ハナママゴンの雑記帳

ひとり上手で面倒臭がりで出不精だけれど旅行は好きな兼業主婦が、書きたいことを気ままに書かせていただいております。

グロスターの美容師殺害事件: 判決下る

2014-07-20 19:46:02 | 事件

今年の2月18日、元交際相手だった男に殺害されたホリー・ガザードさん(20歳)。 それも、グロスターのヘアサロンで美容師として勤務中に。

取調べ中も法廷でも、何の改悛の情も見せなかったという犯人のアッシャー・マスリン(22歳)に、4日前の7月16日、判決が下った。

『最低刑期24年間の終身刑』 (Life Imprisonment with a minimum of 24 years behind bars)。 

・・・ややこしいのだが、イングランドとウェールズの『終身刑』は多くの場合「死ぬまでムショ暮らし」を意味せず、一定期間を刑務所で過ごせば仮釈放を申請できる。 マスリンの場合は24年後には仮釈放を申請でき、収監中の態度がよほど悪くない限りは出所できることになる。 「死ぬまでムショ暮らし」を意味したいときは、“whole life order” (終身令?)を Life Imprisonment に付加する。 ・・・ようです。 なぜこんなややこしい刑期制度を改正しようとしないのか、ホント不思議。

 

ホリーさんの家族が公開した、彼女の写真。 幸せな表情の彼女を世間に覚えておいてもらいたい、という気持ちからだろう。

 

 

 

                   左から: ホリーさんの祖母、祖父、母親アマンダさん、父親ニックさん、姉のクローイーさん。

                   

父親のニックさん(49歳)は、法廷で遺族の被害感情を証言した。 「娘を守ってやれなかった私は、父親として失格したと感じています。 身元確認のため見なければならなかった、生命を失った娘の小さな身体・・・ あの体験からは、私達は一生回復することはないでしょう。 人生において、最も困難で最も苦痛に満ちた瞬間でした。 私達が感じることのできる唯一の慰めは、ホリーがもうあの男の手の届かない安らぎの中にあるということです。」

事件後遺族は、家庭内暴力の防止と若い美容師の育成を目的にした、ホリーさんの名を冠したチャリティー Hollie Gazzard Trust を立ち上げた。

ニックさんの、判決後のコメント。

「判決に満足しています。 私たち家族は、判事がホリーのために正しい判決を下してくれること、またその判決は恐ろしい行為に走った卑劣な一個人にふさわしいものとなることに、全幅の信頼を寄せていました。 今日下された判決により、ホリーのために正義がなされたと感じています。

 娘の死は、私達にとてつもない悲嘆をもたらしました。 ホリーのことを思わない日は一日もなく、悲しみに耐えながらその日その日を生きています。 辛い毎日ではありますが、グロスターの地域コミュニティーから多大なサポートを受けたおかげで何とかやってこられました。 心から感謝しています。」 ・・・・・

 

去年2月にロンドンのナイトクラブで働いていて知り合い、付き合い始めたホリーさんとマスリン。 ホリーさんが家族の近くに住むことを望んだため、二人は7月にグロスターに引越した。 しかしマスリンは暴力的な性向を見せ始め、ホリーさんのみならずホリーさんの家族に対しても無礼に振る舞うようになった。 父親のニックさんは、「もうこの家に来ないよう」マスリンに告げたという。

7月には街中でホリーさんの喉をつかむマスリンの姿が防犯カメラに捕えられ、11月にはホリーさんは殴られた。 しかし家族に心配や迷惑をかけたくなかったホリーさんは、マスリンの暴力性を自分の胸に秘め、暴力行為を警察に届けなかった。 が、姉のクローイーさんにだけは、「彼とは別れるつもり」と打ち明けている。

今年2月14日。 ホリーさんが「二人の関係は終わった」とマスリンに別れを告げると、マスリンはホリーさんにグラスの水を投げつけた。 ホリーさんのキャッシュカードを盗んだマスリンは、300ポンドを引き出した。 ホリーさんは翌15日、盗難とマスリンの暴力を警察に訴え出た。 警察はマスリン逮捕に向かったが、彼はその頃ロンドンで飲酒と麻薬に溺れていたため居所がつかめず失敗に終わった。

18日にグロスターに戻ったマスリンは、午後3時46分に質屋を訪れ、DVD機を質に入れて5ポンドを得た。 午後3時52分、通りの向かい側にある安物雑貨店Wilkinsonsで3ポンドのナイフ(カーヴィング・ナイフ=ロースト肉の切り分け用)を買うと、ホリーさんにテキスト・メッセージを繰り返し送りながら、2時間ほど通りをぶらついた。 ホリーさんからの返信はなかった。 

