花夢

うたうつぶやく

012:赤いうた

2008年02月17日 | 題詠2007感想

赤くそまる声はくるしみの風だけど僕はもう行かなくちゃ ごめんね
長岡秋生

内側が赤くなるまでもう少しさなぎになっていていいみたい
百田きりん

赤いペンキで書かれたスローガンの意味はわからないまま中国にいた
辻一郎

2学期に苗字の変はる女生徒の右手のネイルは鮮やかな赤
桑原憂太郎

バスタブのお湯が真っ赤に染まるまで切って生き延びて今がある
橋都まこと



百田きりんさんのほんのりと内側の赤いさなぎ。いいなぁ。

橋都まことさん。
かつて死のうとしたことのある知り合いのことを思いました。
なぜ、その人は私にその話をしてくれたんだろう。
私にできることはなにひとつないのに、その人の今があってよかったと、祈るように思ったことを思い出しました。
あのひとは元気だろうか。元気だといいな。

なんだか、気づいたらくるしみの赤色を選びがちだったみたい?
桑原憂太郎さんの描く女生徒の赤も、くるしみの色だ。