ひさしくとだえたまはむことは、いともの恐ろしかるべく覚えたまへば、 言に出でて言はねども、 過ぎぬるかたよりは、すこしまつはしざまにもてなしたまへるを・・(宿木)
亡くなった氷室冴子さんの小説「なんて素敵にジャパネスク」で
使用された言葉「妙齢の女性」
使用された言葉「妙齢の女性」
源氏物語宇治十帖では、まさしく妙齢の女性心理が上手だと思う。
大人の表現もあるし、妙齢の女性としてはそうなんだろうなあと思う場面が多い。
大人の表現もあるし、妙齢の女性としてはそうなんだろうなあと思う場面が多い。
匂宮は夕霧の娘・六の君と結婚する。
中の君を慰める薫に遠慮して、まわりの女房達も皆下がってしまった。
薫はついに袖をとらえて、妊娠帯に気づくまで中の君に迫り、
結局、何もしないまま暁に帰る。
結局、何もしないまま暁に帰る。
『かやうの筋はこまやかにもえなむまねび続けざりける』と
紫式部は地文で具体的な描写は避けている。
紫式部は地文で具体的な描写は避けている。
そんな中、急に匂宮が中の君を訪れる。
中の君は、薫に油断して匂宮の留守中に部屋に入られた事を後悔。
匂宮がこちらに長く来られない事を恐ろしく思い、
いつもより宮を側から離さぬようにお甘えになるという冒頭文。
いつもより宮を側から離さぬようにお甘えになるという冒頭文。
ここは、なかなか女性心理をついていると思う。
宮もいつになくまとわりつく中の君を限りなく可愛く思うのは当然。
宮もいつになくまとわりつく中の君を限りなく可愛く思うのは当然。
そしてすぐに薫の君の移り香に気づいて、中の君を問いつめるが、
そんなことはないと泣く中の君のいじらしさに負けてしまう。
そんなことはないと泣く中の君のいじらしさに負けてしまう。
だいたいにおいて、中の君はいじらしくて可愛い。
世を知った妙齢の女性心理が散りばめられているように思う。
世を知った妙齢の女性心理が散りばめられているように思う。
六の君との結婚話に、匂宮は中の君を気遣いあれこれ慰めるが、
中の君はおうように笑顔で匂宮を迎えようと思う。
中の君はおうように笑顔で匂宮を迎えようと思う。
つわりで気分の悪い中の君はあまり物も食べられず、
昔から体が弱かったけれど、すぐにけろっとする性分と匂宮を安心させるが、
ついに、ハラハラと涙をこぼす場面など、本当に可愛いと思う。
ここは「あさきゆめみし」でも印象的な場面だった。
昔から体が弱かったけれど、すぐにけろっとする性分と匂宮を安心させるが、
ついに、ハラハラと涙をこぼす場面など、本当に可愛いと思う。
ここは「あさきゆめみし」でも印象的な場面だった。
気を使う夕霧邸の六の君の所よりは、気楽な中の君邸の方が匂宮はくつろげると感じる。
その後、匂宮の第一皇子を生んだ中の君は、母としての立場も安定していく。
その後、匂宮の第一皇子を生んだ中の君は、母としての立場も安定していく。
紫式部の描く女性心理は、なかなか面白いと思う。
結婚した時に夫にはすでに正式な妻がいたという事で
式部も同じ思いをしたのであろうか。
式部も同じ思いをしたのであろうか。
女性としての紫式部にも興味が深い。
紫式部日記にも倫子が着せ綿を紫式部にくれたという
ちょっと気になる箇所があるけれど、
それはまた次回に~
ちょっと気になる箇所があるけれど、
それはまた次回に~