ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』#01―1

2018-10-12 00:00:23 | 多部未華子









 
堀内敬子さん扮する主婦が黒いバッグを抱え、顔面蒼白になりながら歩道橋を上がっていく場面から本作はスタートします。

その様子を刑事=柿の木坂警察署の殺人班第三係主任・東警部補(北村有起哉)が物陰から見張っており、どうやら誘拐犯の指示による身代金の受け渡しであろう事が伺えます。

しかし、犯人は東主任の死角を突いて、まんまと身代金を奪い去り、代わりに切断された子供の指を現場に残すという、ショッキングな幕開け。

この時に東主任は、現場近くに佇む金髪の少年を目撃します。その少年こそが、今回の誘拐事件の主犯であり、冷酷無比な謎の殺し屋=「ジウ」なのでした。

不幸な境遇を背負い、世の中に絶望し、人間らしい感情も失った、その冷たい眼の奥にくすぶる、青白い炎……と、いうような感じを、ジウはここで視聴者に見せつけないといけないワケですが……

とても残念なことに、この非常に重要なタイトルロールを演じてる韓国のアイドルダンサー「L」くんに、そういうヤバそうなオーラが全く感じられないんですよねw

どっからどう見ても育ちが良さそうで、そのキラキラした瞳には生きる希望が満ち溢れてるL君は、どんだけライティングや編集で不気味さを演出したところで、その辺で遊んでる陽気なナンパ少年にしか見えず、これっぽっちも怖くない。

誉田哲也さんの警察小説を映像化した『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』は、テレビ朝日系列の金曜日深夜「金曜ナイトドラマ」枠で2011年の夏シーズンに放映されました。

平均視聴率は8.66%との事で、深夜枠である事を差し引いてもイマイチな結果と言わざるを得ません。世間一般での評価はどうだったかよく知りませんが、少なくとも多部未華子ファンの間じゃ評判悪かったですよねw

私自身、『デカワンコ』に続く多部ちゃんの主演ドラマがまたしても刑事物!ってことで狂喜乱舞し、ワクワクしながら放映を待ったにも関わらず、せっかく買ったDVDは今回レビューするまで一度も観てませんでしたw

良い部分も沢山あるけど、それ以上に悪い部分が満載なドラマなんですよねw 中でも私は、このジウ=L君のキャスティングは致命傷だったと思ってます。


☆第1話『交渉する女vs.闘う女』

(2011.7.29.OA/脚本=菱田信也/演出=片山修)

警視庁第一特殊犯捜査第二係=SITの交渉班に所属する門倉美咲(多部未華子)は、参考書と睨めっこして昇進試験の勉強中。

そんな彼女をからかう同僚たちの中には、伝説の朝ドラ『つばさ』で多部ちゃんの相手役を務めた小柳友くんも混じってます。彼はどういうワケか、多部未華子ファンの間では「乳首」と呼ばれてるそうです。

一方、同じSITでも制圧班に所属する伊崎基子(黒木メイサ)は、道場でチーム仲間(全員男性)と格闘技(マーシャルアーツ?)の練習中。

と言っても、基子は圧倒的な強さで男どもをなぎ倒し、容赦なく締め技を使って先輩刑事を失神させるという凶暴さで、練習というより逆リンチ状態。男を痛めつけてストレス発散してるようにも見えます。

「卑怯な手ぇ使いやがって!」と怒り心頭な先輩たちに、謝るどころか「凶悪犯相手にそんな文句が通じるのかよ?」と涼しい顔で言い放つ基子は、周りと協調する気が全く無さそうなロンリーウルフ。

他人を信じてないのか、あるいは面倒臭いだけなのか、刑事部屋でも基子は誰ともコミュニケーションしようとしません。

そんな基子とは対照的に愛されキャラの美咲は、仲間達から「カンヌ」と呼ばれてます。交渉術の合同訓練においてギャラリー達をもらい泣きさせたという、見事な「泣きの演技」がその由来なのですが……

「いやぁ~、あれはまさにカンヌ・グランプリ級の演技だったなぁ~」

麻井係長(伊武雅刀)まで手放しで誉め称える、美咲の特技「泣きの演技」だけど、なんと我々視聴者には(最終回まで)1度たりとも披露されないまま、このドラマは終わっちゃいますw

そもそも、美咲は「心優しい性格で涙もろく、すぐ人に感情移入してしまう」っていう人物設定なのに、特技が嘘泣きって……w

設定が矛盾してる上、一度もストーリーに活かされないというw しかも美咲は第3話から別の部署に異動しますから、それ以降は誰も彼女を「カンヌ」って呼ばないんですよね!w これはもう、TVドラマ史上でも稀に見る「設定倒れ」かと思います。ある意味、必見ですw

それはともかく、こうして皆にチヤホヤされてる美咲を、ロンリーウルフの基子が快く思うワケがありません。わざとコップを床に落として話の腰を折るという、中学生みたいな嫌がらせをしても可愛くありません。

そんな基子に笑顔で話しかけ、なんとかチームに馴染ませようとする美咲もまた、中学生(いや、小学生?)並みの純真さです。

退勤時も独りで帰ろうとする基子を、美咲は追いかけ笑顔で話し掛けます。美咲の服装は白に近いグレーのリクルートスーツで、基子は黒革のライダースーツ。何から何まで対照的です。

美咲は、自分も基子みたいに強くなってチームの役に立ちたいと、あくまで相手を立てる交渉術で(?)基子にアタックします。

「交渉班に伊崎さんみたいな人がいると、突入班も万全よね。私ね、いつも見習わなきゃって思ってるの」

「あのさぁ、どうせアンタは危ないヤマ踏まないんだから、いつでも何処でも泣けるようにしときゃいいんじゃないの? 私には耳障りだけど。アンタの声」

「え?」

多部ちゃんの「え?」っていう一言には、実に様々なニュアンスが込められてて、私はいつも感心させられます。ここでは「どういう意味?」っていう疑問と「なんでそんなこと言うの?」っていう落胆した気持ちが「え」の1文字だけで見事に伝わって来ます。

それにしてもまぁ、とりつく島なし。なんで基子は、こんな性格になっちゃったんでしょう? このドラマ久しぶりに観るもんで、いきさつ憶えてませんw

ただ、彼女の生き方も美咲との関係(距離感)も、最終回まで全く変わんなかった事だけハッキリ憶えてます。これには意表を突かれました。そんなドラマ、なかなか無いですよ!w

普通、2人の生き方や関係性が変わって行く様を見せて、感動を誘うのがドラマってもんですから。それを大胆にも完全スルーして、代わりに描かれたのがL君のへなちょこアクションと、ショッカーみたいな「新世界秩序」w ある意味すごい!

そんな画期的で素晴らしいドラマ『ジウ』のレビューを、いったい誰が望んでいるのやら? それでも、私はやります。とりあえず第1話だけw

(つづく)
 

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