ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『林檎の木』『たかが殺人じゃないか』

2021-02-25 09:40:14 | 
『林檎の木』 ゴールズワージー作 守屋陽一訳 集英社文庫
 銀婚式の記念にアシャーストは妻のステラとドライブ旅行に出かける。途中、若い日の思い出の地に立ち寄るが、そこは26年前、アシャーストが少女メガンと熱い想いを語り合った場所だった!
 春のウキウキした気分、美しい田舎の風景、初恋のドキドキした高揚感がよく出ている。それだけにアシャーストのメガンに対する仕打ちの酷さが際立つ。町に出て、魔法がとけたような言い方は、女性として許せない。旅行に来て、思い出すって、メガンのことを忘れていたんだと思うと何とも腹立たしい。
 でも、すごく情景がきれいで目に浮かぶのです・・・。ノーベル賞作家だそうです。

『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』
 辻真先 東京創元社
 昭和二四年、ミステリ作家を目指しているカツ丼こと風早勝利は、名古屋市内の新制高校三年生になった。旧制中学卒業後の、たった一年だけの男女共学の高校生活。そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒五名で湯谷温泉へ、修学旅行代わりの小旅行だった―。そこで巻き込まれた密室殺人事件。さらに夏休み最終日の夜、キティ台風が襲来する中で起きた廃墟での首切り殺人事件!二つの不可解な事件に遭遇した勝利たちは果たして…。
 なんとなく ぼんやりと犯人や相関図がわかるが、密室の謎とかは そうくるとは思わなかったという感じ。時代の雰囲気が出ている気がする。
 「たかが殺人じゃないか」徳永のこの言葉の重さ。反戦の祈りもこめた意味を知った時に、愕然とした。
 「人間誰だってイやなことは忘れる、都合の悪い事実はなかったことにする。そんな人間ほど、堂々と生きてゆけるんだから。忘れてはならないことまで、しっかり忘れる。その方が生きるのにラクなんだよ」この言葉も重い。
 舞台で女子学生が歌うのを邪魔するように男子学生が歌を歌う場面が嫌だった。当時の風俗かもしれないが、歌の内容とか本当に嫌だった。

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