アールグレイ日和

春畑 茜(短歌人+里俳句会)のつれづれ。
降っても晴れても、そこにサッカーはある。

ほのかにさみしい春の一日

2005年03月07日 19時43分32秒 | 短歌あれこれ
藤原龍一郎さんが入院(検査入院とのこと)された。この話は先日東桜歌会のあとにOさんから聞いていて、こころの準備をしていたはずなのに、いざ現実となると、やはりこたえてしまう。お元気になられることをせつに願う。

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藤原さんからいただいた宿題を考え、題詠マラソンの歌を考え、「短歌人」5月号の歌を考え、とにかく一日中短歌のことばかり頭にある。なかなか進まないので推敲のために音読すると、子供がうれしそうな顔をして寄ってくる。

おさなかった頃、祖父が読み上げてくれた百人一首のひびきを今でもぼんやりと思い出す。すこし枯れた声で、それでもそれはとてもうつくしい調べだった。祖父が亡くなってもうかれこれ25年になる。最後の3、4年は意識ははっきりしていたが、ずっと寝たきりだった。その祖父のことは一昨年ぐらいからようやく歌にできるようになった。寝たきりの祖父と暮した歳月の、そこはかとないひかりや影を、いまではなつかしく思う。


寝たきりの祖父に幾たび運びしか吸飲みのそのしずかなひかり
       春畑 茜(「短歌人」2003年11月号)


「題詠マラソン2005」投稿歌(053~060)

2005年03月07日 16時29分20秒 | 短歌あれこれ
「題詠マラソン2005」投稿歌8首(春畑 茜)。


053:髪
洗いたる髪より垂るるひとしずくまたひとしずく春夜にひかる


054:靴下
靴下を春のひかりに吊るしやるひゃくねんせんねんゆめみるがよき


055:ラーメン
ラーメン店「岬」の消えし国道にほつりと咲けるアブラナの花


056:松
雨の日の記憶にほそくつづくみち落葉松の影青くけぶれる


057:制服
青丹よし奈良のまひるの大仏殿制服の子ら吸われゆきたり


058:剣
アーサーの抜きし剣のそのひかり王伝説の雷(らい)にかがやく


059:十字
だいこんの花の十字のさびしさやついに娶らぬ長兄のごと


060:影
自(し)が影をはらはら春の日に散らし京の嵯峨野に竹は老いゆく