午後5時47分、マスリンはホリーさんが働くヘアサロンに行き、彼女と話すことを要求した。 受付カウンターの内部にいたホリーさんは、店を出ていくようマスリンに頼んだ。 スタッフの一人が警察を呼ぶため店の奥に行った。 当時店内にはスタッフと客の合わせて7人がおり、客の一人がマスリンに近づいたが、マスリンはホリーさんに向かって突進し、身長150cmと小柄な彼女を殴って床に倒すと、続けざまに14回刺した。

 

質屋の防犯カメラに映ったマスリン                               ナイフを選んだ店での映像

 

 

マスリンが店内にいた時間は、わずか1分52秒だった。 マスリンは現場から逃げ出した。 意識を失って血の海に横たわるホリーさん。 ショックと恐怖で身がすくむ客と同僚たち。 同僚がホリーさんを助けようと試み、先に到着した警察官が心肺蘇生法を施した。 続けて到着した救急車によってホリーさんはグロスターシャー・ロイヤル病院に運ばれたが、午後6時51分、死亡が確認された。

マスリンは近くの建設工事現場にナイフを遺棄し、近くに住む友人のフラットに寄って「ジャマイカ人のギャングと喧嘩した」と嘘をついて衣類を着替え、返り血を浴びた衣類を住人共用のゴミ箱に捨て、タクシーをつかまえて別の友人宅に向かった。 値札がついたままの血まみれのナイフは、翌日午前中、警察によって発見された。 

 

防犯カメラに捕えられた、タクシーに乗り込むマスリン。 タクシーの運転手は、マスリンは「興奮した様子だった」と証言した。 タクシーを捜索した警察は、後部ドアのハンドルから残留血液を検出。 後日それは、事件現場のものと一致した。 

  

マスリンは翌日未明の午前2時19分に、友人宅で逮捕された。 彼は警官にこう言ったという。 「誰かを愛しすぎることってあるだろ。彼女は俺にとってすべてだった。あんなことするつもりじゃなかった。」 取調べ中のマスリンは、ほとんどの質問に対し、無表情で「ノー・コメント」と繰り返したという。

 

判事の言葉: 「無抵抗の若い女性に与えられた傷の数から、これは無慈悲な殺人だったことがわかる。  しかも店の顧客や被害者の同僚や通行人によって目撃されるという、公共の場においての大胆な犯行だった。 被害者は首・胸部・背中を14回も刺されており、肺と動脈と心臓に損傷を受けた。」

警察はマスリンの犯罪を、『別れ告げられたことを自己処理できなかった、自己陶酔癖のある一個人による悪意に満ちた卑劣な襲撃』と表現した。

 

別の記事にも書いたが、自分自身を最悪の負け犬にしたマスリン。 ホリーさんの人生を断ち切り、自らの人生をも台無しにした大馬鹿者だ。

                 

22歳 + 24年で、出所できるのは早くても46歳のとき。 人生の最高潮であるべき時期を、自由を奪われて過ごすことになる。 でも46歳じゃあまだまだ元気だから、まだまだ殺人を犯せる。 刑期は50年であるべきだったと、個人的には私は思う。

24年の刑期中に、自らの行為を悔恨する境地に達してくれるといいのだが・・・ 多分それはないだろう。

 

マスリンの判決のニュースに寄せられたコメントを、賛成票が多い順に紹介します。

「死刑制度の復活を!」 (662票)

「判決から10分後に死刑が相当。」 (522票)

「かわいい女の子の多くが暴力的なモンスターに魅かれてしまうのは本当に残念。 ホリー、どうぞ安らかに。 クズは刑務所で永遠に腐れ!」 (430票)

「クズ! 永遠に出てくるな。」 (354票)

「もっと長い刑期を与えられるべき。 クズは腐らせろ。」 (290票)

 

マスリンの犯行が、別れを告げられたその場で「カッとなった」ために起きたことならまだわかります。 誰だって怒りのため一時的に我を忘れることはあると思うので。 でもマスリンには4日間、たっぷり考える時間があった。 その間にホリーさん殺害を決め、計画を立て、準備を進めたんです。 これ以上の計画的犯行はないでしょう。 だから私は、マスリンには死刑が相当と考えます。 

なのにイギリスには死刑はない。 こんなクズを今後24年間も、私達の血税で食べさせるのかと思うと閉口します。 コイツは今後、外に出る自由はないとはいえ、『基本的人権』のおかげでとても快適な、衛星放送、ゲーム・コンソール、スポーツ・ジムやビリヤードなどの娯楽設備が整った刑務所でぬくぬくと生活するのです。 生活環境だけを見ると、イギリスの刑務所暮らしはまったく『罰』にはなっていない!と私は思います。 

塀の外では皆が、やりくりに苦労しながら食べるために懸命に働いているのだから、健康で労働可能な囚人は食事を与えられるためには『労働』を課されるべき。 それが公平というものです。 働くことを拒否するなら、どうぞ勝手に飢えて死んでください。

・・・そういう私の考えは、過激すぎ・・・?

 

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