夜更け毎メール交わせば降りつのる雨 すりきれるまでそばにいて 071:メール(ひぐらしひなつ) 取り戻したかったメールに返信がきている 部屋が深海になる 071:メール(里坂季夜) 言葉では伝えられない黄緑が君を連れ出す切っ掛けになる 072:緑(ほきいぬ) 寝たふりをするのはおやめ はみだしている新緑をていねいに剥ぐ 072:緑(こはく) どうみても緑色だし泡だっているのにこれを食えと言うのか 072:緑(さかいたつろう) 銀行の硬いソファーに腰掛けてわたしはたぶん船を待つてる 074:銀行(村本希理子) 量られるたびにほどかれゆくものを差し出したりはしないあなただ 075:量(こはく) 死にさうだ死ぬだらう推し量られてとってもとっても困ってしまう 075:量(間遠 浪) 雲の量変へつつたかくたかくなる九月の空においてけぼりだ 075:量(萱野芙蓉) ちょっとだけへこんでいるはずだったのになにか分量を間違えたらしい 075:量(藤野唯) 知れば知るほどハードルが高くなってしまって、前に進めなくなる。 そういうことが、わたしのなかにごろごろとある。 左手で字を書くような不自由さで短歌を書きたい。 |