中国のロケットが落下しつつあるという。宇宙ステーション建設のために打ち上げた大型ロケットの残骸が、分散せずそのままの形で大気圏に突入し、さらに燃え尽きずに落ちて来ると予想されるそうだ。しかもロケットを打ち上げた側からは、ロケットの軌道や落下に関する詳細な情報が提供されないというのだから驚く。
「海に落下する確率が高い」とか「残骸が人に危険を及ぼす可能性は極めて低い」という予想が「専門家の見方」として伝えられるが、一般的に考えればそれは当然のこと。地球表面の半分以上が海であり、さらに人が住んでいる場所は地球表面に対する割合で見れば僅かにすぎないからだ。しかし、せめてその位置や落下軌道を監視し、それが人の住む場所や都市の近くに落ちる可能性の有無・大小に関する詳細な情報を逐次公表することは、ロケットを打ち上げる側の当然の責任なのではないか。
しかも、同じタイプのロケットの残骸が過去に一度は地表にまで落下し、人が住む地域にあった木を倒したこともあるというニュースを聞けばなおさらだ。「可能性が低いから」と言って監視や情報提供を怠るのなら、ロケット打ち上げを止めて欲しいものだ。たとえ小さな可能性でも何度も繰り返していれば、そのうちに現実となってしまうのが「確率」が意味するところである。都市や住宅地、あるいは工場や重要施設に落下・衝突すれば取り返しのつかないことになる。
米国からの情報では「今後一週間程度のうちに落下する」見通しだそうだが、燃え残って残骸が地表に落ちるにしろ、大気中で燃え尽きるにしろ、打ち上げた側は自ら率先して情報を明らかにして欲しいものだと思う。