花夢

うたうつぶやく

051~060:澱んだままで

2009年08月14日 | 題詠2009
「澱んだままで」


恋愛を魔法のように考えるあなたの錬金術は間違い

この地球の妊娠しない生き物のなんて自由な愛なんだろう

そのうちに月へ帰るからっていう言い訳をして嫁に行かない

使用済ナプキンひとつ捨てながらおんなをもてあますこともある

あなたからもらった首飾りが徐々に似合わなくなる呪いにかかる

これまでに摘み取ってきた愛情を縄で縛って軒下に干す

クローゼットの森にカシミアドレスを眠らせて静かな夜です

またひとり結婚式で美しい苗字を持った友だちが消える

良縁という名の硬い宝石を月のあかりのもとで砕いた

いつのまに風は引退したのだろう 澱んだままで老いる気がする