源氏物語と共に

源氏物語関連

黒木赤木のませ(籬)

2007-07-18 10:11:20 | 

イメージ 1


野分


『中宮の御前に秋の花を植えさせたまへること、常の年よりも見所多く
  色種を尽くして、よしある黒木赤木の籬(ませ)を結ひまぜつつ、
   同じきの花の枝挿姿、朝夕露の光もよの常ならず・・』


黒木赤木のませ(籬)の意味が良くわからなかったので、調べてみました。


@nifty辞書によると、ませはまがき(籬)というそうです。
黒木は製材していない皮つきのままの丸木。
対して赤木は皮を削った丸木という意味。


源氏物語図典(秋山虔・小野谷照彦編)には、そのまがきの様子が載っていました(上の写真)
「ませ」は「まがき」と同じものという説、
「まがき」は家の周囲にある垣根、「ませ」は前栽の周囲にある垣根として区別する説があるとの事。
どちらも倒れやすい草木のまわりを囲んだ垣根なのでしょう。


胡蝶や葵にも用例があり、
新潮日本古典集成(四)の図録より雰囲気がつかめました。


また、伊万里の器では、菊の花の側に木を組んだ籬と見受けられる図案がありました。
実際菊の花などをそういう垣根で囲んだ方が風流で、倒れにくいかもしれません。


現代なら、白い花壇用のフェンスといった所でしょうか。


<まがき >
1 0

【▼籬】

大辞林 第二版より


(1)竹・柴などを粗く編んで作った垣。ませ。ませがき。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

荻(おぎ)とまゆみ(檀)

2007-07-11 15:40:03 | 
イメージ 1
篝火
 
秋になった。和琴の稽古に源氏はたびたび玉鬘のところへ行く。

『荻(おぎ)の音もやうやうあはれなるほどになりにけり』 (篝火)

荻は萩(ハギ)と漢字が似ていて勘違いをしたので、載せます。

オギは廣江美之助「源氏物語の植物(古典植物全集1)」よればイネ科。
荻は原野や水辺又は湿地に生育する多年生の大型草本とある。
花期は9~10月。秋の植物に属す。
源氏物語にも他に用例がある。

小学館の秋山虔・小野谷照彦監修「源氏物語図典」にも写真が載っていたが、
イネ、ススキたぐいよりも大きな草木に見える。

ということは、玉鬘の住む場所は池に近いとなる。
水辺にオギ?少しうっそうとした感じの池だろうか?この辺がピンとこない。
宝塚ガーデンフィールドも池の水辺に植物があったが、
蓮もありそれなりにキレイだった。そんな感じかもしれない。

撫子ばかりを植えている庭に呉竹もあり、
玉鬘の住む御殿は、夏の御殿にはふさわしい場所ではあるけれど。。
池が近ければ夏は涼しい。

『いと涼しげなる遣水のほとりに、
  けしきことに広がり臥したるまゆみ(檀)の木の下に、』 (篝火)

まゆみ(檀)についても前述の廣江美之助氏は、漢字は<真弓>でニシキギ科。
私名の真弓は、昔この材で弓を製したからであるとされる。
古事記にマユミで弓を作る事が記されているそうだ。
倭名類聚集、大和本草にも名がある。

檀という漢字を当てるのは間違いであるが、古くはこの字を用いたとされている。

秋には紅葉して葉が赤くなる。
山野に生育する3メートル余りの落葉。花期は5~6月で、春の植物に入っていたが、
秋に愛でる木なのかもしれない。しかし、こちらも大きな木。
ちなみに、ニシキギは勿論、紅葉で有名である。

写真はオギ<季節の花 300 >より
索引でマユミも参照に。
http://www.hana300.com/index.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漫画「あさき夢みし」の宝塚公演

2007-07-11 09:18:23 | その他
イメージ 1
源氏物語の本は沢山ありますが、漫画も出版されています。

1番有名なのは、大和和紀さんの「あさきゆめみし」でしょう。
実は、私も持っています(笑)他にも何冊かあります・・(^^ゞ

源氏物語の原文は難しいのでなかなか読めません。
この漫画は原文と違う解釈もありますが、わかりやすいです。
漫画ながらも、非常に芸術性を感じさせます。

この漫画をきっかけに、源氏物語を好きになった人も多いようです。

大和和紀 あさきゆめみし
http://shop.kodansha.jp/bc/books/topics/asakiyumemishi/index.html

そんな「あさきゆめみし」を宝塚歌劇がするというので、
先日大阪に行って観てきました。

いつぞや吉永小百合さんが紫式部をされた源氏物語の映画「1000年の恋」でも、
宝塚の男役スターが光源氏でしたが、
今回もやはり漫画の世界にふさわしい夢の世界でした。

見所がイッパイあって、宝塚調に抵抗がなければとても楽しめると思います。
特に後半が感激しました\(~o~)/
源氏の柏木・女三宮への密通の怒りや、紫の上の女三ノ宮降嫁への気持ちなどが
よく表現されていて、ぐんぐん引き込まれていきました。

