-35B戦闘機を15機づつ配備し、海軍は空母カブール及び強襲揚陸艦トリエステ艦載機に、空軍は空軍緊急展開部隊用に配備しましたが、空軍は必要に応じF-35Bを艦上に展開させている実情です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】アメリカC-HGB極超音速ミサイル実験成功,G/ATOR-TPS-80地上航空多機能レーダー沖縄南部展開

2024-09-16 20:08:03 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 やはり問題視されているという印象ですが同時に中国によるフィリピン公船体当たりなど緊張を増す行動をとっている事も現実だ。

 フィリピンでの米比合同訓練へ中距離ミサイルシステム展開を中国が警戒感を持って迎えました。中国の王毅外相は2024年7月にラオスにて行われたASEAN拡大会合において、フィリピンのエンリケマナロ外相に対して、このミサイルのフィリピン配備が東南アジア地域全体の不安定化を招く可能性があると直接警告したとのこと。

 米比合同訓練は4月に行われたもので、この訓練では海軍のMk41VLSを地上発射型としたタイフォン中距離ミサイルシステムをフィリピンに派遣、アメリカ本土からC-17輸送機によりフィリピン北部へ展開させています。ただ、タイフォン中距離ミサイルシステムは訓練終了後、8月下旬となった段階でもフィリピンに留まっています。

 タイフォン中距離ミサイルシステムはスタンダードSM-6艦対空ミサイルやトマホーク巡航ミサイルを投射可能で、トマホークミサイルはマニラから上海や海南島まで十分射程内に収めています。中国の警告に対しフィリピン外務次官はその可能性はないと応じ、またミサイルシステムは一時的に配備されているだけとマナロ外相は応じました。
■防衛フォーラム
 日本もあいば野のオリエントシールドが物凄い熱さでしたがやはりというかフィリピンも熱かった。

 アメリカインド太平洋陸軍では西太平洋地域の過酷な気候が問題視されているとのこと。フィリピンのフォートマグサイサイ演習場にて6月に行われたJPMRCX米比合同演習ではアメリカ陸軍の第25軽歩兵師団が訓練に参加し、師団が駐屯するハワイ州とは異なる気候と環境でのフィリピン軍との貴重な訓練機会を得られたとしています、しかし。

 フォートマグサイサイ演習場での6月は、既に気温摂氏35度に達し、また湿度に至っては100%近い気温に見舞われたとのこと。湿度100%では発汗した際の汗が乾かず体温調整が不可能となるほか、体力消耗も顕著となります。このため、まず飲料水の補給需要が劇的に拡大し、ヘリコプターによる補給頻度が大幅に高まったと報告書に記された。

 アメリカ陸軍では行軍に際し72時間分の水と食料及び弾薬と個人装備を携行していますが、第25歩兵師団ではJPMRCX米比合同演習を通じ、個人携行装備の総量を抑えた方がかえって消耗が減ることが顕著であり、また携帯無人機を分隊レベルで装備し、300m以内の斥候を行う、また無理に徒歩移動せず車両を最大限活用する必要性も挙げています。
■防衛フォーラム
 こちらは中国は問題視しなかったというか日本の報道でも扱いは少なかった印象なのですが。

 アメリカ海兵隊は日米共同訓練において新型レーダーを台湾近くの離島に展開させたとのこと。展開したのはレゾリュートドラゴン2024日米共同演習の一環として、沖縄県南部の与那国島に展開したもので、沖縄に駐留する第12海兵沿岸連隊のG/ATOR-TPS-80地上航空多機能レーダーが航空自衛隊のC-2輸送機により展開しました。

 G/ATOR-TPS-80地上航空多機能レーダーはノースロップグラマン社が総合防空ミサイル防衛監視用マルチミッションシステムレーダーとして開発したもので、対空レーダーと低空冠しレーダーに対水上レーダ装置に対砲レーダ装置と航空管制用レーダーというもともとは5種類のレーダーにより対応していた任務を一つに統合したものです。

 レゾリュートドラゴン2024日米共同演習は今回四度目となる演習で米軍からは3000名が参加しています。今回レーダーが展開しました与那国島は台湾から100㎞程度という台湾の北玄関に位置する日本領土であり、G/ATOR-TPS-80地上航空多機能レーダー、アメリカ海兵隊は46基を導入する計画で既に21基が配備されているという。
■防衛フォーラム
 日本も開発を進めている装備ではある。

 アメリカ陸軍は極超音速ミサイルの実験に成功しました。アラバマ州ハンツビル陸軍迅速能力重要技術局でのアメリカ宇宙ミサイル防衛シンポジウムにおいて局長のロバートラッシュ中将は、ハワイ州カウアイ島のミサイル試験施設において共通極超音速滑空体が極超音速滑空を成功させ、これにより実戦配備の目処がついたことを発表しました。

 C-HGB極超音速ミサイルは、マッハ5以上で滑空し、不規則軌道により飛翔する事から従来のミサイル防衛システムやレーダーシステムでは探知が難しいものとされています。ただ、この技術では中国とロシアが先行しており、北朝鮮もその開発を進めているため、アメリカ陸軍でも開発と実戦配備が喫緊課題とされていました。

 陸軍迅速能力重要技術局はC-HGB極超音速ミサイルについて、計画よりも1年遅れているが元々は10年計画の5年目である為にまだ完全に遅れているとはいえないとしています。ロッキードマーティン社が担当する発射装置については第1多領域任務部隊第5大隊、第17砲兵旅団第3砲兵連隊既に配備されています。

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