ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「木村理恵 in 太陽にほえろ!'77~'78」

2019-11-14 12:00:11 | 刑事ドラマ'70年代









 
'77年から'78年にかけてのアッコ(木村理恵)です。この1年間で随分と大人っぽくなられました。

実際、18歳から19歳になろうという年頃ですから、プライベートでもきっと色々あった事でしょう。まさに「少女から女へ」という時期。

そして七曲署のマスコットガールから一人の女優へと脱皮すべく、'78年秋の北海道ロケ編を前に木村さんは『太陽にほえろ!』から巣立って行かれました。

台詞は通常1エピソードに1つあるか無いかで、背景同然の扱われ方で終わっちゃう時もしばしばなのに、決してクサることなく、三年間ずっと可憐な笑顔を見せ続けてくれました。まさに「癒し」の女神様です。

実際、刑事の身に危険が及んだ時や、悩みを抱えて落ち込んだ時に、それを心配するアッコのカットが1つ入るだけで、なんだか我々も励まされ、救われたような気がしたもんです。

他の刑事ドラマでも事務員の女の子がよく登場してましたが、大抵は添え物でしかなく、七曲署のマスコットガール達ほどの存在感を残した人はいなかったように思います。

クミ(青木英美)、チャコ(浅野ゆう子)、ナーコ(友 直子)、皆さん魅力的でしたけど、アッコには特に癒されたような気がします。妹キャラでありながら、どことなく母性も感じさせる人なんですよね。
 
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『太陽にほえろ!』#308

2019-11-14 00:00:09 | 刑事ドラマ'70年代








 
☆第308話『新しき家族』(1978.6.23.OA/脚本=杉村のぼる&小川 英/監督=木下 亮)

宝石店の金庫が破られ、5億円相当のダイヤモンドが盗まれます。プロの犯行と見た藤堂チームは、金庫破り常習犯と宝石密売ルートの両面から捜査を開始。すると観光会社社長の大崎(田中明夫)が腕利きのハコ師を探していたとの情報があり、その大崎が数日前に宝石店を訪れていた、つまり下見していたらしいとの目撃証言も。刑事たちは大崎が黒幕と見てマークを始めます。

そんな折り、山さん(露口 茂)の養子=隆(小椋基広)を引き取っていた四国の祖母が亡くなり、隆が帰って来ることになります。

まだ幼い隆の面倒を全て見るワケにいかない山さんは、かつて強盗罪で逮捕した男の娘である高田加代子(千野弘美)に、住み込みの家政婦になってくれないかと依頼します。

なぜ、山さん自身が逮捕した犯罪者の娘を?と加代子は戸惑い、藤堂チームの刑事たちも「もし万一、何かあったら…」と心配するんだけど、山さんは「万一、何があるって言うんだ?」と涼しい顔。

万一っていうのはつまり、加代子が山さんに復讐するようなことを皆は心配してるワケだけど、私はそれよりも山さんが若い娘の色香に迷ってチョメチョメしちゃわないか、それだけが心配で昼寝も出来ません。

そんな不安をよそに、加代子は迷った末に家政婦を引き受け、山村家に引っ越すことになりました。

一方で捜査も進展し、金庫破りの実行犯は関西のハコ師=牧野(阿藤 快)と判明。ちょうど加代子が引っ越して来た時に「牧野、発見」の連絡を受けた山さんは、隆の出迎えも彼女に任せて現場に駆けつけます。

ところが、牧野は張り込みの隙をついて暗殺されちゃいます。それは、山さんたちの動きを読まない限り不可能な犯行でした。

ゴリさん(竜 雷太)は、加代子に疑惑の眼を向けます。聞き込みの途中で、加代子が如何にも怪しい男と話しているのを、ゴリさんは見掛けてしまったのでした。

山さんが牧野の居場所を電話で知った時、加代子はすぐ傍にいた。その情報を彼女が黒幕に伝えたのだとすれば……

「ゴリさん、それとこれとは何の関係もないよ」

山さんはそう断言するんだけど、どうしても気になるゴリさんは、ロッキー(木之元 亮)と二人で密かに加代子をマークします。

すると、またもや怪しい男が加代子に接触。もちろん、飛び出したロッキーの熊みたいな顔に驚いて男は逃走、その間に加代子は隆を連れたまま行方不明になっちゃいます。

すわ、誘拐か!?とゴリさんたちは慌てますが、山さんは動じずに「大丈夫だ。あとは任せてくれ」と言って自宅に戻ります。

加代子は、山村家に戻って自分の荷物をまとめていました。もちろん隆は無事です。

自分には隆を預かる資格は無いと言う加代子に、山さんは理由を問います。

加代子は、かつて父親の犯罪仲間だった男=原田に「週刊誌の取材を手伝ってるから」との理由で山さんの日常を根掘り葉掘り聞かれ、その生活ぶりは軽く話したけれど、捜査情報などは何も言ってないと答えます。

