ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#433

2021-07-05 21:21:15 | 刑事ドラマ'80年代






 
☆第433話『金髪のジェニー』(1980.11.21.OA/脚本=柏原寛司/監督=高瀬昌弘)

ゴリさん(竜 雷太)が、夜の酒場で聞き覚えある歌声を聴いてハッとします。

「源さん!」

かつて何度か捕まえ、面倒を見てきた窃盗常習犯の源次(梅津 栄)が、周りの迷惑もどこ吹く風でスティーブン・フォスターの『金髪のジェニー』を熱唱してるのでした。

1ヶ月前に出所したばかりの源次は、長い間会えなかった娘とやっと会えたし、もう足を洗ってマジメに生きていくんだとゴリさんには言うんだけど、嘘っぽいですw

「旦那だけだね……わしのことを心配して下さるのは」

とはいえ娘を想う気持ちだけは本当らしく、彼女が幼い頃によく唄ってたという『金髪のジェニー』を再び口ずさみながら、また夜の街へと消えていく源次なのでした。

もちろん、そんな時は翌朝、源次が溺死体となって発見されちゃうのがお約束。

ショックを受けつつ他殺と直感したゴリさんは、横浜でホステスとして働く源次の娘=ユミ(竹田かほり)に会いに行きます。なぜ横浜かと言えば、柏原寛司さんの脚本だからですw

ところが! ゴリさんの眼の前でユミが二人組の男にさらわれそうになり、駆けつけると彼らは黒塗りの外車で逃走! 源次がまた犯罪と関わってたのは間違いなさそうです。

しかし助けてもらったにも関わらず、ヤンキー気質のユミはゴリさんに礼も言わず、源次が亡くなったと聞いても動じません。

どうしょうもないロクデナシで、父親らしいことは何もしてくれなかった源次を「父親だなんて思ったことは一度もない」と言いきるユミは、彼が殺された理由を知りたがるゴリさんにこんな言葉を浴びせます。

「アンタと会ってたからじゃないの?」

「え?」

「アンタとあの人が会って、そのあと殺されたんでしょ? 警察にタレ込んだと思われたんじゃないの?」

「…………」

「それなら、オヤジ殺したのアンタみたいなもんね」

「!!」



目撃者の証言とゴリさんの記憶により、ユミを襲った外車は「海盛物産」の社用車であることが判るんだけど、社の幹部たち(小倉雄三、北川欽三)は「車を盗まれて被害届を出したばかりなんですよ」と、事件への関与を否定します。

が、海盛物産には以前からヘロイン密輸の黒い噂があり、恐らく源次はそこへ盗みに入って、ヘロインを持ち帰ったせいで殺された。娘のユミまで襲われたのは、そのヘロインがまだ見つかってないからだろうと藤堂チームは推理します。



やんちゃなユミは、源次から何も受け取ってないにも関わらず、カマをかけて海盛物産と取引しようとします。

「売ってやろうかと思ってね。オヤジの遺産」

それで1千万円を要求するんだけど、連中が探してるブツは5千万以上の値がつくヘロインなもんで、カマをかけたことが速攻でバレちゃって絶体絶命!

もちろん、間一髪のところでゴリさんたちが駆けつけ、まずは怒りのゴリパンチ108連発でフルボッコ!

さらにCOLTトルーパー6インチからS&W M29(44マグナム)8インチに乗り換えたスコッチ(沖 雅也)による問答無用のマグナム弾が炸裂!

おまけに毛むくじゃらの大男と運動靴の大男による容赦ないリンチまで加わり、悪党どもは死ぬ一歩手前で刑務所へと送られるのでした。こんな物騒な警察にだけは追われたくないもんですw

「オヤジさんの気持ちも解ってやれよ。酔うといつも『金髪のジェニー』唄ってたんだぜ? よっぽどキミが可愛かったんだな」

「そんな歌……私には関係ないもん」

さすがに懲りたかと思いきや、ユミは相変わらず突っ張った態度を崩しません。

「やり過ぎだよ。何も無いのにアイツらをユスるなんて!」

新婚のロッキー(木之元 亮)が顔を毛むくじゃらにして叱っても、ダサくて古臭いもんだからユミには通じません。

「オヤジだってやったのよ? 殺されなかった私の方が上手じゃない」

「なんてこと言うんだキミは!」

そんなユミの分厚い鎧を脱がせたのは誰あろう、もうこの世にはいない父親の源次でした。ユミのアパートに届いた小包を開けてみると、出てきたのは『金髪のジェニー』のメロディを奏でるオルゴール。

その内部を調べると案の定、ヘロインが隠されてはいたんだけど、源次はそれを知らなかったに違いありません。ゴリさんは全てを察します。

「源さんは、ヤツらをユスろうと思ってこいつを盗んだんじゃない。ただキミにプレゼントしたくて盗んだんだ」

「…………」

「これはね、源さんからキミへの最初のプレゼントだ。そして……最後のプレゼントだよ」

「…………」

たかがオルゴールを買うカネぐらい自分で稼げよ!と内心ツッコミながらw、初めて父親らしいことをして死んでったオヤジを想い、ようやくユミは優しい涙を流すのでした。



よくあるパターンのお話で、作品の良し悪しは全てゲストの女優さんに懸かって来るんだけど、竹田かほりさんなら文句なし。おそらく柏原寛司さんは竹田さんを想定して脚本を書かれただろうし、そもそも竹田さんが呼ばれたのも柏原さんのリクエストだったんじゃないでしょうか?

前述の通り横浜が舞台になるのも柏原脚本のお約束だし、神奈川県警の刑事が「水原」って名前なのも柏原さん流のお遊びに違いありません。(水原は横浜舞台の『大追跡』『プロハンター』における藤竜也さんの役名。今回の水原は藤さんに似ても似つかぬ普通のオジサンだけどw)

また、ゴリさんの相棒役を務めたロッキーの家庭事情(新妻の令子さんが妊娠中)も随所で語られ、「うちの令子が」「令子が」とロッキーがまるで「うちのカミさんが」のコロンボ刑事みたいになって来て存在感を増してるのも見所の1つ。結婚してほんとに良かったね、ロッキーw

にっかつロマンポルノ『桃尻娘』シリーズで知られる竹田かほりさんは、#368『事件の背景』に続く二度目の『太陽にほえろ!』ご登場で、今回の#433との間に松田優作さんの『探偵物語』にレギュラー出演されてました。

刑事ドラマは他に『Gメン'75』『大空港』『爆走!ドーベルマン刑事』等にゲスト出演。中でも『Gメン~』は計7回のご登場でほぼセミレギュラー扱い。宮内淳さんの『探偵同盟』にもレギュラー出演されてたし、我々にはとても馴染み深い女優さんでした。

が、'82年に甲斐バンドの甲斐よしひろさんと結婚され、潔く芸能界を引退。ちなみに甲斐さんは『太陽~』の新人刑事役をオファーされたけど断ってやったぜ!とラジオ番組か何かで自慢されてたそうだけど、真偽は怪しいもんです。


 


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