源氏物語と共に

源氏物語関連

浮舟 紫式部は名演出家

2013-07-22 15:05:26 | 登場人物
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(画像はネット上から宇治川のものをお借りしました)


紫式部は様々な知識で、
用意周到に源氏物語を描いていますが、

浮舟入水でも上手に小道具を使っています。

浮舟入水の場面はまさにそう
舞台監督としても素晴らしい才能があります。

だいたい歌舞伎でも、さあこれからという良い場面の前には、
太鼓とか雨とか、舞台効果音があります。

浮舟が入水する浮舟の巻には、
ごうごうと流れる宇治川の水の音が
浮舟の心を自殺への意思へとかきたてます。

いよいよ匂宮と契った事が薫にわかってしまい、
浮舟は悩んでしまいます。

実母がやってきた時に、
弁の尼と世間話をするのですが、
浮舟は聞いていないふりをしながら、
しっかり聞いています。


匂宮が浮気者であるという事もそこで聞き、
浮舟はやはり!と思います。
そして宇治川で亡くなった人の話などが出てきます。

自殺は当時、ちゃんと教育を受けた姫君なら、
仏教で自殺は地獄に落ちると教えられていますから、
絶対に考えられない選択です。
でも、浮舟は不運にもそういう姫としての教育を受けてなかった。

宇治川の流れを聞きながら、中空の身には・・
いよいよ心は決まります。

そこにゴーンという鐘の音

「鐘の音の絶ゆるひびきに音をそへて
 我が世つきぬと君に伝えよ」

夢見が悪いと浮舟を心配する母の手紙の返事に
いわば辞世の句ともとれる、この歌を読みます。

浮舟の入水の場面は描かれていませんが、
読者の想像を掻き立てます。

そして、この巻には、草子地といって
作者の意見が描かれています。

[児めきおほどかに、たをたをと見ゆれど、
気高う世のありさまをも知るかたすくなくて、おほし立てたる人にしあれば、
すこしおずかるべきことを、思ひ寄るなりにけむかし]

=いかにもおっとりして、たおやかな感じだが、
高貴な姫君のように気高く世情に通ずることも少なく、母君が育てあげた浮舟なので、
自殺といった少しおじつける乱暴な事を考えついたのであろう=

と、紫式部は語っています。

今回も、米田明美先生のお話、
とても面白かったです

姫君の教育は難しいものなのですね~

鐘の音、宇治川の流れが早い水の音。
舞台効果音の見事な名演出で浮舟の巻は、終わります。

さて、宇治川ですが、現在は上流にダムができて
昔よりは流れが緩やかです。

宇治平等院あたりは、当時は道長の別荘があったとされています。
そして川をはさんで、宇治上神社側が、宇治の八宮の屋敷あたりかと。

紫式部はきっと道長の別荘あたりに行った事があったのでしょうね~
人の心の内を文章に書ける紫式部は名脚本家でもありますね

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