源氏物語と共に

源氏物語関連

宇治植物公園と京都城南宮

2008-11-08 08:33:58 | 

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先日「源氏物語の色と植物」展示をしていた宇治植物公園↑と
城南宮の源氏物語の庭(画像は曲水の宴の庭)↓へ行ってきました。



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JR宇治駅前からバスに乗って植物公園に着きました。
苗なども売っていましたが、ちらっと見て展示会場へ(期間はもう過ぎています)
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吉岡幸雄先生の色の展示は撮影不可。
例によって様々な色の反物や桜かさねなど。
またその染料の実物もあり、とても綺麗で優雅でした。


御簾にも鈍色があるということにも驚きました。


1日出版された吉岡幸雄「源氏物語の色辞典」に画像が載っています。


それで、復元された秋の庭をうつしてきました。


ススキ・オミナエシ・藤袴・吾亦紅・松・撫子など
透垣(すいがい)もはじめて知りました
着せ綿にも驚きました。本当に綿で白い菊をくるんでいます。
植物園の方に聞くと、菊全体を大きなもので囲む場合もあったとの事、


実は神戸の相楽園で大菊の花びらの間に綿がつめてあったのを
着せ綿と思っていたのですが、
これは大きな花弁を傷つけないために、
展示会ではよくある手法だと教えてもらいました。
(2年前の大菊展示ー赤い大菊に白い綿があります)
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考えましたら、平安時代には今の大きな菊の品種はなかったかもしれませんね。




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マユミ・ツブラシイ・桂など色々な木もありました。
写真をとったのに、種類を忘れてしまいました
桂とマユミ?
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イロハモミジは秋になると真っ赤になるのですが、まだなようです。
最後に、花で作った国宝源氏物語絵巻「宿木」のタペストリー
見事でしたが、遠くから見ないと図柄がわかりません(トップ左画像)


次に京都城南宮の源氏物語の庭へ


お天気が少しすぐれなかったので、ちょっと携帯写真も暗めです。
11/3と春にはここで曲水の宴が開かれます(2番目の画像)


時節的に秋の庭が綺麗です。
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植物それぞれに名札がつけてあります。



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札があっても、季節的に全く何もない植物もあったし、
葉だけがかろうじて残っているものもありました。


紫苑の花は宇治より花も丈も大きかった。
全体にうっそうとした宇治の方が木陰で小さめ。
光と土の栄養状態の差でしょうか。


紫苑くらべ (左が宇治)
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大きすぎる紫苑の花と,
城南宮では実が色づいたマユミ
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他にもヤマナシとか細かく色々な植物があります。
「源氏物語の庭」という本も売っています。


その他のお庭も綺麗ですので、是非興味のある方におすすめします。
https://flower.blogmura.com/kisetsunohana/img/kisetsunohana88_31.gif
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浮舟登場(宿木)

2008-11-06 09:15:54 | 登場人物

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亡き大君に声が似てきた中の君に、薫は次第に執着するようになる。
ある日接近して迫るが、
中の君は懐妊した印の岩田帯をしていて、薫は手を出す事が出来なかった。


薫の下心に気づいた中の君は、困惑。
せめて大君の人形(ひとかた)だけでも作りたいという薫に、
大君に似ているという身分の低い母を持つ異母妹の浮舟の話を薫に紹介する。
浮舟は20歳ぐらいであった。


ある日、宇治に浮舟一行がやってくる。偶然宇治にいた薫は障子の穴から様子をのぞく。




「あやしくあらはなるこことこそすれ」という声、ほのかなれど、あてに聞こゆ。
・・略・・
つつましげにおるるを見れば、まず頭つき様体細やかにあてなるほどは、
いとよくもの思ひ出でられぬべし。
扇をつとさし隠したれば、顔は見えぬほど心もとなくて胸うちつぶれつつみ給ふ。
・・・略・・・
いと苦しげにややみて、ひさしく下りていざる入る

