「科学の力で地球を救おう」、「私たちは科学で地球の未来を切り開く」なんて、この10年どこでも聞くようなテレビコマーシャルの決まり文句になってしまったた気がする。どこかから、「科学で地球を救うって?、今の地球環境が危機を迎えたのは、その科学技術の使い方があまりにも我儘だったからじゃないの?」という声が聞こえてきそうだ。
この先も「科学の力で何とかしよう」と言うのは、結局のところ「地球を救うという名目で科学と科学技術をさらに進め」ること、そして「新たな科学技術と製品を開発し、売りつけることによってさらに利益を上げようという魂胆」が隠されていると取れなくもない。結局のところ、「科学技術の使い方のお勉強」は後回しにして、さらに「科学技術で何とかなる」という傲慢さを拡大しているだけ、と受け取る人々が居ても不思議じゃない。
明らかに、今必要な事は「科学技術の使い方の見直し」や「目先の利益追求の撤回」であって、それを実現するために必要なのは「政治力」や「明確な目標設定の能力」であることは間違いない。つまり、「これ以上の科学技術開発が無くても、現存の技術で炭酸ガス排出は減らせるし、環境破壊を止めることもプラスチックを減らすことも可能」なのだ。
これからも科学が進歩・発展していくことに何ら意義は無いし、それを望みもする。しかし、まず政治・思想・人類愛・他者(ヒト以外の生物をも含む)への共感などを抜きにして、「科学の進歩・発展だけ」を口にしてはいけない地点に今は立っている、と感じる。人類が「今の科学技術」の使い方を間違っているとすれば、「さらに進歩した科学技術」を正しく上手く使えるわけが無い・・・、と思う心に、彼のテレビコマーシャルがやけに「空しく」消えていく。