源氏物語と共に

源氏物語関連

「とりかえばや」との類似

2010-12-17 12:05:49 | 関連本
イメージ 2今年も残り少なくなりました。
漢字であらわされた「暑」から一挙に「寒」へと、
あわただしい気候になりました。
 
年末に本屋さんで、偶然見かけた
角川ソフィア文庫 ビキナーズ・クラシックス
「とりかえばや」鈴木裕子著 を紹介しておきます
 
とりかえばや物語は氷室冴子さんの「ザチェンジ」という小説や
その漫画で知っていましたが、
少しこの本と内容が違っていました。
 
あらすじにしたがって、
原文の抜粋とその個所の訳が載っているので、
大変わかりやすく、一挙に読むことができました♪
 
抜粋の原文には、どこかで読んだことのある源氏物語そっくりの部分があるのには驚きました。
琵琶と琴で姉弟が合奏する場面は、
まるで宇治の姫達のようにも思いましたし、他にも類似点があるという事です。
 
男女逆で育った姉弟が宮中にあがり、
最後はお互い本来の元の姿となって栄華を極めるという内容でしたが、
人としての人生観もしっかり描かれたことにも意外でした。
源氏物語に近い文章にも思えましたがどうでしょう。
 
無明草子にも、このとりかえばや物語の批評が書かれているそうです。
 
後になってこの物語は様々な違った内容のお話が書かれたらしく、
新しいものより、前の方が良い物語になっているとか、
改定されたものより前の方が良い内容だったとかその批判が載っているとか。
 
源氏物語も同様に、後から別人によって描かれたものが
今も源氏物語として伝わっているのかもしれません。
 
高木和子先生が源氏物語における歌のやりとりで、
空蝉の巻や関屋の巻には
全く別人が作った和歌が珍しくそのまま全部使われていることから、
先にあった古歌からヒントを得て
歌物語のようにこの巻を作ったのではないかといわれた事にも興味を覚えました。
 
伊勢集の中に、伊勢の和歌ではない歌が入っているように
現在伝わっている源氏物語も、すべて紫式部が作ったものではないのかもしれません。
 
しかし、この空蝉やははきぎの巻は、後に宇治十帖とも照応する場面があり、
私は大変気になっています。
源氏物語にとって重要な巻のようにも思います。
 
ですから、全く別人の作とはいえないかもしれませんが、
今は式部が古歌からこの巻の着想を得たと言っておきます。
 
あるいは、部分的にそこだけが取り入れらて伝わったのかもしれません。
 
とにかく、源氏物語はあまりも絶大な人気小説となってしまったゆえに
印刷技術のない時代として確かな証拠はありません。
それがかえって源氏物語へのロマンを誘い、かつ魅力を感じる所なのかもしれません。
 
来年は生田斗真さん主演の源氏物語映画も公開されますが、
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/release/2010/10/9235/
私の予想では、全く違う内容になりそうな気がします(笑)
 
寒さが厳しくなります。
皆様お身体に気をつけられて、どうぞ良いお年をお迎えください。
 
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コメント
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