赤くそまる声はくるしみの風だけど僕はもう行かなくちゃ ごめんね 長岡秋生 内側が赤くなるまでもう少しさなぎになっていていいみたい 百田きりん 赤いペンキで書かれたスローガンの意味はわからないまま中国にいた 辻一郎 2学期に苗字の変はる女生徒の右手のネイルは鮮やかな赤 桑原憂太郎 バスタブのお湯が真っ赤に染まるまで切って生き延びて今がある 橋都まこと 百田きりんさんのほんのりと内側の赤いさなぎ。いいなぁ。 橋都まことさん。 かつて死のうとしたことのある知り合いのことを思いました。 なぜ、その人は私にその話をしてくれたんだろう。 私にできることはなにひとつないのに、その人の今があってよかったと、祈るように思ったことを思い出しました。 あのひとは元気だろうか。元気だといいな。 なんだか、気づいたらくるしみの赤色を選びがちだったみたい? 桑原憂太郎さんの描く女生徒の赤も、くるしみの色だ。 |