ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『はぐれ刑事純情派』4ー#24

2021-11-23 00:00:12 | 刑事ドラマ'90年代

しばらくハードというか濃厚な記事が続きましたので、お口直しにマイルドな刑事物レビューをお届けしたいと思います。

こないだBS朝日でやってた藤田まことさんの人気シリーズ『はぐれ刑事純情派』のシーズン4、第24話です。番組のキャッチコピーは「拳銃無用」w そんなバカな!?

本放映は1991年の9月11日、篠崎好 脚本&村川透 監督による作品で、サブタイトルは『女検事の恋・ラブホテルで殺された少年』。まだフィルムで撮影されてた頃のやっさんです。



新宿のラブホテルで未成年男子の遺体が発見されます。どうやら大量の覚醒剤を打ったことによるショック死と見られ、やっさんこと安浦刑事(藤田まこと)ら山手中央署の面々が捜査に乗り出します。

で、その少年の遺留品から、やっさんと顔見知りである東京地方検察庁・特捜部の女性検事=相沢真紀(沖 直未)の名刺が発見されます。

殺された少年は東都銀行の副頭取である竹本(福田豊土)の息子であり、真紀は東都銀行と暴力団「村瀬連合会」が絡む脱税事件を捜査中だった。

どうやら竹本少年はその秘密を知ってしまい、父親に不正をやめさせたい一心で真紀に事実を告発しようとし、口封じの為に殺されたらしい。



そんなワケでやっさん達は、剛腕検事の真紀と一緒に捜査を進めるんだけど、合理的に手っ取り早く結論を出したい真紀は、地道に歩いて小さな手掛かりをコツコツ集めるやっさん式捜査をバカにし、コンビを組んだ「女安浦」こと晴子(岡本 麗)をカンカンに怒らせます。なにせこのドラマの女性レギュラーは全員もれなく、やっさんのことが大好きなんですw

そこでやっさんは、真紀のヒミツをこっそり晴子に教えます。それは3年前、真紀の婚約者だった捜査4課の刑事がヤク中のチンピラに刺されて殉職したという、哀しすぎる過去。

そのお陰で違法薬物に対する憎しみが人一倍強い真紀にとって、ヘロインを使った今回の事件は亡き婚約者の弔い合戦みたいなもの。だから早く結果を出したかったんでしょう。

「まあ、人間には色々あるからさ。晴ちゃんもそうカッカするなよ」

同じ独身のワーキングウーマンとして、晴子も真紀に一目置くようになるのでした。



さて、やっさん式の地道な捜査により、事件当日ラブホテルで竹本少年と一緒にいたのは、ゲイバーで働くニューハーフのサユリ(矢木沢まり)であったことが判明。

で、そのサユリが、竹本少年をホテルに誘ったのは三上(本郷直樹)というクラブオーナーの指示だったと証言するもんだから真紀が驚いた! その三上という色男は、今まさに真紀とチョメチョメ真っ最中のお相手なのでした。

しかも三上は、恐らく少年殺しを画策したであろう村瀬連合会の中堅幹部だった!



「そんな、あの人が? 嘘です、確かめて来ます!」と息巻く真紀に、実はこう見えてハードボイルドなやっさんがクールに言い放ちます。

「そんな男が本当のことを話すと思いますか? あなたも検事なら分かる筈だ。いま妙な動きをしたら相手に警戒されるだけです」

「私は別に、捜査の邪魔をするつもりは……ただ、彼に……」

「あなたの個人的な付き合いよりもですね、誰が竹本少年を殺したのか、我々は真犯人を突き止めるしか無いんです!」



しかし連合会の村瀬会長(高城淳一)が自ら動き出し、現時点で唯一の証人だったサユリが証言を覆します。これでは手も足も出せません。

「こうなれば残る手は1つしか無いな、やっさん」

ヤクザにしか見えない署長の横溝(梅宮辰夫)が顔をドス黒くしながら言うもんだから、てっきり村瀬会長を引っ張って来てぶん殴り、「拳銃無用」のポリシーを破ってロシアンルーレットでも仕掛けるのかと思いきや、そこはさすが「純情派」のやっさん。繰り出した最後のカードは、被害者の父親で脱税の張本人でもある竹本副頭取を、真紀と一緒に説得するという、バキューン!ドッカーン!で一件落着を推奨する本ブログの方針とは相反するものでしたw

「このままでは、あなたが手を下さなくても、将来あるお子さんを、父親のあなたが殺したも同然という事になるんだ!」

やっさんにそう言われ、真実を証言することを一時は約束した竹本副頭取だけど、村瀬会長から「可愛い娘さんがいるんだねえ、うひひひひ」というお褒めの電話を賜わって、あえなく自宅の風呂場で自殺しちゃうのでした。

「財界、政界、そのうえ暴力団まで加わっての、大きな壁か!」

ヤクザにしか見えない横溝署長すら泣きごとを言う事態となり、いよいよ真紀も顔をドス黒く曇らせるんだけど、やっさんだけは諦めません。

「検事さん。あなたの仕事は終わったかも知れんが、我々刑事の仕事は終わっちゃいない。竹本少年を殺した真犯人を捕まえるまで、私はやりますよ」



こうなったら怒り心頭、今度こそポリシーを捨ててバキューン!ドッカーン!な必殺仕事人が見られるかと思いきや、やっさんが繰り出したのはやはり、ニューハーフのサユリを真摯に説得するという「純情派」の正攻法なのでした。



