アラブのうわさ

アラビア語、アラブ文化、イスラーム(イスラム)等に関する話題を元留学生が等身大でお伝えします!

ネコ大繁殖

2006年02月28日 22時51分54秒 | Weblog
 大学の敷地内にはネコがたくさんいます。学生がエサをほいほい与えるため毎日の栄養補給にはこと欠きません。ですがぶくぶくに太っているその姿を見ると、肥満気味な上に味付けの濃いものばかり口にしているので、健康状態はむしろよくないのかな、とも思ってしまいます。
 また大学内は安全なためか警戒心が乏しいこと。ぼーっとして歩いていた時、あやうく踏みつけてしまいそうになったのですが、彼らは全く気にせずぐーすか寝ていました・・・
 そういった環境なのでネコは大繁殖を続けています。このまま増え続けたら学生寮は猫屋敷になってしまうんじゃないかというほどに。
 このことを学部生に話したら、ある時期に猫が大量に死んでしまうということを教えてくれました。
 それは夏休みで、この時期になると学生は一斉に帰国してしまいます。そのため3ヶ月の間は彼らにとって試練ともいえる飢餓を迎えるのです。体力のないネコや幼いネコはこの期間に息絶えてしまうとのこと。
 でも大学内で死ぬネコは少なく、大抵の場合は死の旅に出て人目につかないところで亡くなるのだそうです。
 最近、生まれたばかりのかわいい子ネコもおそらくは夏を越せないでしょう。とはいえそれも自然淘汰なので仕方がないことですね。

アラブ頭巾の呼び分け方

2006年02月26日 00時17分02秒 | Weblog
 アラブ人が頭に被ったり巻きつけたりする布がありますよね。呼称もいくつかあるのですが、ちゃんと呼び分け方があることをつい最近知りました。
 まずフスハーでは頭巾の総称として『クーフィーヤ』いう単語があります。ですがこれはターバン状にして使うタイプのものを指すようです。現在ではイエメン人が好んで使っています。
 またサウディアラビアで最も主流な白地の布に赤い縞状の模様が入ったもの。これは『シマーグ』といい、故アラファト議長が常用していた黒い縞状の布もシマーグと称されます。
 それから無地、あるいはちょっとした透かしのような模様の入ったやや薄手の白い布は『ゴトラ』と呼ばれ、シマーグと同様に湾岸地域一体で広く使われています。
 とはいえ布を頭に被る習慣のない地域の人からは『どれも一緒じゃないの?』という反応があっても不思議じゃないですし、呼び分け方も地域により違いがあるかもしれません。

反抗期再来・・・?(笑)

2006年02月22日 01時32分01秒 | Weblog
 結局、髪を切りませんでした。まあ切るだけで面倒が起こらないのなら切ってしまえばいいんですけど、『強制』というのが気に入らず、まるで反抗期再来といった感じです(笑)。
 それでも今のところ『出席停止』という処分にはされてませんし、先生達にしてみてもそう重要なことではないのでしょうから、そのうちこの件が忘れ去られてしまうことを期待しています。


コーヒーの味わい

2006年02月22日 01時31分08秒 | Weblog
 サウディアラビアではお客さんをもてなすのに、お茶と同様、あるいはそれ以上にコーヒーが出されます。
 コーヒーといっても『ネスカフェ』タイプではなく、コーヒーの実とカルダモンの実、それに好みの香辛料を加え煎じて煮出したもので、色は黄色っぽく、苦味がないとても飲みやすいものです。
 これを飲むときのコーヒーカップは『おちょこ』のような小さい容器なのですが、なんでガブ飲みできる大きなカップを使わないのか、知り合いのサウディ人に聞いてみました。
 その理由として、かつてコーヒーは高価だったことが挙げられました。よってそうガブガブは飲めなかったといいます。また香りや味わいを楽しむということが第一のため、ガブ飲みより一口ずつその贅沢を堪能することに風情を見出せるのだとか。
 ガサツなベドウィンのおっさんから『風情』などという言葉は想像もできませんが、日没後砂漠に絨毯を敷き、のほほんとコーヒーやお茶を飲んでいる姿だけは別です。現世のしがらみや日常のせわしなさを全く感じさせず、その空間だけは古くからの彼らの生活のリズムに包まれているのです。おそらくは100年前・200年前も同じように時を過ごしていたことでしょう。

髪を切らなきゃ出席停止

2006年02月19日 00時11分06秒 | Weblog

 今日、『髪を切らない限り、明日から講義の出席を認められない』といきなり学院側から言い渡されました。
 なんでも『男性が女性に似るのはよくない』とか『外見の美しさなど求める必要などない』といったことがその理由だそうです。
 たしかに私の髪は他の学生に比べると若干長めではあります。ですがせいぜい後ろ髪が襟足にかかるくらい。『長髪』というほどの長さではありません。
 かつて預言者ムハンマドにも髪が長かった時期があるわけで、それを手本とすると髪が長くても問題はないはず。髪を短くするのはアラブ人の『習慣』なだけ。また学部生の中には髪が肩に届くくらいの長さの人もいますし、学院の言い分がちょっと理解できません。
 あまりにもバカバカしい意見に『うんうん』とうなずいて従うのはイヤだけれども、仕方のないことでしょう。とりあえずちょっと短めに切り、伸びてからは常に帽子を被って髪を隠すことにでもします。
 ですがこれから何かにつけてイスラームに有力な根拠を見出せない『強制』が続くようでしたら、マディーナでの学業の継続は残念ながら難しいかもしれません。

サウディは義務教育?

