原 丈人さんという方の書いた『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』を
読みました。
「会社は社会の公器である」
40年前、大学時代に何度も学んだこの言葉ですが、この40年で今や死後に
なった感があります。 それほど社会は乱れています。
『公器』であるから、株主の利益最優先の『株主』資本主義でなく、『公益』
資本主義であるべきだ というのが原さんの主張です。
著者の原さんは、スタンフォード大学のMBAを取得し、欧米でベンチャーを立ち
上げたり、コンサルタントを務めたりと、バリバリの株主資本主義の信奉者と
思いきや、そんな原さんが今提唱しているのが『公益』資本主義っていうから
驚きです。
以下、原さんの主張のいくつかです:
21世紀はグローバリズムの時代というが、とんでもない。
グローバリズムの本質は、アメリカを真似ろということ。
グローバリズムはすでに終わった。これからは多様性の時代。
日本は『北風と太陽』の『太陽』になれる可能性を秘めている。
コーポレート・ガバナンスやスチュワードシップ・コードの
導入で恩恵を受けたのは、従業員でも顧客でもなく、主に
ファンドと富裕層で構成される株主ばかり。
最近の大企業の不祥事をみれば、コーポレート・ガバナンスは
不正会計防止にはつながらない。
そもそも株式会社は株式市場から資本を調達して出来上がったもの。
ところが今は、株主の権利が主張され過ぎ、株式市場へ資金を放出
する企業が高く評価されているのが現実。
高い結束力と高い理想と情熱が原動力となり、創造性と幸福感と
柔軟性に富んだ経営を実行できます。
中小企業と同じ組織の状態や意識を、大企業の中にどうやって
つくるか。公益資本主義は、そのための指針でもあるのです。
私が大好きな、一橋大学の田中一弘先生の『「良心」から企業統治を考える』
と同じ論調の本でした。
この本を読んだ直接的な原因は、アタックスの西浦代表に薦められたから
なんですが、薦められたのにはさらに理由があるんですが、それはまた
後日紹介します。