牛頭天王信仰とその周辺

牛頭天王(ごずてんのう)信仰とそれに関係する信仰や情報を紹介するブログです。

牛頭天王と諸神の役割・ご利益

2010-11-06 00:52:13 | 日記
 信濃国分寺所蔵の『牛頭天王之祭文』には、牛頭天王の八王子の役割についても書かれています。その一部を紹介しますと、
「謹請(きんじょう)第一之ヲハ生廣(しょうこう)天王ト申
 謹請第二之ヲハ魔王(まおう)天王ト申
 謹請第三之王子ヲバ倶摩羅(くまら)天王ト申
 謹請第四之王子ヲバ達你迦(たつにか)天王ト申
 謹請第五之王子ヲバ蘭子(らんし)天王ト申
 謹請第六之王子ヲバ徳達(とくたつ)天王ト申
 謹請第七之王子ヲバ神形(じんぎょう)天王ト申
 謹請弟八之王子ヲバ三頭(さんず)天王ト申」あります。
 原文には「第一之ヲハ」と「第二之ヲハ」には「王子」の文字が見あたりませんが、「第一の王子をば」と読んでいいでしょう。「第八」は原文では「弟八」になっています。
 さて、『祭文』の後半には次のようにも書かれています。
「牛頭天王 婆梨采女 武荅天神 八王子 蛇毒気神王等之部類 眷属(けんぞく) 愛愍(あいみん)垂納授ヲ給ヘト敬白 再拝 散共(さんぐ)上酒
 謹請首(かしら)五躰病武荅天神ニ申可シ給ウ
 謹請口ノ病ハ婆梨細女ニ申可シ給ウ
 謹請足ノ病ハ大良ノ王子ニ申可シ給ウ
 謹請腹(はら)ノ病ハ次良ノ王子ニ申可シ給ウ
 謹請喉(のど)ノ病ハ三良ノ王子ニ申可シ給ウ
 謹請胸ノ病ハ四良ノ王子ニ申可シ給ウ
 謹請手ノ病ハ五良ノ王子ニ申可シ給ウ
 謹請腰ノ病ハ六良ノ王子ニ申可シ給ウ
 謹請モモノ病ハ七良ノ王子ニ申可シ給ウ
 謹請膝(ひざ)ノ病ハ八良ノ王子ニ申可シ給ウ」
 読み方は「謹請(きんじょう)す。膝(ひざ)の病(やまい)は八良の王子に申し給(たも)うべし」となります。意味は「つつしんでお願いします。ひざの病気については第八の王子様に申し上げお願いいたします。」となると思います。

 

牛頭天王は薬師如来を本地とする薬の神様ですが、さまざまな神様とかかわってきているので、わたしなりにそれぞれの神様と担当分野を表にしてみました。
●水神 
仏教・・・・・・・・・ 弁財天

天孫族(高天原族)・・・雷神

出雲系・・・・・・・・ 蛇神

古代中国・・・・・・・ 龍神

日本庶民信仰・・・・・弁財天・雷神・ 龍神・蛇神

●農業神
仏教・・・・・・・・・大黒天

天孫族・・・・・・・・ウカトヨウケビメノカミ・オオゲツヒメノカミ・ウカノミタマノカミ

出雲系・・・・・・・・オオクニヌシノミコト・スクナビコナノカミ
           スサノヲノミコト

古代中国・・・・・・・神農(角の生えた王様)

日本庶民信仰・・・・・稲荷・宇賀神・大黒天・スサノヲノミコト・オオクニヌシノミコト

●薬神
仏教・・・・・・・・・薬師如来

天孫族・・・・・・・・なし(基本的に病気・けが・障害のある者は捨てました。ヒルコがそのいい例で、「お清め」「お祓い」がそれを推進する儀式と考えられます。)ただし、「桃の実」の力で、イザナキノミコトが黄泉の国の大軍を追い払ったことが『古事記』に書かれています。『古事記』を読むと分かるのですが、薬がないから、神武天皇の兄も、ヤマトタケルノミコトも、傷つくと死んでしまいました。
オオクニヌシノミコトの危機的状況の時には母親が助けてもくれました。天孫族にはそういうこともなかったのです。

出雲系・・・・・・・・『出雲風土記』には薬草についての記事が多いのです。科学的考え方をしていたとも思われます。自然信仰を認めていたと思われるから、草木のもつ神がかった力を信じていたとも考えられます。

日本庶民信仰・・・・・薬師如来・牛頭天王
           オオクニヌシノミコト(『古事記』に書かれている因幡の白ウサギの治療をした記事を基にしています。)
           スクナビコナノカミ(『日本書紀』にオオクニヌシとスクナビコナが共に薬の神であることが書かれているのでそれが基になっています。)

古代中国・・・・・・・神農(角の生えた王様)