花夢

うたうつぶやく

午後のゴシップ

2017年02月19日 | こぼれ短歌

またひとり可愛い女子が騙されて咲き乱れ散る午後のゴシップ

ひたむきな瞳のひかり 彼女らの恋愛もまた宗教のよう

抱擁はときに優しく無責任 ほ・ほ・ほたるこい


誰しもがあなたのように強くって正しく生きられないと言われる

女子として「瞳を閉じて背を伸ばし待つ」なんてダメ ちゃんと見なさい

白雪姫も揺さぶって救いたい・・・いいえ、それでは目覚めないから


極寒のような批判に耐えてまで守ろうとする花の蕾よ

ためいきはすこしあたたかいけれど冬の空気に紛れてしまう

純粋なことが哀しくなったとき一緒に朝焼けを見ましょうね

稽留流産

2017年02月01日 | こぼれ短歌
育たずに流れてしまう受精卵 どこから母となるのであろう

自分など生まれなければそれはそれなどと思っていた思春期で

卵子とはわたしのものなのだろうかわたしのものなら悪く言えるが

子を宿すための身体(からだ)のシステムとエラーにわたしの出る幕はなく

日帰りの掻爬手術を終えたならなにもなかったこととなる春

当然のように生まれてきたわたし そして勝手に老いてゆくのだ

つきのさわり

2015年06月15日 | こぼれ短歌
下腹部にマグマを抱く わたしには強く憎んだ経験がある

二日目のわたしのなかに蠢いているどうしても生まれないもの

月に一度は殺して捨てるごめんねと思うことさえなくなって

生まれたら死ぬ約束で生きているわたしのなかに生きるにくしみ

ただ裸になってみたいだけのよる

2006年09月28日 | こぼれ短歌
「ただ裸になってみたいだけのよる」


やくそくを白紙にもどすごちゃごちゃのおもちゃ箱かたづけるみたいに

こうふくをねがっていても生みたての「さよなら」はもうあたたかくない

便箋を汚して終わるただ裸になってみたいだけのよるでは

しあわせの青い鳥ならおとなりの子猫がきのう捕って食べてた

ひとりだけ泣くのははんそくかもしれないはやくおとなになりたい

ひらひらのしあわせを脱ぐ拭っても拭ってもまだ消えない ひとり



星屑ぽえめる
HOSHIKUZU POEMAR SPECIAL EDITION vol.2 収録
しなこさんの絵につけました。2005年制作。

この、夏

2006年07月11日 | こぼれ短歌


「この、夏」


泥濘に生きるあなたの透き通る花弁をいつも羨んで、夏


この風は行き場をなくすわたしはまたその沼に湿り気を足す


追憶の鮮やかすぎる色彩に負けないように生きていきます