ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『華麗なる刑事』#04

2023-10-16 20:53:21 | 刑事ドラマ'70年代

 
日本テレビ系列で『俺たちの勲章』と『はぐれ刑事』が放映されてから2年が経過した1977年、フジテレビ系列の月曜夜8時枠で4月からスタートしたのが東宝制作による『華麗なる刑事』で、同年11月まで全32話が放映されました。

’70年代初期のトレンドとも言える“挫折の美学”がまだ残ってた『〜勲章』や『はぐれ〜』と違って、この『華麗なる刑事』にそういう暗さというか、ドラマ性はあまり感じられません。

ほぼ同時期、日テレでは火曜夜9時枠で石原プロの『大都会 PART II』がスタートし、『はぐれ刑事』以上にシリアスだった前作『大都会/闘いの日々』から打って変わって娯楽アクション路線にシフトしたのも、決して偶然じゃないでしょう。

つまり、日本という国が異様に豊かで明るかった、あの「’80年代」の足音がいよいよ近づいてきた感じ。

それに加えて『華麗なる刑事』は、どちらかと言えば男性向けのメディアだった(と私は思ってる)テレビのチャンネル権を、いつの間にか女性たちが握ってることにいち早く気づき、内容に反映させた先駆的な作品だったと言えるかも?



それを象徴するのが草刈正雄に加納竜という爽やかイケメン(田中邦衛さんはさておきw)、さらに檀ふみ、沢たまき、梶芽衣子といった“男ウケ”しない(と私は思う)女優陣の起用、そして44マグナムを使いながらも射殺は無く、アクションはあくまでスマートに見せるという演出コンセプト。



いや、置いといた田中邦衛さんにしたって女性人気は凄かった筈で、イケメンとはまた違った“男の色気”がほとばしってます。

要するに、とにかく“華麗なる”男たちを愛でるために創られたドラマであり、それ以上でも以下でもない。言わば女性向けアイドルドラマのはしりかも知れません。




☆第4話『標的は俺だ』(1977.4.25.OA/脚本=田波靖男/監督=児玉 進)

ストーリーは至ってシンプル。米国企業への闇献金が噂される商事会社の幹部たちが凄腕スナイパーに次々と暗殺され、警視庁・南口署の刑事たちが捜査に乗り出します。

で、そのスナイパーの正体がどうやら主人公「ロス」こと高村一平(草刈正雄)がかつてロサンゼルス市警(アジア特捜隊?)にいた頃、愛銃マグナム44で射殺したサムソンという殺し屋の弟子=清宮(三ツ木清隆)らしいと判明。



つまり、キラー清宮にとってディテクティブ高村は死んだマスターのエネミー。これはかえって好都合?

次の犠牲者が出る前に犯行を阻止すべく、高村は自らターゲットとなって清宮を誘い出すのでした。



挫折の美学はどこへやら?って感じだけど、どっちが観やすいかと言えば断然こっちだし、正直言ってレビュー記事を書くのもラクなんですw なにせ華麗なるアクションの魅力は文字じゃ伝えようが無いですから。

イメージビデオのレビューと同じで、切り取った1つ1つの場面を脳内でモンタージュし、若き日の草刈さんや邦衛さんの華麗なる姿を想像して頂ければと思います。



草刈さんの走るフォームは松田優作さんほど美しくはないにせよ、手足が長いだけにやっぱ画になります。サウスポーゆえ射撃スタイルも独特です。

そして相棒のゴローさんこと南郷五郎(田中邦衛)も「子供がまだ食ってる途中でしょうが!」と言わんばかりに大活躍。



殺陣で魅せるタイプじゃない『華麗なる刑事』では珍しいかも知れない、ロス刑事の格闘アクション。



こうしてキメるときはキメるけど、普段の2人はこんな感じ。



過去の記事に再三書いてきたとおり、邦衛さんの味わい深い演技や存在感が羨ましくて仕方ない草刈さんが必死に三枚目を演じ、逆に邦衛さんが二枚目に徹してるのが『華麗なる刑事』の一番面白いところ。制作側は大いに困ったことでしょうw

そんな2人の脇を固める南口署捜査課のメンバーは、上条課長(佐野浅夫)にベテランの田島刑事(新 克利)、そして“坊や”こと真田刑事(加納 竜)。



『華麗なる刑事』のもう1つの魅力として、ロス刑事が駆る“ギャランΛ(ラムダ)”を筆頭とする、華麗なる三菱カーたちも挙げられるかも知れません。第29話では“フォード・マスタング・マッハ1”との対決も見られました。



さらにゴローさん専用車のランサーセレステ1400GL、“城西署の女豹”こと三杉刑事(梶 芽衣子)が愛用するランサーセレステ1400GSL等、私は詳しくないから解んないけど、お好きな方には味わい深いラインナップかも?



そして忘れちゃいけないレギュラー女優陣。まずは少年係の巡査にして南口署のマスコット的存在の、青井 空(檀ふみ)。



“南口署の生き字引”と呼ばれて嬉しいのかどうか分からない、署長よりも偉そうに見える園山巡査部長(沢たまき)。



実はシリーズ後半に5回登場するだけのセミレギュラーだけど、第三の“華麗なる刑事”として強烈なインパクトを残した“女豹”こと、城西署刑事の三杉理恵(梶 芽衣子)。



以上の女優陣が「男ウケしない」と書いたのは決して悪口じゃなく、チャンネル権を握ってる女性視聴者たちに嫌われないことが何より大事。

ところがそんな中、青井巡査の同僚婦警に扮した大塚悦子さんだけ「おっ、可愛い!」「この人は男ウケしちゃうのでは?」と思ったもんで調べてみたら、なんと本作での共演がきっかけで後に草刈正雄さんの妻となり、ダンサーの紅蘭さんやモデルの草刈麻有さんを産むことになるお方じゃないですか!



↑言うまでもないでしょうが左側の人です。

童顔ながらもボインぼいぃぃ〜ん!なボディで男性誌のグラビアを飾られた“グラドル”のはしりで、その結婚を後押ししたのは誰あろう、草刈さんの大親友らしい勝野洋さん! テキサスがロスの人生に多大な影響を与えたとはよく出来た話じゃないですか?

というワケで今回のセクシーショットは檀ふみさんでもなければ梶芽衣子さんでもなく、ましてや沢たまきさんでもない、草刈正雄夫人の大塚悦子さんです!


 


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