かくして、サユリが三上の指示で少年に覚醒剤を与えた事実を認め、真紀の見てる前で三上は殺人教唆容疑で逮捕されるのでした。

「1つだけ教えて下さい。あなたは私が検事だと知っていて……脱税事件を追ってるのを知っていて、私に近づいて来たんですか。恋人のフリをなさったんですか」

「もし、そうだとしたら?」

半笑いでうそぶく三上に、真紀の敏腕検事ビンタが炸裂します。



それでも一緒にいた村瀬会長に「我々には優秀な弁護士がついてる。ほんの少しの辛抱だ」と言われ、余裕の態度を崩さない三上に、ハードボイルド刑事やっさんがキメてくれます。

「三上、いい気になるなよ。村瀬さん、あんたもだ。証拠を揃えて必ず検挙してみせる。あんたも銀行も政治家も、いつまでも甘い汁を吸えると思うなよ」

実際、証拠を潰しても潰してもなお食らいついて来る、スッポンみたいなやっさん式捜査で、彼らはここまで追い詰められたワケです。そう言えば顔もスッポンに似てます。

「あんた達が裏取引で、脱税だ融資だといいようにした金は、ごく普通の一般庶民がマジメに働いてこつこつ貯めた金なんだ。あんた達が手にした泡のような、汚い金とは違うんだ!」

かくして一件落着! 拳銃を使えばもっと落着だったろうけどw、もはやそんな時代じゃないワケです。



「安浦さんのお陰で、ニセモノの恋、つかまえずに済みました。私も、諦めずに事件を追ってみます。安浦さんのように」

純情派のスッポン刑事やっさんに心酔し、やっぱ大好きになっちゃった真紀は、晴子ともすっかり仲良くなり、爽やかに次の現場へと歩みだします。

「安浦さんのどこに、若い美女を立ち直らせる秘密のもとがあるのかしら?」

まったくの部外者なのに、事件の内容を何から何まで知り尽くしてる高級バー「さくら」のママ=由美(眞野あずさ)に冷やかされて、やっさんはいつもの困り顔。捜査機密を気軽に漏らすからそんなハメになるw

「いや、そりゃ……つまり何て言うのかな……」

「………?」

「…………」

「…………」

「…………」

言わへんのかいっ!?と視聴者全員がツッコんだところでジ・エンドw みんなやっさんのことが大好きだから、誰も文句は言いません。



バキューン!ドッカーン!がいっさい無くても、やっさんは観てられるんですよね。それはキャラクターの魅力、役者さんの魅力に尽きるかと思います。

それと、以前の記事にも書いたように、みんなが主人公を愛してる世界観の居心地良さ。特に女性陣のツンデレぶりがたまりませんw それを不自然に感じさせない藤田まことさんの人間力。当たり前だけど誰が演じても同じにはならないワケです。

特に、悪口と文句ばかり言いながら誰よりやっさんを愛してる、血の繋がりがない2人の娘たち(松岡由美&小川範子)の存在が、我々オヤジ世代にはたまりませんw 少年マンガかよ!?ってくらいのハーレム設定です。

今回、彼女たちは本筋に絡んでないけど、松岡由美さんがちょっとしたセクシーショットを見せてくれました。小川範子さんもどんどんお綺麗になられて、まさにハーレム!



そして今回のメインゲスト、敏腕検事の真紀に扮した沖直未さん(当時のクレジットは沖直美)は、当時32歳。沖縄出身で’81年から近年までずっと活躍されてる女優さん。

サスペンス系ドラマへのご出演が多く、刑事ドラマは翌年『はぐれ刑事純情派』第5シリーズに再登場されたほか、『さすらい刑事旅情編』第5シリーズ、『はみだし刑事情熱系』第1、第3、第6シリーズ、そして『おみやさん』第6シリーズ等、テレ朝&東映系の作品に度々ゲスト出演されてます。


 


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3 コメント

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Unknown (ひさ)
2021-11-23 22:25:08
はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。

アクション物の得意な村川透監督ですが、この時期は人情物刑事ドラマを多く撮られていますね。
初期の頃ははぐれ刑事純情派を良く見ていましたが、フィルムでなくなった辺りから緊張感がなくなり温くなっていったように思います。でもこのころのほうが今よりも良い時代だったのかも。最近の刑事ドラマは推理を楽しんでいるみたいで、犯人や被害者に感情移入したり、良心と葛藤して捜査するような泥臭さが欠けているような気がします。アクションもダンスしているみたいな整ったものじゃなく、泥臭い殴り合いが見たいんです。
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Unknown (harrison2018)
2021-11-23 22:58:41
ひささん、書き込みありがとうございます。

刑事ドラマも時代と共に随分と変わりました。おっしゃる通り、かつては人間ドラマがメインだったけど、今は謎解きがメインで全てがゲーム感覚。そんな作品もあって良いとは思うけど、どれもこれも横並びに同じ事をやっちゃってるからつまんない。

かつては、たとえば『太陽にほえろ!』が大ヒットすれば、他の刑事ドラマはいかに『太陽〜』と違うことをして目立ってやろうか?って躍起になってました。だから活気と個性があって面白かったですよね。

今はテレビ業界に余裕が無くて、そういう冒険や実験をやりたくても出来ないんだろうと思います。ほんと哀しい時代になっちゃいました。
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Unknown (ムーミン)
2021-11-26 20:56:12
この頃はまだハードボイルドで見応えがありましたね。
だんだん内容が主婦の犯罪が増えてセコくなって、つまらなくなっていきました。松岡由美さんはエロかったです。サービスショット多かったです。
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