ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『風の刑事・東京発!』#11

2023-05-21 15:55:53 | 刑事ドラマ'90年代


☆第11話『特急あさま 高原に消えた恋人』(1996.1.10.OA/脚本=小木曽豊斗/監督=村川 透)

風間警部補(柴田恭兵)と二人暮らしする父親=良輔(西村 晃)が、ふらっと出かけたまま数日が経ち、どうせいつもの放浪癖が出たんだろうと思ってたら、その良輔が「すぐに保険証を持って来てくれ!」と電話で泣きついて来たから驚いた!



どうやら良輔は長野県の雪山で負傷し、妙高高原のペンションに身を寄せてるらしい。

さすがに慌てた風間は特急あさま号に飛び乗り、そのペンションへと駆けつけます。



するとそこには、若くて可愛い女の子2人に囲まれ、満面の笑みを浮かべる良輔の姿があるのでした。

「何やってんだよ、オヤジ!💨」

「おお、大輔。来たか」



どうやら良輔は、フィッシング旅行中に雪で滑って足を捻挫しただけ。ちょうどクルマで通りかかったペンションの若きオーナー=浅岡智美(若林志穂)に拾われ、手当てを受けて世話になりまくり、智美の妹=愛(石橋けい)ともすっかり仲良くなったご様子。

もちろん、主役の刑事が来たからには、ここで事件が起こらなきゃ話になりません。翌日、ペンションから少し離れた関川渓谷で変死体が発見され、その身元が東京から来た片桐康彦というサラリーマンであることが判明します。

そしてその片桐はかつて、ペンションオーナーの智美と大学時代にチョメチョメな関係だった!



地元警察は転落事故と断定するんだけど、風間は胸騒ぎを覚えます。遺体が発見された場所も、そして死亡推定時刻も、負傷した父が智美に拾われた場所と時間にやたら近い!

この前レビューした回(第9話)では尊敬してやまない恩師を、そして今回は父の命を救ってくれた恩人を、殺人容疑者として疑わなきゃいけない刑事の仕事……っていうか刑事ドラマの主人公という立場のやるせなさ。

「もうウチには泊まらないで下さい! お姉ちゃんを疑うような人、顔も見たくないです!!💢💢💨」



当然、妹の愛はハイパー激怒し、風間を全力で排除しようとします。主人公はつらいよ!

けれど調べれば調べるほど、死んだ片桐と智美は切っても切れない「共依存」の関係だったことが分かって来ちゃう。事件当日、片桐は借金返済で追い詰められた状態だったし、智美は銀行でキャッシュを下ろしてる。

刑事ドラマに出てくる女の人って、なんでそんなロクデナシにばっか惚れちゃうでしょう?

「智美さんになんてこと言うんだ!」



事実を確認しに来た風間に、良輔の控えおろうビンタが炸裂します。

「お前は、状況だとか動機だとかを見て疑うんだろうが、肝心なあの人自身を見ていない。あの人をよく見てみろ。人を殺して黙っていられるような人じゃないだろ!」



風間だって、智美にはシロであって欲しいに決まってます。けれど、真相はもっと残酷なものでした。



「お姉ちゃん、私がいるからいいじゃない。ずうっと私がそばにいてあげるから……だからお姉ちゃんもどこにも行かないで」

愛がそう言うのは、片桐との関係をズルズルと引きずってきた姉が、そのせいでさんざん苦しんでるのをよく知ってるから。

「じゃあ、愛と2人でお婆ちゃんになるまで、此処をずうっとやってくワケかぁ」

「イヤ?」

「ううん、イヤじゃないわよ」



そう言いながら翌朝、智美は自殺未遂をやらかしちゃう。そして、見舞いに来た良輔に言うワケです。

「息子さんの言う通りなんです。片桐さんを殺したのは、私です」



これにて一件落着! ……いやいや、だったらなんで今まで隠してたの?って話です。智美は前夜、愛との会話で事件の真相を悟ったんでしょう。

サスペンスドラマを見慣れた方なら、もうとっくにお気づきかと思います。もし本当に智美が犯人なら、妹の愛がまったくの無駄キャラになってしまう。ストーリーに存在するからには、必ず何らかの役割を担ってる筈です。



「お姉さん、助かったよ。キミを守るために、命まで捨てようとしたんだ」

「……アイツがいたら、お姉ちゃんは幸せになれないの。だから、別れさせようと思って……」



そう。あの日、片桐が智美にカネをせびりに来ることを知ってた愛は、先にヤツと密会し、姉との縁を切らそうとしたんだけど叶わず、画になる渓谷で突き落とした。それを悟った智美は、自分が自殺する(つまり罪を被る)ことで幕引きを図ったのでした。

「お前には、情けってものが無いのか?」

第9話で田島主任(柄本 明)に言われたのとまったく同じセリフを、今回は自分の父親から浴びせられちゃう風間大輔。ホントにまったく、主人公はつらいよ!


セクシーショットは智美役の若林志穂さん。’80年代にアイドル歌手としてデビューされ、女優としてもTBSドラマ『天までとどけ』等で注目されました。

刑事ドラマは石原プロの『ゴリラ/警視庁捜査第8班』#42と『代表取締役刑事』#20、そして『はぐれ刑事純情派』シリーズに4回と『はみだし刑事情熱系』クリスマススペシャル(’03)等にゲスト出演されてます。

ちなみに妹の愛を演じられた石橋けいさんも『さすらい刑事旅情編』『はみだし刑事情熱系』『刑事追う!』『科捜研の女』『相棒』『踊る大捜査線』『警視庁・捜査一課長』等にゲスト出演されており、現在まで息長く活躍されてます。


 


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