ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『ベニシアと正、人生の秋に』『ザリガニの鳴くところ』

2021-02-28 15:56:05 | 
『ベニシアと正、人生の秋に -正ありがとう。すべて、ありがとう』 梶山正 ビニシア・スタンリー・スミス 風土社
  イギリスの恵まれた貴族の家に生まれながら、既存の幸せのかたちにとらわれることなく自由を求めたベニシア。 その半生は、山あり谷あり、波瀾万丈の人生。苦難を何度も乗り越えた人生には、同じように夢を抱き、ベニシアを支えるかけがえのないパートナーがいた。 本書はベニシアの夫、写真家の梶山正が書き綴った生活の記。ふたりの出会いから結婚、築100年の古民家への引っ越し、ベニシアさんのハーブ研究家としての活躍から現在の暮らしを振り返る。
 NHKの番組「猫のしっぽカエルの手」のベニシアさん。自然なお庭が素敵。お庭もいいけれども、お台所も素敵。美しい写真がいっぱい。
 ベニシアさんの目が見えにくくなり、パートさんが辞めて、正さんはベニシアさんに向き合わなくてはいけなくなる。ベニシアさんと前夫の間の子の関係からやや腰がひけたり、避けたりしていた正さんは、「傍観というずるい生き方」をやめる。はた目には「いつまで自由にやってんねん」と思う正さんをベニシアさんが大きな愛で包んで気付かせたように感じる。彼女のポジティブな生き方がすばらしいし、彼女を支えようと努力する彼もすばらしいと思った。

『ザリガニの鳴くところ』 ディーリア・オーエンズ 友廣純訳 早川書房
 ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかし、あるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……
 幼い少女が一人で生きなければならない状況は、辛い。誰か助けてあげてと叫びたくなる。それでも、それとなく助けてくれる人がいることにホッとする。テイトから読み書きを教わり自分の世界を広げていくところ、孤独にさいなまれるところ、湿地の美しく謎めいた描写など、夢中になって読んだ。
 動物学者である作者が描くホタルやカマキリの生態が隠喩のように後々効いてくる。途中にはさみこまれる詩も効果的。
 作者は、本作を69歳で執筆。私には、小説を書く力はないが、「年だから」と何事もあきらめてはいけないと思った。
 
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