バタバタしていたら、早や松の内も過ぎました。
今年もよろしくお願いします。
さて総角(あげまき)
大君の死の場面
個人的には、大君にはあまり魅力を感じなかったけれど、
米田明美先生のお話をお聞きして、大変納得できるものがあった。
大君は最後まで、皇女としてのプライドを持って死んだ。
匂宮と中の君との結婚後、
なかなか宇治を訪れられない匂宮。
宮中では大事な匂宮が3日もいなかったとあって、
母・明石女御が外出禁止令を出す。
しかも薫が宇治で紅葉狩りをしようと、その紛れに八の宮邸へと計画するも、
あの夕霧大臣までかけつけ、川で紅葉をふいた船(画像参照)と
管弦の調べの様子だけが、八の宮邸に届くのみで、
とうとう訪れる事ができなかった。
大君は、中の君は、もてあそばれたと思って
八の宮の遺言も守れずと自分を責め、病気になってしまう
しかも、阿闍梨が夢で八の宮を見て、現世の姿で
「なんの執着もなかった現世だが、
すこし気がかりな事があって浄土に行けないのが、残念である。
往生を助ける供養(お経)をせよ」と、ハッキリと言われたと言う。
それで、現世の姿という事は、まだ極楽へ行っていないからと、
お経を唱えにくる。
中の君、もうたた寝をしている時に八の宮の夢を見たと言い、
自分の夢にも現れないのは、私が悪いからとますます病は重くなる。
当然、薫がかけつけ、宇治に看病でこもってしまい、
都では、よほど大切な人が宇治にいると噂が流れる。
宇治は都と違って雪
が早い。
ふと薫が、今日は、宮中の大事な行事
豊の明り (今で言う所の新嘗祭)の日だったな~と思い出す場面があった。
そして大君は、亡くなる最後まで薫に顔を見せなかった。
この時代に顔を見せるのは夫婦のみ。
皇女のプライドを守ったといえる。
細い腕でかけた布団を引き上げ、顔を隠し(もはや扇で隠す力が無い)
人形のように着物だけを着せられたような薄い姿の状態の中、
中の君について薫が語った時のみ、少し返答した。
中の君を私と思って結婚してほしかったのに、
匂宮と結婚させたことを、うらめしく残念に思うと言って、
最後は消え入るように亡くなった。
死の場面を長く描かれているのは、紫の上と、大君だけだそうだ。
やはり2人とも、源氏物語では、重要な人物なのでしょうという事であった。
しかしながら、中の君はその後は匂宮の第一男子を生み、
人生は、逆転してしまう。シンデレラストーリーともいうべきかもしれないが、
やはりその後の夕霧六の姫との結婚などを考えると、色々思う事がある。
八の宮は源氏によって、政治的に失脚したが、
その娘はまた宮中に返り咲いた事になる
薫も光源氏よりも出世は早く、将来皇女二の宮と結婚して
傍目には申し分のない幸せ者であるが、
内面はそうでない。
源氏物語というのは、なかなか深いものがあり、
それが魅力の一つでもあり、1000年も伝わったのでしょう
この時代の皇女や貴族の娘達の没落も沢山あったのでしょう、
それを紫式部は描いて伝えてくれたという事でした。