2006年02月18日 23時40分52秒 | Weblog
 『サウディアラビアには本当に義務教育がないのか?』という質問を受けましたので、昨日、通っている語学院の副学院長に聞いてみました。
 まず、単刀直入に『義務なのか?』と聞くと『そうだ』とのこと。ですが『それは政府による強制なのか?』と突っ込むと『強制ではない。もし行きたくなければ行かなくてもいい』という、義務であるということにちょっと矛盾した答えが返ってきました。
 その背景について詳しく尋ねると、近年の子供たち、少なくとも副学院長が目にする子供たちは皆学校に通っているとのこと。教育を受けなければ将来仕事に就くチャンスが減る、あるいは閉ざされるという現実をほとんどの人は認識しているといいます。確かにアラブはバリバリの学歴社会。日本以上に学歴で人を判断しますし、また学歴によりその人の就ける仕事は大体決まります。小学校すら出ていないとなると当然ながら『論外』ということになるでしょう(コネという裏技を使えばこの限りではありませんが)。
 片や都市部から離れたところに暮らすベドウィンの子供達はどうしているのか?砂漠から通っているのか?どうやら政府が車代を負担して、その子の居住地から学校まで通えるようにしているらしいです。また地理的事情で通学が困難な子供には奨学金を出し、就学を推奨しているといいます。
 結論をまとめますと、副学院長の言う『義務教育』とは政府により開かれた教育の機会の下、ほとんどの子供達が学校に通っているという現実を述べたということであり、法的強制力の伴った『義務教育』ではない模様です。まあ皆がちゃんと学校に通っているのなら、そう義務にする必要もないというところなのでしょうか

ペルシャ湾かアラビア湾か

2006年02月16日 00時00分51秒 | Weblog
 アラビア半島とイランの間にある湾、日本のニュースでは『ペルシャ湾』と表現されていましたし、少なくとも私が学生の頃までは地図帳でも『ペルシャ湾』となっていました。
 ですがアラブではかたくなに『アラビア湾』だと言い張ります。エジプトで見た地図でもヨルダンで見た地図でも書かれていたのは『アラビア湾』。また預言者伝の講義の際に勉強したアラブの地理でも『アラビア湾』と表記されていました。
 『どっちでも判別できればいいや』と思うですが、それはやはり第3者だからであって、当事者にしてみると譲れないものがあるのでしょうね。

靖國神社

2006年02月15日 22時46分53秒 | Weblog
 今朝、教室に入ったらホワイトボードに『靖國神社』と殴り書きされていました。
 おそらく中国人学生の仕業でしょう。何かしらの意味を込めて書いたのだと思いますが、どう反応すればいいのか困りますね。自分からがしがしと消すのも後から陰で何言われるかわからないので、完全に無視を決め込みました。とはいえ少なからず悪意を感じたのは事実です。なにしろ漢字を使うということは中国人と日本人だけの空間を作り出し、何か揉め事が起きたとしても他の人を関与させないことになりますから。この先同じようなことが繰り返されなければいいのですが。
 ノン・ムスリムの人が非イスラームの地でそれぞれの信念に基づいた信仰をするのは勝手なので、例えば小泉氏が何をしようとイスラーム的には構わないこととはいえ、何かしら面白くないと思う人たちがいるのは仕方がないことなのかもしれません。

後期の講義

2006年02月13日 00時01分30秒 | Weblog
後期の講義
 後期の講義が始まりました。レベル3になってクラス替えがあり、かつて起きた事件『異臭騒ぎ』の当事者とは別のクラスということに。
 前期の様子からして『どうせ最初の1週間くらいは先生も休みがちだろう』などという予想をしていたのですが、それは見事に外れ、初日からどんどん講義が進められました。案外やる気のあるサウディ人らしからぬ先生達に少なからず感心しています。
 また時間割も決められたものが教室内の掲示板に張り出されていて、その通りにちゃんと講義が行われるのです。
 日本では上記のような『秩序』があって当たり前ですが、アラブ社会で最初から物事の流れが軌道に乗るとは極めて稀なこと。エジプトにいた時には最初から最後まで無秩序でしたし・・・
 もっとも今の語学院の学院長・副学院長が学生のためにあれこれ骨折ってくれているのは有名な話で、そういった人達の働きかけで大きく変わっているのだと思います。
 いずれトップが差し替えになった時、せっかく作り上げられた秩序まで差し替えとならなければいいのですが。

禁煙の呼びかけ

2006年02月12日 22時57分14秒 | Weblog
 サウディアラビア航空の機内誌には、巡礼者に対する禁煙の呼びかけが載せられていました。アラビア語で、
 『أقلعت إلى الأراضي المقدسة فأقلع عن التدخين』
 日本語に訳すと『聖地に向かって飛び立ったら、喫煙をやめなさい』となり、アラビア語の他にも英語・ウルドゥー語・インドネシア語の併記がありました。
 確かに喫煙マナーの悪い人が多いのは事実で、預言者モスクの敷地内でさえタバコを吸っている人を見かけたことがあります。悪癖に打ち勝てないのは人間の弱さとして仕方のないことですが、巡礼という罪の赦しを請う旅の間くらいは我慢しないといけないですよね。
 まあ禁煙を呼びかけている当のサウディアラビアでさえ、喫煙習慣が蔓延しているのでそういったことを徹底するのも難しいでしょう。
 ちなみにイスラーム大学の学生はタバコを吸ったら退学になります。