源氏物語と共に

源氏物語関連

紫苑(しおん)色に女郎花(おみなえし)の織物 (東屋)

2008-11-12 11:44:18 | 

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東屋では、匂宮が中の君の所にいた浮舟を見つけてしまい、
後ろから衣の裾をとらえ、「誰?名前が聞きたい」と問いかけます。


浮舟の乳母がそれに気づいて側に来て、何とか事なきを得たという場面があります。
匂宮・浮舟・乳母の3者の緊迫した場面です。


匂宮が中の君の所へやってくると、
あいにく中の君は洗髪中で、若君も昼寝中。しかたなくあたりをぶらぶらします。
すると目なれない童が見え、新しくきた女房かとふすま障子の間からのぞきます。



障子のあなたに、一尺ばかりひきさけて、屏風たてたり。
そのつまに、几帳、簾(す)に添えへて立てたり。

帷(かたびら)一重(ひとえ)をうちかけて、
紫苑色のはなやかなるに、女郎花の織物と見ゆる重なりて、袖口さしいでたり。
屏風の一枚たたまれたるより、心にもあらで見ゆるなめり。(東屋)




帷(かたびら)とは几帳の布のことのようです。
宇治や城南宮で見た通り、紫苑の花は薄い紫色。それに女郎花は黄色の花です。
吉岡幸雄氏は「日本の色辞典」で、「女郎花の織物」を
「装束抄」の用例より、経(たて)青、緯(よこ)黄とされています


トップ画像は「源氏物語の色辞典」と「日本の色辞典」より。
1000年前の本当の色はわかりませんが、こんな雰囲気なんでしょうか。


こちらは「源氏物語の色辞典」より、紫苑かさねと女郎花かさね。
きっと実物の色布の方が綺麗だと思います。
自然界の植物の色から着物に取り入れる
季節に合った王朝感覚美は素晴らしいですね☆



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コメント
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