ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#362

2020-07-12 00:50:16 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第362話『デイト・ヨコハマ』

(1979.7.6.OA/脚本=柏原寛司&小川 英/監督=櫻井一孝)

ある土曜日、午前中で勤務を終えた早瀬令子婦警(長谷直美)を、ロッキー(木之元 亮)が顔を毛むくじゃらにしながらデートに誘います。

が、それは暴力団・竜神会が横浜を経由して麻薬を密輸入するという情報を受けての偽装デート。そうと知ってむくれる令子をなだめつつ、ロッキーは顔を毛むくじゃらにして横浜港ターミナルを張り込みます。

ところが現れた竜神会の連中は荷物検査をパスしてしまう。麻薬を忍ばせたブランデーのケースを、とっさに傍にいた留学生・エミリー(ナンシー・チェニー)のバッグに隠したのでした。

顔の毛が邪魔してそれが見えなかったロッキーは、捜査の空振りに落胆するも、令子はせっかくだから横浜デートを楽しもう!とポジティブシンキング。

ところが二人が乗って来たジープを、ロッキーに何度か捕まった事のある自動車泥棒の常習犯=中井(中村ブン)がイタズラ心で拝借し、トンズラしてしまった!

怒りで顔に毛が生えたロッキーは「一体どこへ行きやがったんだ、あの野郎!」とか「一体どこへ行きやがったんだ、あの野郎!」とか「一体どこへ行きやがったんだ、あの野郎!」などと言いながら令子と二人、タクシーに乗って中井を探し回ります。(同じ台詞を何度も言うのが木之元さんのクセみたいです)

一方、中井は竜神会の連中にエミリーが襲われてる現場に遭遇し、勇気を振り絞って彼女を助けます。当然、麻薬を取り戻さなきゃ親分に殺されるかも知れないヤクザたちは二人を追跡。

吸った揉んだあってカップルがロッキー&エミリー、中井&令子に入れ替わりつつ、あえなく(っていうか毎度のごとく)ヤクザに捕まって殺されそうになったロッキーを、次週に殉職を控えたボン(宮内 淳)が颯爽と助けに駆けつけ、ムダに長い銃撃戦を経てヤクザどもを一網打尽、一件落着となります。

ハイクオリティーな脚本に定評ある『太陽にほえろ!』ですが、700本以上も創ってたら当然、スカスカとしか言いようのないエピソードも生まれちゃいます。これがその一例w

マカロニ(萩原健一)殉職回の前週に放映された第51話『危険を盗んだ女』もそんなエピソードでしたw ヤバイもの(あの時は偽札でしたっけ?)を計らずも手にしてしまった女性がヤクザたちに狙われ、緊張感のない銃撃戦で解決する展開もよく似てます。7月6日っていう放映日も同じだし、もしかして意図的に再現した?

そんなエピソードでも、ショーケンさんや優作さんなら演技とアクションの魅力でカバーしてくれるんだけど、ただ「髭が面白いから」というだけの理由で新人刑事に抜擢されたロッキーだと、ひたすら一本調子な芝居で同じ台詞ばかり聞かされて、ちょっとツラい。

今回はその分、どっちが主役か判んないくらいにボンが活躍してくれて、ファンとしては嬉しかったけど、今あらためて観ると宮内さんの三枚目演技も少々やり過ぎ(もはやボンじゃなくてハンソク先生)で、浮いちゃってる感じもします。

おまけにボス(石原裕次郎)が、脚本を気に入らなかったのか体調が悪かったのか、やけにテンションが低いもんで余計にボンが浮いて見えちゃう。他の刑事さんたちも、密かに誰かが欠場しても気づかれないくらい背景化しちゃってるし。(卒業直前のボンに花を持たせた結果なんでしょうけど)

中井役=中村ブンさんの古臭い喜劇芝居も足を引っ張ってる気がするけど、何にせよ間もなく先輩格(本来なら番組の要となるポジション)に就くロッキーの主役回がデンカ並みに凡庸なのは、非常に心もとなく不安しかなくて、視聴率の急降下は当然の結果と言わざるを得ません。もちろん、番組自体がとっくにマンネリを極めてるのが最大の理由でしょうけど。

唯一の救いは、令子=長谷直美さん、エミリー=ナンシー・チェニーさんという明るい2輪の花が存在すること。いっそこのお二人だけで話を創った方が良かったかも?

……すみません、言い過ぎましたw 決してロッキーというキャラも木之元亮という役者さんも嫌いじゃないんです。でも、ボン亡きあとの『太陽にほえろ!』を任せるには、ちょっとやっぱり……

なお、後にロッキーと令子が結婚することは番組ファンなら常識ですが、本エピソードがその伏線になってるワケではありません。ただ、今回の仕上がりを観て「この2人、意外とお似合いかも?」って、スタッフが思った可能性は無きにしもあらず。

ゲストのナンシー・チェニーさんは当時21歳。アメリカ人と日本人のハーフで、深夜バラエティー番組『11PM』のカバーガールを務めて注目され、TVドラマ出演は『特捜最前線』#103・#104に次いで本作が2度目。この後に優作さんの『探偵物語』でレギュラーを務められる事になります。

ほか、刑事ドラマは『鉄道公安官』#19、『噂の刑事トミーとマツ』#17、#45にゲスト出演。そして'80年には杉良太郎さんの『大捜査線シリーズ・追跡』、'81年にはボン=宮内淳さんの『探偵同盟』でレギュラーを務めておられます。
 


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