こだまは好きな作品が多かったです。
迷わずに好き。
<振り返り>
地下道で歌う路上アーティストって、けっこう気になる存在です。
迷わずに好き。
めくらましそれからちょこっとねこだましめくらめっぽうあなたが好きだ 小軌みつき 参りました。 テンポが良く、その言葉にまかせてころころと転がっているうちに、気づいたらど真ん中。 こうやって逸らし逸らして実は直球という攻められ方、大好きなんです。(笑) |
さよならのこだまが消えてしまうころあなたのなかを落ちる海鳥 笹井宏之 こんな風に、感情をあらわすことができるんですね。 いえ、感情と言ってしまっては違うのかもしれません。 それは感覚に近いように思います。 ほんとうになにかを喪失した瞬間。 スッと落ちるときに襲われるあの感覚。 どう形容したらいいかわからないのですが、 多分、なぞることのできない感覚を切り取った光景が、 この落ちる海鳥なんだと思いました。 くっきりと残ります。 |
樫の木をゆらすかすかなこだまさえあなたにかえることができない 末松さくや この「こだま」はそんなに大きくはないかわりに、あちこちへ乱反射しているみたいなイメージがあります。 けれど、発された言葉のどれひとつ届くことはなくて、ただ樫の木を揺らすばかり。 どこまでもどこまでも、届かないということを追ってしまう。 |
不愉快がこだましながら強くなり席を立つ まだ惑星にいる 瀧口康嗣 この作品を読んだ瞬間、瀧口さんは惑星の人なんだと思いました。 そうでなければ、これは書けない。 惑星が思考のある部分の比喩として・・・・と考えることも出来ます。 とても混沌として、静かなところ。 けれど、この「惑星」は比喩というより、代名詞のような感じがしました。 自分の空間を指す、確かに存在する場所の代名詞。 そして、惑星のほうが多分、主。 不愉快がこだましてうわんうわんとしてる。 そして、席を立った自分の身体のある現実のほうは、どこかまだ違和感がしている。 まだ、こだましている。 静かでうるさい。 |
耳朶に響くこだまを黙らせるたびにピアスの穴増えてゆく 和良珠子 あぁ。増えてゆくピアスの穴にはそんな理由があったんですね。 そのピアスホールはこだまを吹き抜けさせる風穴で、 そうしなければ、きっと呑まれてしまっていた。 |
<振り返り>
地下道で歌う路上アーティストって、けっこう気になる存在です。