でも、そのことを山さんやゴリさんたちには言えなかった。言えば疑われるに決まってるから。

「本当は私、山村さんに隆ちゃんの世話をって言われた時、涙が出るほど嬉しかったんです。あのとき迷ったのは、父のことに自分でこだわったからでした。でも……やっぱり、来てはいけなかったんです」

そう言って泣きながら謝る加代子に、山さんは「それは違う。謝らなきゃならないのは私の方だ」と穏やかに言います。

「刑事の家に来たばかりに、君はそんなにツラい思いをした。そこまで考えなかった私が悪かったんだよ。すまなかった」

「…………」

「君ももう家族の一人だ。その気持ちに私は甘えていたんだ」

「家族……山村さん、本当にそう思ってくれてたんですか? 私のこと、本当に何も疑ってなかったんですか?」

「疑う? 私はね、20年近くも刑事をやっているんだよ。君が家族に迎えられる人かどうか位は、初めからハッキリしていた」

「…………」

「もし、君を信じたことが間違いだったら、私は……そう、刑事を辞めるだろうな」

「山村さん……」

程なくして原田が黒幕の大崎と繋がっていたこと、大崎の命令で原田が牧野を暗殺したことも判明し、二人は逮捕されます。原田が別ルートで牧野の居場所を掴んだことも判り、晴れて加代子の潔白は証明されました。

というワケで、しばらく寂しかった山村家に、隆と「新しき家族」が住むことになりました。ラストシーンでボス(石原裕次郎)が「頑張れよ、山さん」って言うんだけど、それは「頑張って(チョメチョメを)我慢しろよ」っていう意味なんでしょうか?

これからセミレギュラーとして加わる高田加代子を、いずれロッキーとくっつけようという目論みが制作陣にあったそうですが、そうなると山さんとロッキーが加代子を奪い合う斬新な『太陽にほえろ!』が見られたかも知れませんw

それは冗談としても、もし加代子がロッキーとくっつけば「警察官は犯罪者の身内とは結婚できない」っていう掟が立ちはだかる=かつてのゴリさんと同じ轍を踏むことになるワケで、繰り返しを避ける為にでしょうか、この恋愛プランは幻に終わりました。

加代子を演じた千野弘美さんは、当時21歳。殿下(小野寺 昭)も出演してた日テレ系の連ドラ『たんぽぽ』第4シリーズで女優デビューされ、そのドラマをたまたま観た露口さんが千野さんを見初め、家政婦役に推薦されたんだとか。

山さん宅に家政婦を登場させることが先に決まっていたのか、あるいは千野さんを起用するために家政婦を設定したのか? もし後者なら、露口さんは相当お気に入りだった筈で、やっぱりチョメ……

それはともかく、千野さんは'83年放映の第564話『夏の別れ』まで通算8回『太陽にほえろ!』に出演されたほか、刑事ドラマは『鉄道公安官』『特捜最前線』『私鉄沿線97分署』『大都会25時』『はぐれ刑事純情派』等にゲスト出演。時代劇を中心に2005年頃まで活躍されてます。

しかしそれにしても、レギュラー刑事の家にお手伝いさんが来た……それだけのネタで1エピソードが成立しちゃう『太陽にほえろ!』って、つくづく「キャラクターのドラマ」なんだなあって思います。

犯罪者の娘を山さんは一貫して信じ抜いた。ただそれだけのドラマで、謎解きもどんでん返しも一切無い。

でも、だからこそ作者のメッセージがストレートに伝わって来ます。作者が何を言いたかったのか、わざわざ書くまでもありません。

私はやっぱり、こういうドラマこそが好きです。リアルタイムで観た時はガキンチョで「今回も地味な話やなぁ」程度にしか思ってなかったかも知れないけどw

今、こうしてレビューすればするほど、『太陽にほえろ!』っていう番組がなぜ万人に愛されたか、つくづくよく解ります。
 
コメント (2)
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