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『裏刑事/URADEKA』最終回

2019-03-17 00:00:13 | 刑事ドラマ'90年代









 
☆第12話『さらば裏刑事!涙の殉職』

(1992.6.30.OA/脚本=田上 雄/監督=成田裕介)

最終回は、さすがにハードな内容でした。凶悪犯を海外へ逃亡させる「逃がし屋」の組織を捜査中、超法規委員会のエージェント=芦沢雅子(戸川京子)が殺し屋に捕まり、拷問の末に殺されます。

敵=逃がし屋組織の狙いは、裏刑事の正体を探り、抹殺すること。雅子がエージェントである事を敵が知っていた=超法規委員会に内通者がいると睨んだ司令官の長谷(高松英郎)は、あえて敵の罠に掛かるよう岩城(藤 竜也)らに指示します。

「怖い……今度はあなたが狙われるわ」

長谷の娘であり、岩城の主治医でもある香織(財前直見)は、惨い殺され方をした雅子の遺体を見て、胸騒ぎを覚えます。

「ようやく、俺の死に場所が見つかったようなもんだ」

「イヤよ! もしあなたが死んだら、私……」

当初は岩城を実験材料としか見てなかった香織も、会う度に口説かれ続けた成果なのかw、立場を忘れて岩城の身を案じるようになりました。

しかし、次の犠牲者は岩城ではなく、例によって色仕掛けで逃がし屋組織に潜入していた小夜子(小林沙世子)でした。

内通者の名前を聞き出すことに成功したところで殺し屋に捕まり、同じく潜入してた岩城と三枝(近藤正臣)の目の前で撃たれちゃうのでした。

「あたし……どうした? 岩城さん……黒幕は、袴田って名前……」

「袴田か……分かった」

「ねえ、次は何をすればいい?…………」

演技力はいまいち拙かった小林沙世子さんですが、この最期の場面は彼女の子供っぽい口調が上手く活かされ、とても良かったです。

彼女も岩城と同じ裏刑事、すなわち一切の過去を捨てた身であり、死に際でも任務の事しか頭に無い(それしか気にすることが無い)っていうのが、また切ないです。

内通者は、超法規委員会で長谷の上司にあたる男=袴田(根上 淳)でした。彼が逃がし屋組織を操る黒幕であり、邪魔になった裏刑事を全滅させようとしてる。

こうなるともう、裏刑事稼業は存続出来ません。創設者である長谷は、岩城の身体に埋め込んだペースメーカーのリモコンを無効にします。つまり「命令に逆らえば心臓を停止させられる」という恐怖から、岩城を解放したのでした。

「今日限りで裏刑事の組織は解散する。今回の指令を受けるか否かは、君自身で決めてもらいたい」

涼しい顔で言う長谷に、岩城は溜まりに溜まった怒りを爆発させます。

「貴様っ! 命を管理されて生きる事がどういう事か、貴様に分かるかぁ―っ!?」

長谷の胸ぐらを掴み、思い切り投げ飛ばしてから、岩城は静かに言うのでした。

「……ギャラを頂きましょうか」

「やってくれるのか」

その一部始終を見ていた香織が、岩城に「せっかく自由の身になれたのに!」と泣いてすがります。

「コントロールされてなくたって、俺の心は裏刑事なんだよ。それにヤツらを殺らなきゃ、あんたの親父が殺される事になるんだ」

死んだ小夜子と同じく、過去を全て失った岩城はもはや、裏刑事としてしか生きられない身。香織への想いは本物だけど、彼女を幸せにしてやる事は出来そうにありません。

「どこかでまた、君よりも素敵な主治医を見つけるとするさ」

長谷から受け取ったアタッシュケースに入ってた拳銃は、コルト・ローマンMk-lll。裏刑事になる前の岩城=佐々木警部が愛用した拳銃です。

その拳銃で逃がし屋組織のボスと袴田を地獄へ送り、ついに岩城は裏刑事としてのラストミッションを終えるのでした。

それからどの位の月日が経ったのか、横浜の街を歩く香織に、クラシックなスポーツカーに乗った岩城が声を掛けます。このシーンはサイレント映画仕立てで、台詞は手書きの字幕により表現されてます。

『やぁ、先生 紹介するよ 俺が16年つき合ってる愛車だ 名前はゴンタ! こいつはひどいヤキモチ焼きでね 俺に惚れてる女を乗せると必ずエンストするんだ どうだい、試してみないか?』

香織を乗せると案の定、車はすぐにエンストしますが、岩城の事だからわざとやってるんでしょう。

『ゴンタは勘違いしているようよ』

『勘違いなら大歓迎だ』

そしてキスする二人……という、ハッピーかつノスタルジックな場面で『裏刑事』の物語は幕を下ろしました。

これは現実かも知れないし、岩城か香織が見た夢、あるいは妄想なのかも知れません。あれから岩城もよく考え、元の「佐々木」という男に戻って、香織と一緒に人生をやり直す気になった、と思いたいですね。

いずれにせよ、とても藤竜也テイストに溢れたラストシーンで、恐らく藤さんご自身のアイデアが反映されてるんじゃないでしょうか?

この最終回は良かったです。見応えありました。やっぱりレギュラーキャストの死は、ストーリーに緊張感を与えてくれますよね。

特に『裏刑事』はレギュラーもゲストも女性キャストの貢献度が非常に高く、彼女らの死がもたらすインパクトには、野郎どもが何人殺されようが敵わないものがありました。

ヤング裏刑事の西村和彦さん&山田雅人さんもアクション等よく頑張ってくれたけど、このブログでクローズアップする機会は遂にありませんでしたw やっぱイケメンよりつまんないものは、この世に存在しないワケです。

じゃあ、藤竜也さんはイケメンじゃないの?っていうツッコミもあるでしょうが、違います。イケメンなどという軽薄な表現は全く似合いません。

そんな俳優さんが活躍し、女優さんが惜しげもなく脱いでくれる『裏刑事』みたいなアクションドラマを、是非また観たいもんです。
 

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