花夢

うたうつぶやく

003:屋根のうた

2008年02月04日 | 題詠2007感想

屋根に届く六等星の弱い光 僕に手紙を出す人がいる
スズキロク

屋根に生える草のしたたかさが好きだ 花が咲いたら言うことなしだ
遠藤しなもん

流星がころんことりとたちどまるわたしの屋根のかたむきぐあい
おとくにすぎな

うばわれた屋根裏部屋でふたつめの月の手放し方をたずねる
神川紫之

熱いトタン屋根にわたしはぢつとゐたできればずつと戻らぬつもり
多田零



どれも好きなものばかりです。
遠藤しなもんさんはストレートな明るさがいいですね。
夜の光景を描いたスズキロクさん、おとくにすぎなさん、神川紫之さん。
ちょっとだけファンタジックなところが好きです。
多田零さん、いつも通り過ぎては引き返してしまうので、追加。

屋根裏部屋や、屋根の上を詠んだ作品が多かったですね。
猫が出てくる歌もたくさんありました。


002:晴れのうた

2008年02月04日 | 題詠2007感想

晴れた日に丘で吹いても彼の銀のトロンボーンは雨の音がした
aruka

晴れた日のフレンチポップス 芯にあるさみしいところは手放さないの
宮田ふゆこ

晴れ渡る空のようでもあるという心をゆっくりと折りたたむ
佐原みつる

晴れた日のいちばん綺麗な青だけを切り抜いて貼りたい場所がある
里坂季夜



光景が浮かぶ作品が多く、読むのが楽しいお題でした。
清々しい作品も多く、気持ちよかったです。

だけど、選んだ作品は少しづつどこかが翳っていました。