アールグレイ日和

春畑 茜(短歌人+里俳句会)のつれづれ。
降っても晴れても、そこにサッカーはある。

「短歌人」8月号と『オシムの言葉』

2006年07月31日 23時55分45秒 | 短歌あれこれ
名古屋はここ数日間すさまじい猛暑と熱帯夜だった。
ところが今日は日中曇りがちで湿度も65%ぐらい。
気温も上がらず、クーラーも扇風機も必要ない、すごしやすい日となった。
明日から8月。
やりたいと思うことはあれこれあるのだが、どうにも体がついてこない。
なるべくできる時に少しでも書き残しておかなければ・・・と思ったりする。



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短歌人「8月号」は20代・30代作品特集。
33名ひとり8首ずつ、個性と魅力あふれる作品が掲載されている。
出詠者全員ではないけれど印象に残った作品を紹介したい。


・隕石にぶつかるほどの確率のはずの事件が毎朝届く (天野 慶)

・茶碗持つ手のふるへ出し君の顔へ琥珀の粒を投げつけてしまふ (安斎未紀)

・チッチキチー、チッチキチーとわれは鳴く九月の皇子/皇女のために (伊波虎英)

・一枚のガラス隔てて目が合えば青い時間が流れはじめる (魚住めぐむ)

・いつか必ず来るべき吾子の恋の日を思ひ手遊びを見守りにけり (宇田川寛之)

・荷物とはこのようなもの。今日明日食うものばかり袋に提げて (生沼義朗)

・火曜日は児童の安全まもるためわが子ほったらかし旗をもつ (大橋麻衣子)

・さざなみにさざなみまじるその上を渡されてある見るための橋 (斉藤斎藤)

・病棟のあちらこちらに折り紙のアンパンマンらが笑ひてをりたり (さつき明紫)

・誰も見てはかえらぬような波を描くからにはずぶぬれになってこい (佐藤りえ)

・大空に張られし蜘蛛の巣のごとき観覧車見ゆ 初夏の港に (柴田朋子)

・はつ夏の開襟シャツののどぼとけあまたの父と乗る電車なり (高澤志帆)

・病院のベンチに座れば星月夜 巨人の星も君もいるのか (竹田正史)

・しろくまちゃんがほっとけーきをやいています おかあさんはげーむをしています (津和歌子)

・縁欠けの茶碗・柄のない薬缶・われ 厨の隅にうずくまりおり (鶴田伊津)

・敵のゆび喰ひちぎりけりる義元のぬばたまの歯よ五月闇濃し (洞口千恵)

・散り残る最後の花のさびしさやTOYOTAセリカもついに消えたり (松木秀)

・こをろこをろ濃き珈琲をかきまはしわたしは美しき島を生む (松野欣幸)



 ※「チッチキチー」がよくわからない方はどうぞこちらをご覧ください


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今週末は短歌人夏季集会。
このところやや不安な体調なので、ひとりでの遠距離移動は心配ではあるけれど、
今年もどうぞ無事みなさまにお目にかかれますように。
(^人^)


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本日ナゴヤドームでは、午後より高校野球愛知大会決勝が行われていた。
愛工大名電(名古屋市千種区)vs愛三大三河(岡崎市)
・・・漢字5字同士の対戦。
この決勝戦の入場客、2万6千人ぐらいではないか、と中継で伝えていた。
本日の入場料は一般600円。中高生200円(団体100円)、小学生以下無料。
果たして一日の売り上げはいくらだったのだろう(うーん)。



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画像はただ今話題沸騰中の『オシムの言葉』(木村元彦著・集英社インターナショナル刊・2005年12月)。
帯(裏表紙側)には〈村上龍激賞〉とある(おおっ!)。
また、第16回ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。
第52回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高等学校の部)なのだそうだ。
まだぱらぱらと気が向いたところを読んでいる段階だけれど、この本のなかに、
あのジェフ千葉の通訳・間瀬さんについて書かれているところがあった。
これがまた興味深い話で・・・(以下自粛)。
興味のある方は、現在書店で売られていますので、ぜひお読みください。







『きつね日和』書評のことなど

2006年07月26日 17時56分19秒 | 短歌あれこれ
今日も名古屋はよく晴れて暑い。
外ではぢゅわぢゅわぢゅわーと蝉が鳴いている。
アブラゼミ?ですかね?

