花夢

うたうつぶやく

041~050:大袈裟なままごと

2009年07月14日 | 題詠2009
「大袈裟なままごと」


幼少のころから母の警告は冷蔵庫にて冷やされている

この家に遺されている正義っていうものこそが災いなのに

死ぬことは悲しいという常識でうやむやになる父の激昂

お芝居みたいに嘆かれ舞台幕のむこうでぶれる祖父の生前

クリックをするたび増えるウイルスのように眠気が広がってゆく

逢うたびに痩せこけてゆく老人は過去をいよいよ浄化してゆく

大袈裟なままごとみたいソムリエに似た葬儀屋が凜と佇む

そのむかし祖父が好んだわさび抜きお寿司のなかにひそむ哲学

越えるべき深い悲哀を抱かない祖母のお経が変なリズムで

らんららららんらんらららん雨の降る告別式で悲しむ係