濃き桂(うちき)に撫子とおぼしき細長、若苗色の小桂(こうちき)着たり。
・・・略・・
主は音もせでひれふしたり。
腕をさし出でたるがまるやかにをかしげなるほども、
常陸殿などいふべくは見えず、まことにあてなり。

・・略・・
まことにいとよしあるまみのほど、髪ざしのわたり、
かれをもくはしくつくづくしも見たまはざりし御顔なれど、
これを見るにつけ、ただそれと思ひ出でらるるに、例の涙おちぬ。

尼君にいらへうちする声けはひ、宮の御方にもいとよく似たりと聞こゆ。

あはれなりける人かな、かかりけるけるを、今まで尋ねも知らですぐしけることよ。
・・・略・・かぎりなくあはれにうれしく覚え給ふ・・・(宿木)




宇治に浮舟が亡き父八の宮のおまいりにやってくるようになっていた。
偶然宇治にいた薫は、その姿を障子の穴からのぞく。


作者はまず上品な声から、
そして牛車から扇で顔を隠して腰をかがめておりる浮舟の姿を描き、
大君を思い出させる姿だと薫に思わせる。
次に臥した浮舟の腕がふっくらとかわいらしい様子を描写する。
常陸殿の娘とは思えない上品さを強調し、
いよいよ顔の描写へ。


よしある目もと、髪のはえぎわのあたりが
しっかり見たわけではない亡き大君そのものと思わせ、薫は涙を落とす。
弁の尼と話す声も中の君に似ていると。
なんとなつかしい人であろう、大君にこんなによく似た人であると、
今まで知らなかったと、とても嬉しく思うのであった。


この場面で薫は何度も障子に近づいて浮舟を垣間見している。
大君によく使用された、「よしある」という言葉や「あて(上品)」という言葉で
鮮やかに浮舟の登場を演出している。


この演出は読者を薫の視点と同様にドキドキさせる効果がある。
声の聴覚、姿の視覚と、そして遠くから次第に近くへ視点が移り、
最後に顔へと、いわば遠近法の1種ともいえるように浮舟を描いている。
とても心にくい演出であると思う。


しかも、宿木の巻の最後の部分にあたる。
まさしく新しいヒロインの登場であった。


これは中の君が最後に愛嬌つきたりという言葉で語られた椎本の巻と同じ演出と思った。


画像は吉岡幸雄「源氏物語の色辞典」より浮舟の衣装の色。


宇治植物公園展示の透垣(すいがい)



ススキ(薄)・菊・ヤドリギ

2008-11-05 09:04:55 | 

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マユミ・藤袴
紫苑(シオン)




ススキ(薄)
(匂宮)「穂に出でぬもの思ふらししのすすき  
          招くたもとの露しげくして   」     ( 宿木)  



イネ科。オバナ・カヤとも。秋の7草のひとつ。
花穂を強調して「花薄(はなすすき)」、
茎が細くしなって「篠薄(しのすすき)」とも呼ばれる。

平安和歌では花薄の形が多くなり、
万葉集と違って、風になびく様が人が手まねで他者を呼び寄せる動作にたとえ
「まねく」と表現される。
また花薄そのものを人を招く「袖」に見立てたりする泳法が出現する。

邸宅に植えられた事から
亡き人ゆかりの場所でその人をしのぶよすがとして歌われた例も多い。 
(知っ得古典文学植物誌より) 
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 城南宮源氏物語の庭





菊
キク科キク属の一年草、または多年草。
中国では唐代に交配によって生み出されたものと考えられ、
日本へは奈良時代に渡来した。

奈良時代の漢詩集「懐風藻」に「浮菊酒」と登場するも、
同時代に成立した万葉集に菊の歌は1首も詠まれない。

菊の歌の初見は平安遷都後の桓武天皇の御歌
「この頃の時雨の雨に菊の花散りぞしぬべクあたらその香を」(日本後紀・類聚国史)