月曜日にはちび鯱の通う園に、前日名古屋場所を終えた力士が3名ほど来て、1時間近く遊んでくれた。
その日はあいにく雨が降ったり止んだりで、室内での交流となったけれど、
とにかく本物の「お相撲さん」に夢中で突進していくわが子の姿に
ちょっと感動を覚えたのだった。


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今日も総合誌で見つけたW杯ドイツ大会関連の作品を紹介します↓


・サッカーの声ばかりなるテレビの中よ動かぬ足を吾は持ちいるぞ  市原志郎(「短歌現代」8月号)


・子供らがJapanの青きユニフォーム着てボール蹴る 青は夢の色  桑原正紀(「短歌現代」8月号)






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『きつね日和』の書評等を掲載していただきました↓(ありがとうございます!)


☆「短歌現代」8月号 書評
(執筆してくださった方/「ヤママユ」の小谷陽子さん)


☆短歌総合新聞「梧葉」夏号(vol.10) 書評
(執筆してくださった方/「りとむ」の寺尾登志子さん)


☆角川「短歌」7月号、「歌集歌書を読む」の欄で三浦槙子さん(まひる野)が取り上げてくださいました。


☆「詩学」6月号、短歌時評で喜多昭夫さん(井泉)が取り上げてくださいました。


みなさま、ほんとうにありがとうございます。




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地元名古屋在住の歌友・杉森多佳子さん(未来)のブログでも『きつね日和』を紹介していただきました。
杉森さんのブログはこちらです↓
「燕のため風花のため」(6月23日付日記)

ありがとうございます!


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歌集『きつね日和』、ネット上ではセブンアンドワイ等でお求めいただけます↓
セブンアンドワイはこちらをクリックしてください
風媒社でのお求めはこちらをクリックしてください
一般の書店でもご注文いただけます。


どうぞよろしくお願いします。



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○短歌総合新聞「梧葉」夏号の「新作一首二〇〇六年夏」に1首載せていただきました。


○「短歌ヴァーサス」10号(<9月刊行予定)に作品15首書きました。


お読みいただけるとうれしいです。





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夏の高校野球愛知大会、昨日の3回戦で母校・時習館高校が
9回に逆転をゆるし、負けてしまいました。
・゜゜・(/д\)・゜゜・。

この時習館でもロケが行われたという映画「早咲きの花」(宗田理さん原作)が
この夏公開されます(豊橋市制100周年記念映画)。主演は浅丘ルリ子さん。
映画「早咲きの花」の詳細はこちらをご覧ください。
映画「早咲きの花」公式サイトはこちらです。


この母校、映画の中では悠々館高校というちょっと変わった名前で登場するそうです。
時習館という名前の由来は吉田藩校時習館から。
『論語』(孔子)の「学びて時に習う、これまた悦ばしからずや」からきていて、
同じ時習館という名前の学校が熊本県にもあるそうです。

2006W杯ドイツ大会の歌

2006年07月23日 21時01分22秒 | 短歌あれこれ
・脆弱な日本の若者見よといふ感じに負けて ワールドカップ

             小池 光(「短歌研究」8月号)



2006年のW杯ドイツ大会も終り、ジダンの頭突きの件もFIFAによる処分が決まった
(この件、暴力行為に及んだジダンに比べるとマテラッツィへの処分が厳しいように思うが、
これ以上ごちゃごちゃここで書いても仕方ないので、以下自粛)。
今回のW杯での不甲斐ない戦い方の反省や
ジーコやサッカー協会への批判もさほどには出てこないまま、
21日、日本代表の新監督にイビチャ・オシム氏が正式に就任した。

これでいいのかっ「反省しない日本」!・・・(<これはサッカーだけの話ではないが)。

しかし、私はここ数年イビチャ・オシム監督のファンであったから、
この就任を喜ばないわけにはいかない(<素直に「うれしい」と書けって!)。




「オシムJAPAN」になったからといって、すぐに代表の面子ががらっと変わるわけではないだろうが、
半年後ぐらいには「よく動き、よく走る日本代表」が見られるのではないかとわくわくしている。
そして毎試合後には「オシム語録」を堪能するたのしみもある。




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さて、その日本代表の1次リーグ敗退から約ひと月が過ぎ、
日記冒頭に引用した小池作品のほかにも
W杯ドイツ大会を詠んだ作品が総合誌に見られるようになった。


・日本チームをサムライ・イレブンなどと呼べど「日本人」そのものがすでに絶滅危惧種  杜澤光一郎(「短歌往来」8月号)


・W杯日本戦のある日なりニッポンニッポンニッポン喧し  武田弘之(「短歌研究」8月号)


・日本対クロアチア戦のただ中に始まる追悼番組を見る  俵 万智(「短歌研究」8月号)