男役ってスゴイ☆と思った次第(笑)

「1000年の恋」については、ちょっと?な表現が多かったのですが、
今回は大人でも充分楽しめると思います。

もし源氏物語をするならと、キャスティングでもいつも話題になりますが、
現代ならどの俳優さんが良いのでしょうね~

過去にも映画やドラマ、歌舞伎でも色々な方が光源氏をされましたが、
本当に難しいです。

宝塚 あさきゆめみし公演
http://www.umegei.com/m2007/asakiyumemishi.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の花

2007-07-07 09:08:49 | 
イメージ 1
イメージ 2
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
我が家に雑草のハルジオンかヒメジオン?が咲いてきた。

咲くと白い菊のような小花が可愛いので、少しだけ残しています。

これが紫苑に似た花?と思っていたけれど、
紫苑は紫系の色です。
源氏物語にも良く登場する花で、キク科、多年草で秋の花。
吉岡幸雄氏は、古くは中国の<神農本草経>にも記された薬草で、
遅くとも平安時代のはじめまでには渡来して、
貴族の庭園の池のまわりに好んで植えられたようであると述べられている。

神農本草経中品
http://www.yakuzenjoho.net/data/sinnou/2chu.html

野分
『紫苑、撫子、濃き薄きあこめどもに、女郎花のかざみなどやうの
 時にあひたるさまにて・・・』

紫苑色は紫苑重ねもあるようです。
紫と青(緑)あるいは、紫と蘇芳。

我が家は萩の花も咲いています。残念ながら有名な宮城野萩ではありません。
紫と白の江戸絞りという種類。

萩は秋の七草。
今は夏なので変な感じですが、旧暦だとすでに秋に近い?
萩の重ねは吉岡幸雄氏は表蘇芳裏萌黄で薄い赤系の色になっていました。
長崎盛兼氏は紫と白。あるいは紫と二藍で紫系の色
重ねも諸説があるのでしょう。

吉岡幸雄氏いわく、萩は万葉集の昔から親しまれた花。枕草子にも事例がある。

『わが衣摺れるにはあらず高松の野辺行きましかば萩の摺れるそ 』(万葉集巻十)

『朽葉の唐衣・淡色の裳に、紫苑・萩などをかしうて・・』  (枕草子)

京都の梨木神社の萩は有名。咲きかけた時に一度行きましたが、
見事!という時期には行っていません。

ちなみに紫式部がいたという慮山寺(ろさんじ)もすぐ近くで桔梗が有名です。

秋の七草の女郎花(オミナエシ)という黄色い花。
以前は植えていましたが、枯れました。
この漢字名に最初はびっくりするけれど、
オトコエシという花に対してつけられたそうです。
香りがあまり好きではありませんでした。
仏花に入っていて日がたつと臭くなるせいでしょうか(笑)

秋の草木は、国宝源氏物語絵巻にもよく描かれています
萩やススキ、女郎花、紫苑、藤袴(フジバカマ)が風になびく様子はなかなか風情があります。

特に<よみがえる源氏物語絵巻>では、
(東屋二)の肉眼では見えなかった紫苑が再現されました。
少し赤色の花。
薫が浮舟のいる三条の隠れ家に行って待つ場面。
また(御法)の秋草も薄、萩、桔梗、女郎花、藤袴が再現されています。
風になびく秋草の様子が紫上の終焉を感じさせて秀逸。

藤袴も去年手に入れましたので、今年の秋を楽しみにしたいと思います。
鉢なので枯れるかもしれません。

藤袴はかなり薄い紫で赤色がかかった地味な花ですが、
香りがするという事です。
そこはかとなく桜餅の香りがするとか。
先ほどの<神農本草経>にも載っています。<上品>71番蘭草。
吉岡幸雄氏いわく、中国では蘭と呼ばれていた。乾燥した茎や葉が蘭と同じ芳香を放つかららしい。

山上億良
『萩の花尾花葛花なでしこの花女郎花また藤袴朝顔の花』  (万葉集)
秋の七草にあげられている。

こうして見ると、この時代の植物はみな漢方の薬草として渡来しているのですね。

藤袴の花自体は地味な感じがするので、当時は何故もてはやされたかはわかりませんが、
源氏物語にはよく出てきます。

<よみがえる源氏物語絵巻>で<宿木三>の薄、萩、藤袴(赤い色)が再現されました。
匂宮の琵琶を宇治の中の君が身重でじっと聞く場面です。

紫苑 (植物園へようこそ)
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/sion.html

藤袴 女郎花 (同上索引参照)
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/BotanicalGarden-F.html

写真は紫苑色(吉岡幸雄)、紫苑重ね(長崎盛兼)
よみがえる源氏物語絵巻より東屋二、御法、宿木の部分
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする