春の手が波をなだめる あと少し船のつもりでいていいですか 036:船(村上きわみ) 有刺鉄線その他もろもろデスマッチみたいな口論ばかりしていた 038:有(丸山汰一) 有人の駅がきょう無人駅になり風の乗車率すこし高まる 038:有(原 梓) 逃れきて書棚の陰にできたての固有名詞を呟けば春 038:有(ひぐらしひなつ) 有り体に言えば泣きそう はつなつの風にいくつも結び目がある 038:有(村上きわみ) 咳声と「み」の書き文字にまだ少し王子が残ってると指摘され 039:王子(中村成志) 銀色の王子はなさけないだけで悪くはないし眼鏡でもある 039:王子(やすまる) 忘れたいなら青い飴粘りたいなら赤い飴 甘いのはどっち? 040:粘(さくら♪) ほんとは、一首一首にきちんとむきあってコメントをつけるのが、 一番、望ましくて勉強になるんだと思うのだけれど・・・。 美術館に飾られた一枚の絵のように、 ただ立ち止まって見入ってしまう瞬間があって、 そのまま切り取って飾っておきたいような作品を前に、 拙い私の言葉でなにかを添えるのはかえってつまらないような、 そんな気分に、なりまして。 |