このほかにも「このようなW杯ドイツ大会を扱った作品があったよ~」という目撃情報があれば、ぜひお知らせください。




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(けふの即詠/七月二十三日)


・PKを告ぐる主審のゆびさきを西京極の夜の雨は降る  (春畑 茜)



   ※7月23日Jリーグ第14節 京都サンガvs清水エスパルス(於:西京極陸上競技場)


大雨

2006年07月21日 19時25分32秒 | つれづれ
名古屋は夕方ちかくに雨があがり、現在は曇り空。
ときどき蝉が鳴いて、トンボも飛び交っていた。


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雨が続き、各地に被害が出ている。
ここ数年の傾向として、ピンポイント集中で今までにないほどの多量の雨が短期間に降る。
2000年9月の東海豪雨の時もそうだったが、自分の住んでいるところが
たとえ今まで何十年間水害にあっていなかったとしても、
過去の記録をはるかに超える量の雨が襲ってくるのだ。
明日は晴れるらしいが、日曜日からまた雨続きの予報が出ている。
これ以上被害が出ないことを祈りたい。



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むかし私が住んでいた諏訪湖畔の地域に避難指示が出されている。
ニュースを見ていると、少し見覚えのある方々が避難所にむかう姿が映っていた。
私が住んでいた十年ぐらいの月日のうち、台風による水害(浸水)は1、2度あったけれど、
まさかあの山が動くとは思いもよらなかった。
あのままあの場所に住んでいたら
私も今頃避難する住民のひとりとなっていただろうか。




被害地域の一日も早い復興と
亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。

ジダンの一件が子供に与える影響

2006年07月14日 20時55分02秒 | サッカー関連
今日買ってきた「Number」(657)に、ナンバー・ノンフィクション「オグに見た夢。」(近藤篤=文・写真)が掲載されている。
元日本代表・小倉隆史が現役を引退して、数ヶ月がたった。
若いころから将来を嘱望された「レフティー・モンスター(左利きの怪物)」の引退としてはあまりにも寂しくあっけないものだった。
今日たまたまアズーリの記事を読もうと買ってきた雑誌に、
そのオグの何年間かを追った文章が掲載されているのを見て、とてもうれしかった。
うれしくて、でも読み終えて、やっぱり寂しくなった。

小倉ほどの「夢を見せてくれるストライカー」が、それからの日本にはいない。
果たして、オグを超えるようなストライカーがこれから先出てくるだろうか。
それはいつなのか。
それとも永遠に出てこないのか。
今はまだわからないのだ。

その文章の最後にセルジオ越後さんの言葉が出てくる。
「(略) 怪我してもしなくても、最終的にね、選手の財産っていうのは残した思い出だから。それが永遠に生きてくわけだから」




*
ジダンの頭突き一発退場の場面が、毎日あちこちのニュースで流されている。
これが世界的に人々の関心をひくニュースであることは認めるとして、
しかし世界中の子供たちに与える影響は決してよくないことを思うと、
ニュースは仕方がないとしても、あの映像をこれ以上オンエアしないでほしいと思う。
うちのちび鯱(4歳)もサッカーが大好きで、W杯でのジダンのプレーもよく見ていた。
しかしニュースであの場面を見るたびに
「ジダン、頭突きしちゃダメなんだよー!」と泣きそうな顔で言う。
子供にはジダンがなぜ頭突きをしてしまったのか、その背景や理由がわからない。
映像の衝撃だけが子供の記憶に刻まれてしまうのだ。


昨日たまたま診察待ちでテレビを見ていたら、とある民放の夕方のニュースで
この一件の続報が流れていて、そこでもちび鯱が「頭突きしちゃダメだー」と反応していた。
ニュースはジダンのことばかり言うけれど、あのジダンの行為でほかのフランス代表選手たちの好プレーがあまり語られなってしまったことが、とても残念に思われる。

しかも、そのニュースではイタリアのマテラッツィのことを悪者としてとり上げたい(?)らしく、あのイタリア-豪州戦でマテラッツィが一発レッドカード退場になってしまったファウルを「とても悪質」というニュアンスで伝えていた。
しかし、あの試合でのマテラッツィのファウルに関しては、即刻レッドカーを与えた主審のほうに問題があると思っている。それほどに悪質ではなかった。
イエローカードで十分だったのだ。
それを悪質極まりないようなものだったと歪めて報道してしまうことのほうが、
よほどレッドカードに値するような悪質な行為だと思う。

W杯は終ったが、何だかいつまでも後味の悪い大会となってしまった。
「頭突き」で現役引退となってしまったジダンが残念でならない。