花夢

うたうつぶやく

032:上海のうた

2006年11月26日 | 題詠2006感想

これ以上海月の呼吸見ていてはだめだひみつもほどけてしまう
おとくにすぎな

海月の呼吸。
ふわふわといつまでも。
そんな呼吸を見ていたら、「ひみつもほどけてしまう」ような、ゆったりと緩んでいくこころ。

お題が「上海」とは思えないほど巧みな詠みで、くらげの呼吸に吸い込まれていきます。

全体がくらげのまったり感で、とろけそうな雰囲気。
けれど、その分、普段こころをしっかりと締め、秘密を閉じ込めていることもよくわかります。



似合わないことばこぼれて手拭いでぬぐえばしみる上海ブルー
斉藤そよ

上海ブルーって言う青色があるのかな。と思って検索をかけたのですが、どうやらお酒の名前のようです。いい名前ですね。
でも個人的に、この作品の「上海ブルー」は青色そのものであってほしいなぁ。などと、勝手なことを思っています。
私が見つけたお酒には「上海碧」と書いてあるから、きっとくっきりと濃い「碧色」なのでしょう。上海ブルー。

似合わないことばのこぼれた先。
まるで影のように、一点の碧色を落とす。

そんな印象をもって、私の心に残りました。

ひらがなのせいか、全体的にやわらかい雰囲気で、静かにしっとりとしみる作品です。



強烈な夏のうねりに飛び込もう上海ハニーのリズムにのって


オレンジレンジの「上海ハニー」という選択がありましたか!
しかも、意外にも、題詠の中に上海ハニーを詠みこんだ作品はけっこうありました。
そのなかでも、この作品はカラっとしていて、読んだ瞬間、私の頭のなかにも上海ハニーが流れ出しちゃいました。

「夏のうねりに飛び込もう」というのが勢いがあっていいですね。
ノリノリです。