ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『ひきなみ』

2021-10-15 20:34:56 | 
 関ジャニ∞のライブの抽選結果発表日。私は、全没。しかし、子どもが、当選。嬉しすぎる。福井最終日に参戦。ダイエットがんばろっと。仕事がんばろっと。

『ひきなみ』
 千早茜 角川書店
 小学校最後の年を過ごした島で、葉は真以に出会った。からかいから救ってくれたことを機に真以に心を寄せる葉だったが、ある日真以は島に逃げ込んだ脱獄犯の男と一緒に島から逃げ出し、姿を消してしまう。裏切られたと感じた葉は母に連れられ東京へ戻るが、大人になって会社で日々受けるハラスメントに身も心も限界を迎える中、ある陶芸工房のHPで再び真以を見つける。たまらず会いに行った葉は、真以があの事件で深く傷ついていることを知り――。
 読んでいて『流浪の月』『82年生まれ キム・ジヨン』思い出した。
 自分ではどうしようもないこと、例えば親の職業や女であることで 不当な扱いを受けるのはたまらない。そして、大人の態度をマネする子どもたちは、残酷だ。「自分たちと違う人間が気にさわるんだと思う」「悪いことをしていないにのに、バチが当たるといいと」
 とにかく、前半は、心がざらつく。でも、目を離すことができない。という感じで引き込まれるように読む。
 後半は、大人になってからの二人。葉が受けるパワハラは、胸が悪くなる。「どうにかしようと思わなくていい」「自分を変えようとしなくていい。まちがっているのは相手」という文が心にしみる。「労りや優しさからではなく、自分が不幸な時に無関係で弱そうな誰かを密連れにしようとする人間にはなりたくなかったから」という文がよかった。
 2021年10月15日の朝日新聞の朝刊「新井紀子のメディア私評」で「『教授前と後』で激変したことがある。セクハラがぴたっとやんだのだ」「セクハラは『乗り越えるべきもの』などではない。戦争同様に、地球上から消えてなくなるべき理不尽だ」と書かれていた。本とリンクするようで心にささった。
 ひきなみとは、船の航跡のこと。ひきなみの表現が美しい。逃げる場所がないと思われる海でも、ひきなみのような道があるのではないかと言っているような気がする。「逃げたくなるときは、あるんだと思う。弱いとか強いとかじゃなくて」 「人は諦めない人間に心を動かされる」けれども、「自分のやり方で生きる」選択もあると思う。
 「別に逃げなくてもよかった」と昔追われるように去った島へ行く二人で終わる。物足りない感があるかもしれないが、再会したことで、次のステップへと進むようで、私は好きな終わり方だった。

 
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