しかし、この歌のように菊の芳香を詠んだ歌は少ない。

菊を賞玩するという場は、9月9日の重陽の宴という中国から伝わった宮中行事による。
重陽の宴の起源は天武天皇685年からといわれるが定かでなく、
嵯峨天皇の814年に宴が復活してから和歌にも菊が数多く詠まれるようになった。

重陽の明け方に平安女性たちは前夜から菊花に綿をかぶせて
夜露を含ませたその綿(着せ綿)で顔の皺を拭って老いを払おうとした。
菊合わせという和歌あわせも行われた。

また菊は晩秋から初冬に霜や時雨によって染めあげられ、
白色が紫色に変化する「うつろひたる菊」がもてはやされた。
うつろひたる菊が男女関係における変心や異心などをも意味している。
(知っ得古典文学植物誌より)
写真は着せ綿


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ヤドリギ

(薫)「やどりきと思ひいでずは木のもとの
        旅寝もいかにさびしからまし」
(弁尼)「荒れ果つる朽木のもとをやどりきと
        思ひおきたるほどの悲しき 」(宿木)
(弁尼) 「やどり木は色かわりぬる秋なれど  
        昔おぼえてすめる月かな」  (東屋)

巻名にもなったヤドリギは榎・ケヤキに寄生、まれにサクラ・ブナ類にも寄生する。
一名をホヤ、トビツル(飛び蔦)とも。

常緑小潅木で茎は木質緑色、葉は長楕円形。
花は単性、雌雄異株、果実はクリスマスの頃に結実し、黄色から白色になる。
宇治十帖の舞台になった小椋神社の境内には今も見事な宿り木の森である。

欧米ではクリスマス・イブに限り、この宿り木の下では
誰とでもキスしてもよいという習慣がある。(城南宮 源氏物語の庭)

左画像は売っていたヤドリギを知人より1枝もらったもの。
右画像は源氏物語の庭より

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同志社大学国際シンポジウム

2008-11-01 08:10:10 | その他

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今日11月1日は源氏物語の千年紀イベントがあります。


朝9時から宝ヶ池ではじまるこのイベントに
源氏講座の皆さんも申し込まれたようです。当たったと話題になっていました。
もう皆さん出発されたかもしれませんね~


私は家の用事で残念ながらお留守番です~
フォーラムに参加された方の報告が楽しみです♪


さて、同志社大学の国際シンポジウムのお知らせを教えてもらいました。
日本文学・英文学・美学・マンガ学の研究者たちが報告し、議論するそうです。


☆12/20(土)13時~17時半(ディスカッションは16時半~17時半)
 
同志社大学今出川キャンパス 明徳館教室にて


国際シンポジウム「源氏・ゲンジ・GENJIー源氏物語の翻訳と変奏」
・岩坪健(同志社大学教授)「消えた・消された・作られた巻」


・眞鍋正宏(同志社大学教授)「現代語訳または翻訳で源氏物語を読むとはどういうことか」


・故秀敏(昭和女子大学准教授)「もののあわれの翻訳論ー中国語訳について」


・白井雅美(同志社大学教授)「沈黙の文学ーヴァージニアウルフと紫式部」


・マイケル・マルラ(カルフォニア大学教授)
・ジャクリーヌ・ベルント(横浜国立大学准教授)
問い合わせ075-251-3371(文学部研究事務局)


ちょうど同志社大学では巨大なクリスマスツリーが点灯されている時期だそうで
綺麗でしょうね~


さて、TV情報
BSハイビジョンだったかな?
「あさきゆめみし」の宝塚公演 (愛華みれさんの光源氏)放映
11/2 夜10時45分~12時15分まで。


ちなみに、宝塚劇場では11/7~
宇治十帖「夢の浮き橋」を宝塚で公演するそうです。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/index.html


またNHKBSでは来週になりますが、
源氏物語絵巻再現などの源氏関係のTVが色々あるようです。
TV誌に載っていたので、変更があるかもしれません。


またCSの時代劇チャンネルで
11/16に長谷川一夫の源氏物語が放映されるそうです。
1951年作品。