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ウイルスの変異とワクチン

2021-04-07 | 日記

ワクチン接種に具体性が出てくる中で、ウイルスの変異が報道されている。そこでは、ワクチンによる感染者減少の実例としてイギリスを紹介しておきながら、次の変異株に関するコーナーではイギリス型変異株へのワクチン効果を疑問視するというような番組があったりもした。さすがにイギリス型へのワクチンの効果減少はあまり言われなくなったが、他の株についてはまだ「効果減少の可能性」が常に指摘されている。

 ワクチンの役割でずっと紹介されて来たのが、ワクチン接種により新型コロナウイルスが持つスパイク蛋白質に結合する抗体が作られ、その抗体がウイルスのヒト細胞への侵入を阻害するというものだ。ワクチン効果としていわゆる中和抗体だけの説明しかして来なかったので、スパイク蛋白質の部分に変異を持つ変異株の場合に、抗体がスパイク蛋白質に結合しないかも知れないという可能性が必要以上にクローズアップされてしまうことになった。

 今更ながらに「実は、体内では抗原となるスパイク蛋白質の様々な部分を捉えて結合する抗体が作られる」と説明しても、言い訳がましく聞こえる状況を作ってしまっている。多くの変異は一つのアミノ酸の置き換えなので、それによって構造が変化する部分としない部分がある。変化しない部分を捉えて結合する抗体が作られていれば抗体は変異に関わらず抗原に結合するので、従来のワクチンでも変異型ウイルスに結合することになる。

 蛋白質のような大きな分子を抗原として接種した場合、その一つの分子が持つ様々な部分を認識・結合する様々な抗体が作られるので、そのすべてが一箇所の変異で無効になるとは考えにくい。そもそも、同じ抗原を接種したとしても、抗原のどの部分に結合する抗体がそれぞれどれくらいの割合で作られるかは一定でなく、かなりの個人差がある。それを考えれば、集団的に捉えて効果が出ていたワクチンが一つのアミノ酸の変異によって大きく効果を失うとは、普通は考えにくい。

 しかしその可能性を「全く無い」と断定できないことから、専門家は「効果が減少する可能性もある」と表現せざるを得ないわけだ。その「可能性もある」という部分だけを毎日大々的に捉えて報道・宣伝する必要がどこにあるのか、はなはだ疑問である。ワクチンの効果減少に対する意見を求められ、慌てて「細胞性免疫」なる話を持ち出して「変異⇒効果減少」のイメージを和らげようとする専門家も出て来たが、そもそも最初からワクチンの効果として「抗体産生」と「細胞性免疫の発動」の両方を説明しておけば良かったのに、とつくづく思う。

 一年前には少し話題となっていた「自然免疫」や「交叉免疫」も、抗体を介する「補体の反応」や「白血球による貪食」など、ワクチンによって発動・開始される免疫作用には様々なものが有り、どのような免疫がより強く働くかはワクチンの性格や個人の体内免疫環境によって異なって来ることを、どこかで誰かが丁寧に説明しなければならなくなるのじゃないか。ワクチンによるウイルス(抗原)への「疑似感染」の意味は、単なる中和抗体の産生に留まるのではないことを。

 いずれ「変異株パニック」を避けるために、変異株の全てに対して必ずしも「専用のワクチン」を用意する必要が無いという理屈を分かって貰わなければならない時が来るのかもしれない。遺伝子ワクチンが如何に「設計変更が容易」な「早く作れる」ワクチンだとしても、所詮ウイルスの変異速度(2週間に1個出現とも言われる)の方が圧倒的に早いのだから。変異が一つ起きるたびにワクチン効果が低下するというのでは、ワクチン接種が感染拡大を防ぐことなど永久にない。・・・もっとも、何だかんだ言っても今のワクチンがそこそこに効き「コロナ禍」が終息するようになれば(そうなることを願うが)、世の中の人はもう「ワクチンの詳しい話」などに何の興味も持たなくなるのだろうが。

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